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『爪女』

作者: 佳景山 雪多々

ふと仕事終わりに弾んだ話、いただいたお茶をきっかけに普段いかない古い神社のトイレに

そこであった恐怖体験とは。。。

ある日私は、とある山奥に営業に来ていた。

 私の仕事は福祉関係の営業であるが、高齢の方を相手に仕事をしていると、昔ながらの家屋に住んでいる人も多く、山奥まで走ることも少なくはない。

 この仕事を始めて2年になるが、営業先への訪問は今は祖父母の家にくる感覚で、訪問している。

 今日も話が弾んでしまい、帰るのが夕暮れ時と同時刻となってしまった。

 「おばあちゃん、そろそろ帰るね」

 「おや?あっという間にこんな時間かい?この後仕事もあるのに、いつも悪いねぇ」

 「いいのよ、こっちこそなかなか様子見に来れない日があってごめんね」

 そう言って、Yさんの家を後にする。

 Yさんは一人暮らしのおばあちゃんで、家からほとんど出ずに暮らしている、なにぶん会社からも遠いので、2〜3ヶ月に一度くらいしか来れないのだ。

 車のエンジンをかけ30分程走らせたところで、しまったと思った。

 「トイレ借りとくんだった、、、」

 おばあちゃんの家で長いこと話していた際にお茶を飲みすぎてしまっていた私は、後10分くらい走った先にある、神社まで耐えることにした。

 人気があるわけではないが、掃除もされていそうな神社である為、夕暮れ前ならと、急いで神社に向かった。

 到着して、車を車道の端に止める、急ぎ足で境内を横切りトイレを探す、

 「あった!」

 すぐに駆け込み用を足した私は、トイレから出る時に何か踏んでしまった。

 「バキッ!」

 今まで薄暗くて慣れてなかった目が自然と慣れてくる。

 まもなく日もくれる、急がなくては、と思い扉を開けようと足を上げた時にハッとした。

 「爪?」

 床を見ると辺り一面に、人の爪のような物が散らばっている。

 ゾッとした私は急いで扉を開ける。

 トイレから外に出ると先ほどと雰囲気が違う、閑散としていることには変わりないが、気配を感じる、これは視線だろうか?

