〜謎の光〜
ある日の事だ、僕はいつものトレーニングを終えてジュースを飲もうとしていた。
「次はもうちょと重くした方が良いな」
トレーニングの道具を机に置く。
灰色のタオルを取り汗を拭いた。
椅子に座り丸いテーブルの上にあるソーダを飲んだ。
「炭酸を飲むとやっぱりスッキリするな」
椅子の背も垂れに腕をかけ足で椅子を斜めに押し倒す。
学生が良くやるあれだ。
「あれっ、もう無くなった」
満タンにあったソーダは氷だけとなった。
すると、何やら白と黒に光った怪しい物がこちらに物凄い勢いで落ちて来ている。
犬が虫を目で追うようにじっとそれを見る。
「いてっ!」
椅子は倒れた。
学校でこれをやる奴はだいたいこうなる。
お決まりだ。
落ちると光を放つのをやめた。
それは透明で丸かった。
「水晶かな、にしては結構頑丈だな。どこの星のガラスだろう」
すると、水晶のようなものに二人の人物が映し出されたのだ。
一人は黒く、一人は白い。
互いの距離は離れていた。
しかし、二人は煙と化し混じり合った。
「さっぱり意味がわかんないな」
すると、また光出した。
そして、光がおさまると目の前には杖を持った人や鎧を着たものがおよそ100人ほどいた。
「これを着けろ」
渡されたのはいかにも怪しい首輪だ。
しかし、そんな事は気にせずに着ける。
「付いて来い」
僕は素直に聞き入れて付いて行った。
「ていうか読者達はこの状況に付いて来れてるのかな。まぁ、異世界系だからこの展開はよくあるから大丈夫だよね」
「何をごちゃごちゃ話している」
連れていかれたのは牢屋だった。
頑丈な鉄で囲われた厳重な牢屋だ。
「入れ。」
背中を蹴飛ばされ暗くベッドも何も無い場所へと無理矢理入れられた。
「これを飲め」
赤紫色のどろどろした液体が入った瓶を渡された。
猿でも分かる危険な物だ。
毒かあるいは体に何かしらの害をなす物だろう。
自分がそれを飲む様子を兵士は嘲笑いながら見ている。
これを例えるなら金持ちの小学生が一般人を馬鹿にするような目、もしくは同期の社員がたまたま仕事が訳わからず上手くいき上司に褒められ見下すような目だ。
「随分と親切なんだな」
瓶を返す。
そして男が言う。
「2653番。今日からお前はこの国の奴隷の兵士だ。明日から訓練がある。せいぜいこの部屋でくつろいどけ」
2653か、もっとキリのいい数字が良かったな。
兵士は不気味な笑い方をしながら去って行った。
「僕には二つの選択肢があるな。この国をちゃちゃと潰すか、この牢屋から瞬間移動して出るか」
すると隣から男の声は聞こえた。
「おいおい2653、何無茶な事言ってんだ」
壁を透視したところ20代ぐらいの若者だ。
金髪のヤンチャな男といったところだ。
「無茶なことでは無いと思うけどな」
「もしかしてお前召喚者か」
「たぶん…」
「今俺たちがいるのは国の地下だ、仮にも歯向かえば殺される。それに瞬間移動なんてものは転移魔法を使えないと無理なんだぞ、ましてやあんな高等魔法を使うなんて。あんま大きな妄想はオススメしないぜ。」
「アドバイスありがとう。一応自己紹介をしておこう。僕はヴァニタスだ」
「俺はリークだ。つい10日前ここに入ったんだ」
自慢げに言う。
「何でリークはここに入ったんだ」
「それがな、」
前置きが長かったので簡潔に言うと街を歩いてて転んでしまいたまたま貴族がおりゴツンそして牢屋に居ると言う訳だ。率直にいってかわいそうな奴だ。
こう言うやつにお菓子の当たりなどが恵まれて欲しい。
「よしっ、決めた」
「何をだ」
「もちろん脱獄だ」
「はいはい、そうですか」
無愛想なやつだ。
もうちょと希望を持てよ。
「俺はもう寝る」
汚い床に背を着けて頭を抱え足を組み寝た。
「寝たか。明日少し見学をしたらここを出て行くか」
日の光が牢屋の隙間から差し込む。
「起きろ奴隷ども」
「起きてるわ」
昨日の兵士だ。
「2653番、お前は今日から2642番とペアを組め」
「早く出て来い」
はたまた無理矢理に出てこさされ更に地下へと連れて行かれた。
古びた剣を渡された。
その後は殺し合いだ。
訓練とはいえ死んだら意味無いだろう。
ていうかこんなのだけならただ単に素人が剣を振り合ってるようなものだろ。
どうやら兵士の話によると週に2日はこうやって実戦をして5日は厳しい奴らに剣技を教え込まれるらしい。
奴隷からしたらこの日がとても楽な日であると喜んでいる。
今日はたまたまその2日だったという訳だ。
僕は リークが怪我しない程度に剣を振った。
リークは剣術など会得していないため無作為に剣を振るうだけだ。
行く途中で小さな声で何故ペアなのかを聞いた。
どうやら仮にも相手が何かを反することを犯し密告すれば釈放との事だ。
まっ、嘘だろうだけどな。
こういう所だけは頭が回る。
もう見学は終わったのでそろそろリークとの脱獄を始めようと思う。
「おーい、リーク」
「おいっ、喋ったらムチで叩かれるぞ」
バシッ
ムチで叩かれたのはお前の方じゃ無いか。
「リーク、これはテレパシーだ。お前にも使えるようにしてやったから剣を振りながらよく聞け」
