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勝利と幸運の女神さま  作者: 龍太
6/6

発見

 日々鍛錬を続けてきたが洗礼のために外に出て気付いたことがある。比較対象が少なすぎるんだ。この世界がファンタジー世界だから自衛のためにと思って鍛えてきたけどもしかしたら化け物扱いになるかもしれない。少なくとも家族を見るとこの年にしては化け物だろう。一刻も早く外に出て調査したくなってきた。


「サラ、僕って一人で屋敷の外に出てもいいのかな?」


「私が同伴すればお出かけもできますよ。どこか行きたいところがあるのですか?」


「とにかく色んな人が見たいんだ。散歩に行こう」


 とにかく町を見てあわよくば冒険者ギルドを見たいと思ったがどうやら屋敷からは随分と離れているため、昼食までには厳しそうだ。やはり領主と荒くれ者は遠ざけたいということだろうか。冒険者が荒くれ者というのも偏見かもしれないが。


 気を取り直して何やら賑わっている方に向かうと大きな店が見えた。ここは知っている。家の御用商会のオーベム商会だ。食品関係を扱っている商会で、高級品から安物まで広く扱っていると聞いている。しかし我が家の食卓を鑑みるにこの世界の食糧事情はそんなにいいものではないだろう。あまり期待しないようにしながらも入ってみることにした。


「いらっしゃいませ。サラ様とご一緒ということは神童と名高いイリヤ様ですね?初めまして、私はオーベム商会会頭のサージと申します」


 なんと会頭自ら挨拶に来た。まぁ領主の子だと分かれば来るか。利に聡い商人ということか。しかし神童とは誰が言いふらしているのか。


「ご丁寧にありがとうございます。その、神童とは誰が言ってるのですか?」


「聞きしに勝るとはこのことですね。フェリクス家の使用人はみな仰いますよ」


 ちらりとサラを見るが然も当然という顔をしている。本当のことだろう。


「あまり買い被らないでください。ただの三歳児ですから。今日は散歩がてら覗きに来ただけなのでお構いなく」


 そう言ったものの丁寧にお辞儀している姿を見るに分かってもらえなさそうだ。そんなことを思いつつ店内の高級品の一角と動物用飼料のところでとんでもないものを見つけた。


「…サラ、僕が使えるお金ってどれくらいある?」


「そうですね、小銀貨5枚といったところでしょうか。何かお買いに?」


 サラに頷きだけ返しサージのところに向かい、

「米三袋と大豆十袋ください!」


 そう、米と大豆があったのだ。米は輸入品らしく高いが仕方ない。これで醤油や味噌を作れる!


「コメとダイズですか。珍しい買い物ですね。どちらも家畜の餌ですがよろしいので?」


 これが家畜の餌だなんてとんでもない!サラに払わせて急いで帰らなければ。当初の目的など知ったことではないと言わんばかりに店を後にした。


 屋敷に戻ってから米と大豆が届くまでに土鍋を作ることにした。米が食べられていないのは正しい食べ方を知らないからに違いない。もしかしたら輸入元では食べているのかもしれないが。

 土鍋くらいなら魔法を使えば作れるだろう。というか作った。土魔法と火魔法を使って作った。どちらも想像魔法のため、我ながらいい出来になったものだ。


 昼食後、届いた米を一袋持って厨房に向かった。バッセンが夕食の下準備を始める前に炊かなければならない。


「お、イリヤ様。どうしたんですかい。まだ下拵えはしませんからお手伝いは大丈夫ですよ?」


 なにやら勘違いしているようだが仕方ない。魔法の練習としてしかここには来なかったのだから。早速米研ぎから始めていく。精米はされてない雑穀米だが今はいい。


「イリヤ様がオーベム商会でなにか思いついたようです。よく見ておいた方がいいかもしれませんよ」


 玄米だからより水に浸けておかなくてはならないが…魔法で代用だ。魔力を結構使うが時間を進める。どうせ発酵食品を作るなら避けられないのだ。


「サラよ、俺には時間を進める魔法なんて使えないんだが…」


「私だって初めて見ましたよ。自分が作るときには普通に待てばいいでしょう」


 外野は放置して土鍋で炊き始めてっと。待ってる間に説明しよう。


「バッセン、これはオーベム商会で買ってきた米だ。家畜の餌として売っていたけど調理次第でおいしくなるんだよ」


 バッセンに昔見たサイトの内容を伝えていく。二人ともどこで知ったのかと言いたげだが料理に関しては自重しない。今決めた。

 説明し終わるころに炊けたためとりあえず塩結びにして食べさせる。この手はまだ小さいので昼食後でも食べられるサイズだ。


「へえ、家畜の餌と聞いたときにはどうかと思いましたがこいつぁ旨いですね。腹持ちも良さそうだし小麦より少し高くても賄いに良さそうだ」


「色んな調理法があるから気が向いたときにまた教えるよ。これにあう料理と一緒にね」


 二人とも概ね満足してくれたみたいだし普段の食事に出るのも遠くないかもしれない。


 ご機嫌で厨房を出たところで母に会った。

「イリスが勉強に来てくれないと思ったらこんなところにいたのね。もうお母さんとの勉強は飽きちゃったの?」


 あまりに悲しそうに言ってくるので事情を説明し、納得してもらうついでに

「いつもと同じじゃなくてそろそろ前に言ってたアレも教えてほしいです。でないとそろそろつまらなくて…」

 と伝えたところ渋々ながらも了承してくれた。チョロいぜ。毒薬の製法ゲットだ。



 次の日から日課が朝の家族の鍛錬、午後の薬学(毒薬含む)の勉強、魔法込鍛錬に加え味噌・醤油作りが加わった。

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