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小話。  作者: そぃ
1/1

サブタイって何?


英雄譚。


「えいゆうたん」

「ん?どうしたアカリたん。急に可愛いこと言い出して」

「またそれ読んでるの?」

「英雄譚は最高だぜ!」

「トーレ、って人だっけ」

「そうそう。初代国王の右腕だった人が書いたんだ」

「飽きない?」

「まさか。初代国王の一生はまさに伝説。男のロマンだからな!」

「一生?」

「正しくは七日だ」

「・・・ショボ」

「七日で国を統一したんだぞ!?凄いの一言だろ」

「七日に人生を賭けた、的な?」

「命短し、だな」

「それが男のロマンなの?」

「そうだ!」

「そっか。キミはセミになりたいんだね」

「ん?」

「キミはまだ土の中にいるんだよ」

「・・・どういう事?」

「まだ本気で生きてない、みたいな?」

「なんかかっこいいから採用です」

「頑張ってね」

「おう」

「腑抜けヤロウ」

「一日一回は罵倒しないと死ぬ病気なの?」

「私の本気はそこにある」

「アカリは英雄にはなれないな」

「英雄のヒロインになるからイイよ」

「・・・なら頑張らないとな、俺が」

「あ、はい」


掟。


「掟ってよくわかんない」

「勉強不足だな」

「教科書には載ってないもん」

「まだ諦めるな!」

「どういうこと?」

「そんなアカリにこれを貸そう!」

「ん?」

「さぁ!受けとるんだ!」

「・・・それ英雄譚じゃん」

「百八十三頁から読むんだ!」

「早く!間に合わなくなっても知らんぞっ」

「うるさいよ」

「静かにするので読んでください」

「や」

「アカリはこれだからなー」

「なに?」

「なら俺が教えてやるよ」

「なら聞く」

「その体にな!」

「あらいぶ」

「ん?」

「それとも、DEAD?」

「いい発音だ。アライブで頼む」

「了解」

「じゃあ、まずひとつ目な」

「その前に良い?」

「どうしたんだ?」

「全部でいくつあるの?」

「ふたつだ!」

「えぇ・・・なんか・・・あれ・・・」

「争いを起こさないための掟だからな。大事な事だけ、と考えたんだろう」

「多いと覚えられないしね」

「初代国王は意外と面倒臭がりだったのかもしれないな」

「君みたい」

「それは違うぞ」

「それで、ひとつ目は?」

「ひとつ目は、不可侵の掟だ。これは簡単に言うと他の国に入ってはいけないってやつだな」

「私が水の国へ入ったら駄目なの?」

「あぁ」

「もし入っちゃったら?」

「牢屋にゴーだ。無期限にな。最悪スパイと見なされ国同士の争いにも発展しかねない」

「厳しい。ふたつ目は?」

「不殺の掟だ。どんな理由があれ人を殺してはいけないんだ」

「人以外は良いの?」

「一応な」

「なら、人の形をした人じゃないモノは?」

「それは・・・人じゃないんじゃないかな?言葉通り」

「ふーん」

「もしかしたら、人に入るかもしれないけどな。初代国王に聞かないとそこは分からん」

「そっか」


現国王。


「今はいないよね?」

「あぁ。初代国王がすぐいなくなってからはまた四国に別れた」

「いついなくなったの?」

「英雄譚によると、一日だな」

「凄く生き急いでる人なのかな?」

「どうも突然と居なくなったらしい。理由は書かれていないな」

「死んだ?」

「どうかな?王妃も一緒に居なくなったから、今頃二人で静かな所で暮らしてるんじゃないか?」

「奥さん、いるんだ」

「めっちゃ可愛いらしい」

「ふーん」

「アカリには負けるけどな!」

「へー」

「本当だよ?」

「はいはい」

「・・・本と「もうイイよ。ありがとね」


凶獣ベスティア


「あまり見掛けないな」

「基本的に洞穴からは出てこないから。夜行性だし」

「でもワンコにはよく会うぞ?」

「ワンコは違うもん」

「えっ、あいつ凶獣ベスティアじゃないの!?」

「ワンコはワンコだよ。新種」

「そっか・・・。そう言えばあいつ」

「んー?」

「人の言葉喋れるもんな」

「なにそれ凄い」

「この前、は?って言われた」

「・・・は?」

「もしかしたらあいつは人の生まれ変わりなのかもしれない」

「偶々だよ」

「絶対そうだから!」

「怒らないでよ。なんで急に怒るの?」

「アカリが俺のロマンを理解してくれないから!」

「意味分かんない・・・」


変態男とナイフ。


「あいつ何者だったんだ・・・」

「私が説明する」

「アカリ!?」

「はい」

「はい」

「それよりあの男」

「おっさんだったな」

「はい」

「はい」

「どこかで見た気がする」

「あー、その現象な。デジャなんたら」

「多分、違う」

「そっか」

「あと、このナイフ」

「今アカリが持ってるやつな」

「うん。このナイフは黄金の国の物」

「それは確かなのか?」

「この模様はあの国独特の模様だから。間違いない」

「じゃああの男も?」

「さー?」

「ですよねー。でも何でそんな事知ってるんだ?」

「えっへん」

「いや・・・理由を聞いてるんだが」

「えっへん」

「理ゆーーー」

「えっへん」

「・・・理由は分からないが理由を話す事はできないんだな」

「えっへん」

「あのナイフが世界の今後の鍵を握っているのかもしれない」

「と言うか」

「ん?」

「同じ模様の包丁家にあるよ」

「まさか母が握っていたとは」


アカリの力。


「ぷにぷになのに意外と力がある。実は結構筋肉質だよな」

「嬉しくない」

「身長は同じだし俺ぐらいなら持てなくはないのかな?」

「キミがガリガリ君なんだよ」

「確かにアカリよりは軽いかもな」

「むー」

「嘘だよ」

「ひゅしゅー」

「可愛い」

「それキライ」

「膨らんだほっぺた見ると指で押したくなる衝動、ありませんか?」

「ありません」

「でもなんでそんなに力あるんだろうな?」

「産まれつきだから」

「天性のものであったか」

「知らないけど」

「ですよねー」


二十年前の大戦。


「父さんと母さんは二十年前の大戦を生き抜いた猛者だ」

「何言ってるの。あれは言うほど大きくもなかったわよ」

「でも英雄譚には大戦って」

「歴史の本って言うのは、少し大袈裟に書いてあるものよ」

「そうなの、父さん?」

「そうだなー・・・そんな雰囲気はあったが、俺は戦になってる事すら知らなかったな」

「えぇー・・・」

「世の中そんなものよ。上の人達だけで揉めて、私達の知らない所で争って、知らない所で終わってるの」

「夢がないなー」

「争いの中にあるのは現実だけよ」

「お、母さん良い事言ったじゃないか」

「あら、そう?ありがと、お父さん!」

「仲良しかよ」



終わり。



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