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神の余興により堕とされた異端の翼、その者、異界にて覚醒し神すら恐れる陰陽術を操る  作者: アマ研
第六章 四国同盟、闇洞突破戦 — Shikoku Alliance: Dark Hollow Breakthrough
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第百四十八話 「沈黙の深淵」 Silent Abyss

 ――匂いがする。


 久しく感じなかった侵入者の気配。

 この階層へ足を踏み入れた者は数あれど、ここまで到達できた者はわずかしかいない。


 だが――


 この匂いには、少し馴染みがある。


 以前、この場所に迷い込んだ**上の階層のガーディアン**。

 そして今度は、そいつが何か“臭い連中”を引き連れてきたようだ。


 ***


 66階層の主は、瞳を閉じて沈黙する。


 この領域に踏み込む者には二つの選択肢がある。


 **去るか、喰らわれるか。**


 侵入を許さぬ絶対の支配――それが、この階層に課せられたルール。

 ただし、一度テリトリーへ足を踏み入れてしまえば、退くことは許されない。


 それは、この空間の主である自分自身にも言えることだった。


 ダンジョンコアと紐付けられた存在として、この場所を離れることはできない。

 それが、果てしなく続く孤独の牢獄だった。


 ***


「空が、見てみたい」


 かつて意識を失い、まどろみの中で見た景色。

 そこには、澄み渡る**青い空**と、果てしなく広がる**明るい星**が輝いていた。


 どこか懐かしい。


 不快ではないが、心の奥底を震わせる記憶。


 それは、何故か――


 **「人間と呼ばれる矮小な種族だった頃の記憶らしい」**


 理解できない。


 何故、この場所に縛られている自分が、その記憶を持っているのか。


 前世の名残なのか、それとも、ただの幻影なのか。


 だが、どちらにせよ、空に手を伸ばすことは許されない。


 ***


 それならば――せめて、目の前の侵入者で暇を潰そうか。


 拳を握りしめ、闇の底に力を集束させる。


「殴ってみて……無事なら、遊んでやるか」


 敵と認めた瞬間、慈悲はない。

 この領域に踏み込む者は、すべて魂の奥底まで喰らい尽くす。


 ボスは瞳を開いた。


 その瞬間、沈黙の深淵が動き出す――。

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