 辺りを見渡すが、何もない、

夕日の差しかかる林を目を細めてみると

木の中腹に何かあるのが見えた。

「藁人形だ、、」

 実際に存在は知っていても、実物を見るのは初めてで思わず身が固まる、この空間に一人ということもあってより一層恐怖は強まっていく、藁人形と釘の中心部に何かがある。

「爪?」

 先ほど転がっていたものが脳裏によぎる、まるで人の爪を丸々はがしたかのような生爪が腹部の中心にあった止まっていた思考を無理矢理に動かし、急いで車に向かう

「あれはまずい」

焦りながら境内の側を抜けて、階段を降りようとすると階段を登ってくる影が見えた

何の確証も無かったがあの人物がこの藁人形を打った主だと思った。

思わず境内の陰に隠れる。

息を殺して陰に潜む、自分の呼吸音すら大きく聞こえる。

おそらく女性であろうその人間は近くで見ると小柄で猫背何かをブツブツつぶやきながら歩いて来る、顔はよく見えない。

こちらには気がついていないようである、真っすぐ彼女はトイレに向かった。

この時点で私は恐怖もあったが、彼女がここで何をしているのかという好奇心の方が勝ってしまっていた。

しばらく物陰に隠れて観察をしてみる。

彼女はトイレから出てくると、あたりをキョロキョロ観察している。

「誰かいるの?どこ?」

まずい、多分彼女は私を探している。

私は隠れたままやり過ごす。

彼女は藁人形のある方に進んでいく。

息を殺したまま私はその場を移動し車へと向かう。

しかし地面は砂利で走って逃げる私を彼女は見逃さなかった。

私に気が付いた彼女は

「まてぇーーーーーー、お前みーたーなーーーーー」

と顔を真っ赤にして近づいてくる。

私はダッシュで神社の坂を下り車に乗り込んだ。

その女はもうすぐ側まで近づいていた。

車に乗りカギを閉める、彼女は追いついてきていた。

車の窓ガラスをドンッドンッと力任せに叩いてくる。

私は恐怖を感じ頭を抱える

「ひゃあー」

女も死に物狂いで叩いてくるがやっとの思いでエンジンをかけ車を出す。

車を出す一瞬女の方を見た

爪がない、、、、

私は唖然としてしまったが

急いで車を出しその場を離れた。あれは何だったのだろうか。

気持ち悪い、そんな思いを抱えながら会社に帰った。

会社について、以前あそこの営業担当だったHさんに話を聞いてみた。

「Hさんあそこの廃神社知ってますか?」

「あぁ、、あそこななんでも昔から有名な心霊スポットだよな?」

「知らなかった、、、なんで教えてくれなかったんですか?」

「言ったらお前怖がるじゃん」

まぁそうなんだけどとおもいながらも、今日あった事を説明した。

「なにそれ!?こっわ!!」

「噂とかも聞いたことないですか?とにかく怖いのであそこにもう営業行きたくないんですけど、、、」

「、、、分かった、俺から上に言っとくよ。とりあえず明日から連休なんだから今日は帰って休め」

「ありがとう、、、ございます」

私はその日は残業を行わず足早に帰宅した。

帰宅後はあのことを忘れようと友達と夜遅くまで電話をし眠りについた。


次の日の朝、普段より少し遅めに目が覚め寝ぼけた瞼をこすりながら朝を迎える。

ニュースを見て衝撃が走った。

昨日訪れたおばあちゃんが亡くなっている。

「あんなに元気だったのにどうして?」

暗い気持ちになったが、もともとかなりご高齢な方だったので老衰で天命をまっとうしたのかなと思っていた。

週があけた月曜日

H先輩が慌てた様子で話しかけてきた。

「お前あのニュースみたか?」

「おばあちゃんの件ですよね、残念ですが仕方ないですよね。つらい仕事ですが受け止めます」

「そうじゃない、それもそうなんだが、あの近くの神社で変死体が出たってニュースだよ!!」

「えっ?あの神社ですか?」

その神社こそ私が先日変質者とあった神社だったのだ。

「その死体ってお前があったやつじゃないのか?」

「まさかぁ、、、」

信じたくないがあの光景が脳裏を過ってしまう。

「今日どっちにしても、あのおばあさんの家にあるベッドとか引き取りに行くぞ、お前もついてこい」

先輩にそう言われ二人で車に乗り込み、レンタル品の引き取り作業んい向かう

道中、例の神社には警察のパトカーが何台も止まっていた、

おばあちゃんの家に着くと家族がいらっしゃったので少しお話を聞かせてもらった。

「この度は、ご冥福をお祈りいたします。金曜日お会いした時は元気だったんですけどねぇ、、」

「いつもこんなところまで見守りに来てくださってたすかってたんですよ」

「急なことで私もびっくりしてます」

そんな話をしていると警察官がパトカーでこの家の前まで来て止まった。

ご家族の娘さんが警察へと話しに行った

「さぁ俺たちは片づけを済ませよう」

少しずつ片づけ作業を行っていると、警察と娘さんの話し声が耳に入った。

「もう一度確認しますが、お母様の遺体から爪が亡くなっていたことに心当たりはありませんか?近所であった事件同様、お母様の亡くなり方も変死で何かしらの関係性がないか調べているんです。」

「何度も言っていますが心当たりないんです、母が急に亡くなったことでまだ心の整理がついてないんでです、お引き取りください。」

そう言って、警察を追い返そうとしていた。

「あのぉ、、、」

私は恐る恐る、その話に混ざりに行った。

「今の話なんですけど。神社で亡くなったのって、もしかして爪がない髪の長い女性ですか」

警察の顔色が変わった、

「君!!彼女を知っているのかね?」

私は説明を求められたが仕事中であった為、連絡先を教え仕事終わりに警察に話をする約束をし仕事を終えた。

上司に事のあらましを説明し、午前中で仕事を切り上げ、警察に会社まで送ってもらえるとの約束もあり、レンタル品の持ち帰りを上司に任せ、

警察とともに神社に向かった。

そこで聞いたないようは衝撃的な物だった。

要約すると

亡くなっていたのは、例の女性で間違いなかった。

藁人形を目撃したこと、トイレにあった不審な爪の事、

そのあと追いかけられたことを話した。

警察は私の話をすんなり信じてくれて、

見つけた内容を語ってくれた。

まず女性はトイレで変死体として発見されたとのこと。

死因は喉を何かで切ったような跡があり出血性のショック死、

そして、木の幹に藁人形があったといい見せてもらった。

確かに私が見たもので間違いなかったが、そこには新たに新しい血肉のついた爪と

長い黒髪が釘にぐるぐる巻きにされて打ち付けられていた。

「ヒッ!!」

私は思わず目を背けた、新たに、爪と髪の毛が打ち付けられている事を警察に伝え、軽い事情聴取をされ、警察の車で会社に戻った。


この件はすべて事故死として処理されていたが、私はそうとは思えなかった。

これはあくまで推測だが、おそらくおばあさんの髪の毛が私の体のどこかについていたのだろう、それをあの変質者は私の髪の毛と間違えて、呪いをかけようとした、

私に見られたことで、呪いが返ってくると思ったのだろう。

元来、丑の刻参りは、誰かにみられるとその呪い自分に返ってくる儀式として知れ渡っているからだ。

そして彼女の独自の呪いである爪の儀式と組み合わさってしまった。

それによって何も関係のなっかたおばあさんがすべての爪を失って死亡するという変死事件が起きてしまった。

おそらくこの呪いで本来死ぬのは、

「私だったんだ」

そう思うと、今でも背筋の寒気が止まらない。

それ以来、仕事のルートも変えてもらいうかつにあの場所に近づかないようにいしている。

今でも神社に行くと思い出してしまう私の恐怖体験です。

いかがでしたでしょうか?

私は呪いの存在を信じていなかったのですが、それ以来私は呪いという存在を信じるようになりました。

あすは我が身、普段立ち寄らないところには何かしらの怪異があるのかもしれません。

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