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プロローグ
夏の公式企画3作目です
大正時代とある田舎街の女学校
「ねえ、お聞きになって?今日転校生がいらっしゃるそうよ。それが東京からいらっしゃるお嬢様だそうよ。」
「まあ、どちらの学年?」
「それが3年生、うちの学年なのよ。」
「ではこの級に入るのね。」
この女学校は人数が少ない田舎の学校のため1学年1組しかないのだ。
「さあ、皆席につきなさい。」
担任の女教師が教室に入ってくると皆一斉に着席する。
「先生、転校生が来るって本当ですか?」
生徒の1人が尋ねる。
「ええ、そうなんだけどそれが。」
教師は困惑したような表情を見せる。
「それがまだ学校に来ていないのよ。」
「どういうこと?」
教室中がざわつく。その時
「おはようございます。」
目の前に白の海軍風の軍服を着た人物が現れた。
「石川さん遅刻ですよ。」
石川栞。男のような姿をしているがここの女学校の生徒、つまり女の子だ。
「すみません。馬の機嫌が悪くて。それから彼女今日からうちの級に編入してくる娘ですよね?」
栞の傍には色白で細身の少女が立っていた。