「もしかしてスキルか」
どうやらこの世界にはスキルというものがあるらしい。
テレパシーは思念伝達や精神感応というスキルに似てるらしい。
魔物の対抗手段として神から魔法を得たという話があるがどうでも良い。
昔の知識なんて頼りならないからな。
普通”転生者”や”召喚者”は何かしらの力を持ってるのは当然だろう。
まっ、これは僕の元からの能力だけど。
「計画としては牢屋に戻ったら転移してこことはおさらばって感じた」
「だけどな牢屋に戻んのは早くても18時間後だぞ」
「かなりのブラックだな。ならばこうすれば良いのだ」
すると、どこからか爆発の音が聞こえた。
「何だこの音は」
「フッフッフッ、リークくんこれも僕の計画の一つだ」
「何っ」
「今日牢屋から出る時に兵士にをで時限爆弾をつけたんだ」
威力は多分死なない程度だと思う。
「更にだっ、この仕掛けは三人にかけた。そのうちの一人は国王直属の騎士だ。つまり、これは国王の首を狙うと考えるのが妥当。ならば、全勢力で国王を守ればならねばいけない。しかし、これが起きたのは突然の事だ。今は混乱状態、ならばどうなるかは簡単だ。パニック状態により今の間に全員脱獄か国が賢ければ牢屋に戻るように命令するだろう。どちらでも結果は同じだ。」
「何だかよく分かんねぇけど脱獄出来るってことだな」
「その通り」
よしなんとか謎のゴリ押しで納得せる事ができたみたいだ。
まぁ、今すぐ転移しても良いなだけど騒いで慌てる姿が見たいからな。
すると、兵士長が息を上げながらやって来た。
「奴隷どもを今すぐ牢屋に入れろ」
その言葉を聞き奴隷たちは少しだけ嬉しそうだ。
「後者だな」
それからヴァニタスの思惑通り牢屋へと戻った。
「さて、ここもおさらばだな」
ここからはテレパシーではありません、ご注意を。
「牢屋に戻れたもののどうすんだよ、やっぱあのまま全員脱獄した方が良いんじゃなかったか」
「分かってないな」
ヴァニタスは壁を水に手を入れるかのように簡単に擦り抜けた。
「うぇぇぇぇ、何だそれ」
「そんなに気持ち悪がるなよ」
ヴァニタスはリークに手を差し伸べた。
「えっ、俺恋人いるんだけど」
「僕だって慣れてないからこうしてるんだよ、嫌ならここに入るか」
「分かったよ」
超絶嫌な顔をしながら手を軽く掴んだ。
すると僕の能力の一つの『瞬間移動』によってリークの家へと移動した。
何でリークの家を知っていのかって『幽体離脱』をしてリークの家を探したんだよ。
きちんと人のプライバシーは守ったよ。
大体算段はついていたし。
・・・
瞬間移動をすると目の前には一人の女性がいた。
「ってリークどうしてここに!」
「ルミナこそ」
二人は泣きながらハグをした。
それから10分ほど僕は目の前でイチャイチャしたんだ。
「おーいちょっと良いですか」
全く聞こえてないようだ。
なので僕はリークにチョップをお見舞いした。
「いって、何すんだよ」
「こっちのセリフだいつまでイチャイチャしてんだよ」
「つい興奮しちゃてな」
〜言動注意〜
まったく反省していないなこいつ、それもリークらしいといえばそうか。
「これやる」
持っていたのは少し大きめの巾着袋だ。
「何だそれ」
リークが取ろうとする。
「お前はダメだこれはルミナさんに預けとく」
「中身ぐらいみても良いだろう」
小学生の弟みたいだな。
ルミナが受け取り中身を見る。
「こ、こんなの受け取れません」
リークもそれを見ると目が金マークになっていた。
中には金貨が1000枚程入っていた。
君たちの地球でいうとおよそ1億ほどだ。
「どうやってこんなの集めたん」
「お前が寝てる時にこっそり盗んでやった」
「すげーなお前」
「ですがどうしてこんなにも」
「引っ越せ」
リークはポカーンとした顔だ。
「何で引っ越すんだよ」
「だったらこれは僕が貰っても良いのかな」
「ダメですダメですありがたく頂戴します」
直生が一番だぞリークよ。
「それじゃあ僕はこれくらいでおさらばさせてもらうよ」
「ちょっと待て」
リークが何と握手を求めてきたのだ。
僕とリークは握手を交わした。
まるで何かの約束かのような。
「感謝するぜヴァニタス」
「ありがとうございます」
二人ともお辞儀している。
「こっちこそ面白い時間を過ごせたよ」
扉を開くと太陽が街を照らしていた。
太陽の光に当たるのは久しぶりだ。
「この国を潰すのはもう少し先にするか」
《能力の説明》
『瞬間移動』・・・目的の場所へと移動できる。
『幽体離脱』・・・本体(肉体)から意識を出すことが出来る。
補足1:魂が飛び出すみたいな感じのイメージがあると思いますがヴァニタスの場合、魂はあるにはあるのですが仮初なので意味はないつまり実際魂はないので上の通りに書きました。
補足2:幽体離脱しても本体と並列しながら行動ができる。だかいってしまえば単なる目に見えない透明な奴。
たぶん転スラのパクリだと思われるだろう。
なぜかって、転スラがめちゃくちゃ好きだからだ。
先に謝罪します。
このような見ず知らずの自分が偉大なる作品の内容を引用してしまい申し訳ありません。