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神の余興により堕とされた異端の翼、その者、異界にて覚醒し神すら恐れる陰陽術を操る  作者: アマ研
第六章 四国同盟、闇洞突破戦 — Shikoku Alliance: Dark Hollow Breakthrough
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第百二十二話 「全力戦線」 Total Front Assault

 タナトスの大鎌が空を裂いた。


 死という概念の塊が波のように押し寄せるその刹那、

 ついに、ルイが最後の切り札に手をかける。


 これまで、ルイは仲間たちをアシスト・索敵・予備戦力として慎重に運用してきた。

 それは全体戦力をコントロールするための最適戦術であり、敵の情報が不明な今、無理に戦わせる意味はなかった。


 だが――


 今ここに、それはすべて崩される。


「総員、戦線に出ろ。全力で、潰す」


 ルイの言葉と同時に、全戦力が一斉に動き出す。


 ---


 双剣を構えたランスがアーサーと並び立ち、風のように駆ける。

「背中は任せる」

「当然だ」


 聖剣と双剣が影の裂け目を切り裂き、タナトスの鎌を逸らす。


 ---


 ポンタは四つの尾をなびかせてルイに化けた分身体を展開。

「モノマネ分隊、混乱任務いっきまーす☆」


 幻影と高速移動でタナトスの目を攪乱し、射線を狂わせる。


 ---


 南無三が目を見開き、冷笑する。

「テヘペロ! 全弾照準、妖力マシマシでぶち込むわよぉ♡」


 乱舞する霊弾が死神の胴体を容赦なく貫く。


 ---


 芦屋神祖が液状式神を放出し、タナトスの足元へ。

「スライム、喰らいついて離すな! 喰霊機能、全開だ!」


 ---


 十尾晴明が空に陰陽図を描き、天と地の霊気を一斉に逆流させる。

「死の概念は――再編可能。だったら、書き換えてしまえ」


 全身から放つ十尾の呪術が、タナトスの霊核に干渉し始める。


 ---


 アシュラが六本の腕で同時に斬撃、打撃、投擲を繰り返す。

「数で押す? 違ぇよ。これは"質で叩き潰す"だ」


 ---


 真祖ヴァレンティナは一切の言葉なく上空から霊流を凝縮。

 彼女の一撃一撃が、死の霊気を吸い、変質させていく。


 ---


 そして、ルイはつぶやく。


「メフィスト――彼を呼べ」


 魔道書が静かに開き、虚空から仮面が現れる。


「この場面で“あの男”か。……面白い」


 そして、時空が裂ける。


 世界の構造が軋む音を立て、異なる位相からひとりの男が現れた。


 *オーマエハ・モー・シンディール*


 もう一つの世界の“住人”。


 メフィストと契約を交わした、ルイとは別のパラレルワールドの強者。


 鋭い眼差しをこちらに向ける。


 だが、ルイは挨拶の暇すら与えない。


「挨拶は不要だ。君も戦えるんだろう? だったら――とりあえず猫の手でも借りたいのでね」


 シンディールは薄く笑うと、懐から一枚の金属板を取り出した。



「これは素材にちょうどいい。…俺の世界じゃ、こういうのを“神造兵装”って呼ぶ」


 そのまま手をかざし、錬金術を発動。


 タナトスの大鎌が分解され、神域金属の**アダマンタイトインゴット**へと変換されていく。


 そして即座に錬成。


 **《神域鋼霊式・ゴーレム》**

 神話級金属から生まれたゴーレムが、咆哮をあげながら死神へと突撃を開始した。


「さあ、こちらの“世界のルール”にも、慣れてもらおうか」


 シンディールはそう告げると、背後から異形の槍を召喚し、霊流を纏って跳んだ。


 ---


 そして今、ルイを中心に、世界を超えた戦士たちがタナトスを包囲する。


 全力の、総力戦が始まった――。

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