エピローグ
時は流れ令和5年
「おっはよー!!」
「姉ちゃん!!何だよその格好?!」
早織は学ランにズボンという男子生徒のような姿で食卓につく。
「姉ちゃん、男みてぇ!!」
弟の昭一がからかう。
「うるせぇ!!うちの学校は男女共にセーラー服も学ランも支給されるんだよ。だから女が学ラン着たっていいんだよ。それにズボンのが自転車こぎやすいだろう。」
「早織」
「何だよ親父。」
「うちの先祖に早織のような女の子がいたんだ。」
大正時代、亡き兄の形見である軍服を着て馬に乗りながら女学校に登校していた者がいたと父は話す。
「その人どうなったの?」
早織は父に尋ねる。
「確か1つ年上の同級生と駆け落ちしたよ。彼女の父の紹介で兄と同じ海軍に入隊した。」
「女の人なのに海軍?すげぇ」
隣で聞いていた昭一が声を上げる。
「でも姉ちゃんは無理だな、泳げねえから」
「馬鹿!!」
早織は昭一の頭に拳骨する。
「くだらないことばっか言ってると遅刻するよ。」
早織は自転車に乗って学校へと向かう。
途中細道に入る。そこは早織だけが知っている近道である。早織は墓地の真ん中の道を通る。どの墓石も花が添えられていたが1つだけ荒れ果てた墓石があった。その前に袴姿の少女がいた。お墓参りだろうか?
早織が墓石の前を通った時
「ちょっと!!何?」
突然自転車が動かなくなる。
「あの」
振り向くと袴の少女が早織のすぐ隣にいた。
「後ろ乗せてもらえますか?」
FIN