はじめての異世界転生
前に適当に書いた「俺が神から授かった力。それは、全世界を消滅させる能力。」を手直しして、ちゃんと書き上げたものです。
これについては今後も続きを書いていこうと思います。
よろしければコメントの類をお願いします。モチベーション上昇効果により、投稿速度がアップする効果が期待されます。
俺は北条院 力
日本からこの世界に転生してきた勇者だ。
昨今、天界では異世界転生がブームとなっており、神々がさまざまな世界を救う為に日本から数多くの転生者を送り込んでいるらしい。
俺もその中の一人だ。
なぜ世界を救う為に転生者を送り込むかって?
それは、異世界に転生する為には一度天界を通ることになるのだが、
そこでなら神は転生者に直接能力を授けることが出来るのだ。
最初は些細な能力だった―――
強大な魔法を操る能力。
とてつもない剣技を繰り出す能力。
全てを見通すことが出来る能力。
やがて、神々の間ではどのような能力を与えるかという行為がエスカレートしていき、それはやがてチート級の能力を与えるのが当たり前となっていた。
そう。転生者の能力がインフレ化していったのだ。
そして―――
今俺に与えられる能力は、そのインフレの果てに辿り着いたチート中のチート能力。
「そなたには、歴代勇者の中でも最大で最強の能力を授けよう。」
目の前にいる神が俺に対してそう告げた。
俺に授けられた能力―――それは・・・
俺は走っていた―――
王宮の廊下を。
後ろからは兵士たちが追いかけてくる。
なぜだ?
なぜ俺は追いかけられているんだ?
勇者なのに・・・魔王を倒す存在なのに。
確か、さっきまで俺は国王の前で、自分が特殊能力を持っていること、そしてこの世界の魔王を倒すために転生したことを伝えた。
最初周りにいたやつらは勇者だなんだと言ってザワザワしてたが、俺がこの自分の能力についてを話した途端、俺に対してのあいつらの反応が百八十度変わったんだ。
「追え!逃がすな!」
「こいつを逃がせばこの国は滅びるぞ!」
なんだか後ろから追いかけてくる連中が好き勝手なこと言いやがる。
正直―――このまま逃げていたところで逃げ切ることは出来ないだろう・・・
なぜなら俺はこの王宮の事など全く知らないし、ましてやどこに逃げればいいのかもわからない。
だからこのまま闇雲に走っていたとしても出口はおろか、もしも行き止まりに遭遇したら・・・
そして―――
迷ったら左の法則にあえて逆らって、右に曲がった丁字路。
その先に待ち受けていたのは―――
「もう逃げられないぞ!」
どこにも逃げ場のない袋小路だったのだ・・・。
言ってるそばから行き止まりかよ!
俺は舌打ちをしつつ後ろを振り返る。するとそこにはもう既に大勢の兵士たちが道をふさぎ、俺を遠巻きにして身構えていた。
どうする・・・!
兵士たちは武器を手に、慎重に―――慎重に―――じりじりと俺ににじり寄ってくる。
「おい!待てよお前ら!だいたいなんで俺がこんな目にあってんだよ!」
気が付くと俺は声を張り上げていた。
それもそうだ。当たり前だ。俺はこの世界に転生した勇者なんだぞ―――
その俺が何でこんな仕打ちを受けなきゃなんねえんだよ!
「俺はよ!この世界を救いに来たんだ!
強力な能力を授かってこの世界に転生してきた勇者なんだよ!」
俺は目の前の兵士たちに声を荒げて訴えかける。しかし、そんな俺に対して兵士の一人が心無い口調で言い返してきやがった。
「何が勇者だ!ふざけるな!」
なんだと⁉この無礼モンが!勇者の俺に対して何て口のきき方だ!
俺は憤慨して、その兵士にさらに言葉をぶつけた。
「俺の何がいけねえんだ!この世界は魔王に苦しめられてんだろ⁉
だから俺のこの強力な能力でその魔王を討伐してやるって言ってんだ!」
「その能力が問題なんだよ!」
その兵士のそんな一言に、俺は一瞬何も言えなくなる・・・。
「えぁ・・・?俺の能力?」
それでも俺はそんな兵士に、一応はとぼけた反応をしてみせる。
「そうだよ!問題なのはお前の能力の内容だよ!」
今度は別の兵士がそう言って口を挟んできた。
「え~・・・なんだよ。俺の能力のどこが問題なんだよ・・・」
俺はとぼけながらも、しかしその口調はだんだんか細いものとなっていった・・・。
ぶっちゃけ―――心当たりはある。いや―――すんごく、ある。
そんな俺の反応を見てか、その兵士が俺に対し、こう促してきた。
「じゃあさ・・・言ってみ?
