表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の余興により堕とされた異端の翼、その者、異界にて覚醒し神すら恐れる陰陽術を操る  作者: アマ研
第一章 堕天の陰陽師、現世に顕現す ―The Fallen Onmyoji Rises―
14/177

第十三話「九尾 前哨戦」 Nine-Tails: The Skirmish

 天を覆う瘴気。九本の尾が揺れるたび、空間が歪み、大地が呻く。

「さあ、始めようか。まずは…式神たちで様子を見せてもらおう」

 晴明が静かに符を切る。芦屋もそれに続き、数体の式神が前衛へと躍り出る。


「焔狐・夜叉丸、前へ」

「氷猿・雪喰、出陣」


 九尾は動かない。ただ、瞳を細めて獲物を見据える。その瞬間、閃光。

 狐火の矢が放たれ、式神のひとつが爆ぜた。だが、もう一体は接近して呪符を叩き込む。


 ――無反応。直後、尾がしなり、雷の奔流が走った。

「一撃で、二体とも……!」芦屋が呟く。


「雷撃、火炎、幻術……すでに三属性確認。魂の継承による異能か」

 流威は呟きながら、式神の反応と残滓から術式の波形を解析していた。


 次に進み出るのは、レンレンの操る中国式キョンシー軍団。

「九尾、貴様がどれほどの力を持とうと、我が霊符兵に喰われよ!」


 キョンシーたちは飛びかかるが、九尾は尾の一本で軽く払い落とし、次いで宙に文字を描く。

「空間圧縮? 時間停止……いや、魂遅延だ!」

 流威の目が光る。


 キョンシーたちが凍りついたように動きを止め、雷撃で貫かれる。


 レンレンが叫ぶ。「なんて霊圧……この狐、マジで神域に片足突っ込んでるじゃない!」


「面白い……じゃあ、今度は俺の番だ」

 流威が指を鳴らすと、彼の背後から十数体の式神が次々と出現する。


「何も考えず、突撃しろ」


「百目、構わず撃て」


 指示が飛ぶ。百目が唸り、魔眼からレーザーが奔る。晴明は雷撃の札を連続で放ち、芦屋は氷結術を展開する。レンレンも巨大な符を叩きつけ、火炎の爆風が炸裂する。


 流威の式神たちは、まるで弾幕の中を縫うように突撃し、次々と倒れていく。だが、そのたびに、流威の解析は進む。


「次……重力干渉、空間断層、魂剥離。九尾……お前、いったい何を喰ってきた?」


 式神が犠牲になりながらも、確実に情報は蓄積されていく。


「まだだ……まだ全容が見えない。だが……もう少しで、見える」

 流威の目が、九尾の核を捉えようとしていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