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散りゆく僕らの夢物語

作者: 白蕾 黒澄

残酷な描写がありますのでご注意下さい。

窓一つ無い暗い廊下を、何でも無いかのように僕と弟は歩く。

床や壁には僕たちが殺した人だった奴らの血が、肉片が、内臓が、絵を描いたかのように散らばりこびりついていた。

窓一つない廊下に光はない。そのせいで、時折人だったものの骨や肉片、さらには内臓までを踏んでしまう。結果、そこには何とも言えない嫌な音が響くわけで。

その他にある音といえば、僕たち二人分の無機質な靴音と、まだ血の滴る日本刀の擦れる音だけで......。


僕たちが履いて来た靴や服、さらには黒い髪にまで、大量の返り血がこびりついている。

乾いた血もあれば、まだ暖かく滴る乾ききっていない血と、様々なカタチをした血がまとわりついていた。

服は大量の返り血を吸い、重く肌に張り付いている。


僕たちがあまりにも大量の血や肉片をまき散らしたせいで、この窓一つない暗い廊下には、独特なむせ返るような匂いが充満していたが、全く気にはならなかった。

「嗅覚」

人間として、生き物として必要なもの。それが僕たちにはない。


人殺しの道具、いや、人形として僕たち兄弟は育てられた。

人形に人らしさは要らないという大人たちの自分勝手な理由が、僕たちに人として必要不可欠な感情や五感などといったものを奪った。

さらには、実験とは名ばかりの改造。

それにより、先ほどの感情や五感の他に、痛みや空腹、さらには睡眠を取る事や疲れを感じる事もなくなった。


僕たちにまだあるものといえば自我だけで。もっとも、その自分を表す最後の自我でさえ、もうすぐあの大人たちに奪われてしまうのだか......。

その大人たちを憎いとは思わない。

もう、そんな感情でさえ

ナ・イ・ノ・ダ・カ・ラ......


廊下の闇の先にうっすらと光が見えた。腕にしていた時計がしめす時刻は二十三時四十三分。もう夜中といえる時刻だった。


廊下を出ると、残酷なまでの優しい月明りが、僕たち兄弟を包んだ。

空を見上げる。恐いほどの満月だった。

僕の口は、無意識のうちに言葉を紡いでいた。


「きれい......。」


その声に感情が含まれているわけなんてないけれど。

僕は先を歩く弟を気にすることもなく、ただただ、その月を見つめていた。




散りゆく僕らの夢物語

(夢なんて、見られないさ)(僕らは忘れたんだから)(美しい夢の見方なんて)




僕らに夢のような物語は、訪れはしない

あるのは、月という夢だけ......。



.

「散りゆく僕らの夢物語」はいかがでしたか?突発的に書いたので、訳が分からない所が多々あると思いますが、そこは大目に見てやって下さい。ちなみに、出て来た二人に名前や年齢設定はございませんが、私の中では兄・16歳、弟・12歳と思っております。では、ここまで読んで下さりありがとうございました!!

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