お前のその能力の名前・・・言ってみ?」
俺はすぐには答えられず、別の兵士へと目を向けた。しかしその兵士もさっきの奴とは同意見のようで・・・
「早く言えよ・・・。お前のその、強力な能力の名前。」
そう促されて、俺は覚悟を決めた。
そして兵士たちが、俺が今から告げるであろう言葉を見守り、その場は張りつめた糸のような緊張感に覆われながら・・・
シン―――と静寂が、その場を支配した。
「俺の・・・能力?」
そして俺は口を開く。
「えー・・・アレ・・・アレだよ・・・。」
そして俺は目の前の兵士たちに言い放った―――
―――恐る恐る。
「・・・世界を・・・・・・消滅・・・フッ・・・させる能力・・・。」
なぜか半笑いになってしまった。
なんでだろう。たぶんあれか?
あまりにも次に来るであろうこいつらの反応が予想できるからか?
だってほら・・・俺が言った瞬間。
こいつらは・・・
「魔王、ここに爆誕すッ―――‼」
―――兵士の一人が真顔で力強くそう言い放った。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ‼」
予想通りの反応に、俺は思わず大爆笑してしまった。
たぶん・・・
目の前の兵士たちは急に狂ったように笑い出した俺を、まるで気味の悪いものでも見るかのような目で見ている。
だって仕方ないだろ?
もうこんなのどうしろっていうんだ?
全部『あいつら』のせいだ・・・俺は何にも悪くない。俺は全く悪くない―――と思うと、なぜだか知らないが、今のこの状況もなんだか自然と笑けてくる。
いや、この笑いについてはさっきの「魔王、ここに爆誕すッ―――」のせいでもあるが・・・
何はともあれ、ここまで来るともうこみ上げてくる笑いが止まらない。
それはそれはもう―――すごい大爆笑だった。
俺はもう、腹を抱えて大笑ったのだった―――
ほんと―――何でこんなことになってんだろう。
俺は一人、狂ったように笑いながら、転生時の時の事を思い出していたのだった。
「そなたには、『世界を消滅させる能力』を授けよう。」
俺の目の前で、荘厳な椅子に腰かけた神がそう告げた。
俺はそのとてつもなくすんごい能力に、目を輝かせる。
すごい・・・すごいぞ・・・それならば俺は転生先の異世界で無双し、チヤホヤされ、美少女ハーレムを築けるに違いない。
この能力があれば・・・この、『世界を消滅させる能力』があれば、魔王なんて怖くない。俺はこの力で魔王を倒し、その世界の勇者となって美少女達を・・・
「・・・え?」
俺はふと―――そんな声が出た。
目の前の神を見ると、そいつはまるでこの世の全てを見透かしたような澄んだ眼光でこちらを見ている。
後光射す身体、豊かに蓄えた威厳あふれる真っ白な髭、その姿はまさに、全知全能という言葉がふさわしい。
「どうしたというのじゃ・・・」
荘重なその声は、威圧感を感じるものの、しかし全く下品さを感じさせるものではなく、むしろ気品を感じさせるものだった。
「その能力って・・・何?『まるで』世界を滅ぼしちゃいそうなくらい・・・
なんというか、ようするにそれぐらいすんごい能力ってこと?」
「・・・・」
そんな、俺の質問に神はたっぷりと間を開ける。
思わず俺は固唾を飲んでその様子を見守っていると、ついに神は―――
重々しく、こう言い放ったのだ。
「・・・世界を消滅させる能力だ。」
「・・・・。」
―――違う。そうじゃない。
あんたは今、能力名を復唱しただけだ。
俺が聞きたいのは―――そういうことじゃないんだ。
どゆこと?それって何?
例えとかじゃないの?あくまで比喩法とかじゃないの?
「え、いやだから・・・その能力発動したらどうなるの?
