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白馬の背中に跨がるのは  作者: 白百合三咲
2/7

軍服姿の女学生

「おはようございます。」

ここは栞の家。栞は部屋で着替えを済ませ、女学校に持っていく鞄を用意すると食卓に着く。向かいの席では弟が母が炊いてくれた白米を頬張る。

「将太、落ち着いて食べなさい!!」

叱責する祖母、その傍らで父はお茶を飲みながら新聞を読んでいる。これがいつもの朝の風景だ。たった1つを除いては。

「栞、何だその格好は?」

「何って兄さんの形見の軍服です。」

父に尋ねられて返す。

「それは見れば分かるがなぜお前が着ている?」

 栞には兄がいた。年は10才も離れていたが栞は兄を慕っていた。兄が乗馬を習いたいといえば栞もやるといい、兄が剣術の稽古をしてると自分も木の棒を持って見よう見真似で兄の真似をしていた。兄は中学を卒業すると海軍士官学校に入学。先の大戦にも志願。しかし昨年の日本の勝戦の知らせと同時に兄の訃報も届いたのだ。

「お父様、これは兄さんから譲り受けた物です。着るのは僕の勝手です。袴よりもこちらのが馬に乗りやすいので。」

「姉さん、兄さんにそっくりです。」

「嬉しいこと言ってくれるな、将太。」

「栞、お前は女だ。海軍には入れないのは分かっているだろ?」

「はいはい、そうですね。」

栞は立ち上がり鞄が背中に来るように持つと家を出る。




「ジャンヌ行くぞ!!」

栞は愛馬ジャンヌを馬小屋から連れてくると跨がる。

「よし!!出発だ!!」 

ジャンヌは勢いよく走り出す。

「ジャンヌ、酷いだろう。父様は女は軍には入れないなんて言うんだ。」

食卓での出来事をジャンヌに話す。

「女だから入れないなんておかしいだろ。ジャンヌダルクだって女だけど軍を率いて戦って祖国フランスを勝利に導いたんだ。女だから無理なんてことはないはずだ。」

栞はフランスを救った乙女の伝記を愛読し学校の休み時間も呼んでるのだ。それも兄からもらった物だ。

愛馬の名前も彼女から来ている。

「ジャンヌ、こっちだ。」

栞はジャンヌに細道に入るように指示する。そこはいつも栞が近道に使ってる道である。


「ひひーん!!」


墓地の前の道に差し掛かった時突然ジャンヌが立ち止まる。

「ジャンヌどうした?」

ジャンヌはこの先に進みたくなさそうだ。

「ジャンヌ、急がないと遅刻するぞ。」

しかしジャンヌは首を横に振り前に進もうとはしない。

「仕方ない。別の道を行くか。」

栞は仕方なくもと来た道を引き返し、遠回りになる道を行く。

学校までの一本道をジャンヌと共に歩いていくと 

「ひひーん!!」

再びジャンヌが止まる。

「今度は何だ?」

ジャンヌが河原の方に顔を向ける。

「あの娘大丈夫か?」

栞は袴姿で踞る少女の姿を見つけた。

お気づきの方もいるとは思いますが栞のモデルは作者の好きなあの人です。


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