第百三十一話 「冥界乱闘」 Hellbrawl
## ──予期せぬ訪問者たち
死神と悪魔の大乱戦が続く冥界。
その地の裂け目から、光の揺らぎとともに一人の少女が降り立った。
「──騒がしいわね。何よ、冥界ってこんなにうるさい場所だった?」
登場したのは“月詠”。
背には輝く銀の**三日月型の神器**が浮かび、魔力がほのかに周囲の空気を凍らせていた。
> ※月詠は神の観測者。神器の月は「現在の形状」が力の制御状態を表し、満月になると力が100倍に解放されるが、今は三日月=制限状態。
「今日は観光で来たのよ、冥界に。なのにこれ?静かにしてもらえる?」
そう言って、彼女は冥界の空に**銀色の月光衝撃波**を一閃。
数十体の死神が溶けるように崩れた。
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続いて、地の底から**地割れとともに現れたのはカーリー**。
「……また神々の茶番かと思ったが、これは違うな。殺し合いか? よろしい」
六本の腕、血のような肌、瞳に刻まれた戦闘本能。
カーリーは破壊の女神。元々、**ハデスとのタイマン**を目当てに来た。
しかし、現場を見渡すなり彼女は鼻で笑う。
「全員敵でいいな?」
冥界全域が“カーリーの戦場”と認識された。
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そしてそのハデス。
死者を統べる神王は、玉座の上からゆっくり立ち上がった。
「まったく……厄介な者たちが集まった。処理を始めようか」
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## ──乱闘開始
### メフィスト
空間重力を操る。周囲に**重力場**を展開し、空間ごと圧縮。
巨大な黒いレーザーが死神と悪魔を一掃する。
「静寂に戻すのは……これが一番早い」
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### ベルゼバブ
異常増殖した数万の毒蠅を放出。
それぞれが肉食・腐食・溶解を備えており、数秒で戦場の空気ごと変質。
「全方位、生命反応ごと溶かすわ」
味方さえ巻き込むその攻撃は、制御不能の領域へ。
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### マモン
地面から**亡者の手**を召喚。掴んだ敵を即座に**地獄の門**へ叩き込む。
門の中からは呻き声、引き裂く音、黒い火柱──
「暴れさせてもらう……遠慮は不要だな」
マモンの足元から黒炎が爆発的に拡散。
直径百メートル規模の範囲焼却。
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### サタン
魔剣を地に突き刺し、冥界の大地ごと吹き飛ばす。
煉獄の嵐と呼ぶにふさわしい黒い旋風が巻き上がる。
「いや〜これは寝起きには最高だな!」
彼が振るうたびに地形が変わり、周囲の味方も敵も区別なく巻き込まれる。
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## ──神々の猛攻
### 月詠の冷光斬撃
* 銀の三日月を中心に**波状の冷光衝撃波**を連続展開。
* ベルゼバブの蠅を一網打尽にしつつ、冥界地層ごと凍結させる。
「そっちの虫、気持ち悪いのよ」
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### カーリーの神速連撃
* 六本の腕がそれぞれ武器を持ち、**空間を切り裂く速度で同時多段攻撃**。
* 一撃一撃が神一柱を殺せるレベルで、近づいたマモンの肩を吹き飛ばす。
「それでも神か?反応が鈍い!」
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### ハデスの神域解放
* 玉座を中心に「死の支配圏」を展開。
* 触れた存在の“魂そのもの”を分離・封殺する空間。
* メフィストの分身体3体が一瞬で無力化され、霧のように消えた。
「これは我が領域。お前たちの自由など許さぬ」
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## 【結】──冥界、崩壊寸前
重力、毒蠅、亡者の手、地獄の門、冷光、黒炎、死の支配圏、神速の刃。
もはや誰もコントロールしていない。
ただ、**全員が“全員”を攻撃対象と認識し**、誰も止まらない。
そして、地平線の向こうから──
冥界の構造そのものが軋み始めた。
「……この戦場、そろそろ限界ですね」
メフィストは笑いながら、魔導書を開いた。




