第百三十九話 「ポンタ経済圏」 Ponta Financial Domain
ポンタはじっと己のステータスを見つめていた。
「……なんや、これ?」
九尾となったポンタのスキル《ポンタポイント》にはまだ試して無い機能があった。
それはただの強化ではなく、まるで“経済”の機能が組み込まれたかのような異常なスキルだった。
***
まず試してみる。
「株式投資――?」
画面を開くと、ポンタポイントを使って架空の市場へ投資ができるようになっていた。
「おぉ!こりゃどえりゃぁな!投資までできるとは、ポンタポイント様様やなぁ!」
試しに100ポイントを投じてみると、画面の中で企業が動き始める。チャートが変動し、ポンタは一瞬にしてその変化を理解した。
「ふはははっ!上がったで!増えたで!こりゃ、笑いが止まらんがや!」
魔力を組み合わせることで、未来予測のアルゴリズムを応用できることに気づく。
ポンタはしばらく市場を見つめ、冷静に言った。
「どえりゃぁ……これ、ガチのチートスキルやん……!!」
***
次に試すのは《ポイント5倍デー》。
ポンタはダンジョンで小規模の狩りを行い、そのドロップアイテムの獲得数を確認する。
「……あんた、こりゃなんや?」
通常の5倍どころか、狩りの瞬間に経験値、アイテム、スキル付与率すべてが5倍になっていた。
「アホちゃうか!?こんなんバランス崩れるがや!」
だが、ポンタはもう気づいていた。
**このダンジョン、すでにバランスが崩壊している。**
***
《広告動画見てポイント》
脳内には魔界の企業広告らしきものが流れ始めた。ポンタは眉をひそめる。
「うわぁ、これ見るんか……しゃーないな」
動画が終わると、スキル《物理耐性UP》《知力向上》《異次元アクセス》を獲得。
「え、見るだけでこれもろえるん!?しかも異次元アクセスってなんやねん!!」
戦闘以外でもスキル取得が可能――このシステムの異常性をポンタは理解した。
***
《お友達紹介》
「えーっと、これを共有すると……」
ポンタは軽く発動させてみる。
その瞬間、周囲の仲間のステータスが変化した。
「な、なんやこれ!?スキルが共有されたやんけ!」
ルイ、晴明、南無三、芦屋神祖――すべての仲間にスキルが均等に付与される。
「チートスキルって、どえりゃあやばいがや……!!」
ポンタはしばらく沈黙する。
その瞳には、かつてないほどの輝きと狂気が宿っていた。
「これ……世界、買えるんちゃうか?」
***
ダンジョンの深層にて、新たなる力の誕生。
ポンタはすでに理解していた。
**このスキル、バランス崩壊の頂点や。**
そして――神との戦いは、もはやただの“戦闘”では済まないことを。
それは、支配の話だった。