魔王滅ぶ?」
俺は質問の仕方を変えることにしてみた。
「・・・・」
また、神はたっぷりと間を開けた。
やっぱ偉い人ってのはこんな感じで勿体ぶってしゃべるもんなんだな・・・。
俺はまた、固唾を飲んでその様子を見守っていると、ついに神は―――
重々しく、こう言い放ったのだ。
「・・・・滅ぶ。」
何かかっこいいな、めちゃくちゃ溜めに溜めてからの「・・・・滅ぶ。」って。
しかし問題はここからだ。魔王が滅ぶのは良いことだからな。
俺が本当に聞きたいのは・・・
「人間は?」
そう―――俺は短く尋ねた。すると
「・・・・」
神はまた、たっぷりと間を開ける。
待って。まさか毎回こんな感じで溜めてくんの?
毎回これはさすがにキツいんだが・・・
俺が少し面倒くさくなっていた時、ついに神は―――
重々しく・・・
「・・・・。」
急に右手を挙げながら腰を浮かせ、周りをキョロキョロしだしたのだった。
・・・?
何してるんだ―――?
おれがそう思ったのも束の間、たちまちどこからともなく下っ端と思しき別の神が小走りで目の前の神のもとへと走ってきた。
ああ、なるほど。誰かを呼んでたのか・・・
さっきの神の行動に対しての疑問は解消されたが、しかしすぐにまた別の疑問が湧き出してくる。
なんで他の奴呼び出したの―――?
どういうこと?
しかし、そんな俺が浮かべているであろう疑問に満ちた表情をよそに、神は今しがた呼び出したADみたいな神に何事かを耳打ちしている。
その様子から見るに、何かを質問しているようだった。
「あれ・・・今この子が・・・・・って聞いてきてさ・・・」
全部は聞こえないが、ところどころ言葉が漏れ出しており、俺のもとまで聞こえてくる。
パシリ神は、どこか俺の左後方の方を一点に見詰めながら、「ハイ・・・ハイ・・・ハイ」と相槌を打っている。
俺はただただ不安な気持ちだった。俺はただただ不安な気持ちで目の前の二人を見守っている。
なに・・・なんだろう・・・この胸騒ぎは・・・
「・・・・魔王・・・・はいいけどさ・・・・・え・・・・人間・・・・滅ぶの?」
神がヒソヒソ声で言い終わると、今度は逆におつかい神の方が何やらヒソヒソと話し始めた。
「・・・・・。・・・・・・・・。・・・・、・・・・・。」
小神の方の声は全く漏れ聞こえず、逆に目の前の―――肘掛けに肘を付きながらとうとう足を組みだし、
「ほぅーほぅー・・・えぁー・・・はぁ・・・ホントに・・・」と相槌を打っている神の声はなんだかやたらはっきりと聞こえる。
ちなみにそいつは足を組みながら、なにやら俺の右上後方を眺めて、「ほぅーほぅー」と頷きながら、まるでそのリズムに乗るかのようにその首を上下に跳ねさせていた。
なんかその様を見てると、なぜだか分からないが無性にムカついてくる。
得も言われぬイライラを感じながら、俺がそのやり取りを冷めた目で見守っていると・・・
「ほぅー・・・ほぇー・・・ああ・・・ホントに・・・ハハッ、人間滅んじゃうんだ?」
だからほとんど聞こえてんだよッ‼
てか今なんつった⁉
やっぱ魔王も人類も世界も何もかも滅ぼす大魔王能力なんじゃねえか⁉
部下神の報告が終わると、上司神がなんだか「よっこいしょっと・・・」とは言ってないが、まるでそんな様子でこちらに向けて座りなおした。
「・・・・えぁー・・・」
そんな声を上げながら、俺の足元の方を見つめ、何やら考える様子を見せている。
「おい。俺が能力の内容考えて良いか?」
なにやらチンタラしている目の前の神に対し、もう俺のほうから言ってやった。
さっきから俺が感じていた胸騒ぎ、そして不安・・・その正体はアレだ。
こいつらのこの、グダグダさだ。マジでグダグダじゃねえか。こいつらに任せてたら絶対碌な事にならねえ。
そんな俺の問いかけに対し、神は頬杖を突きながら表情だけで「え?」って顔をしてくる。
それは驚いた時の「え⁉」とか、何を言っているのか聞き取れなかった時の「えっ?」じゃなくて、純粋に急に何かを話しかけられた時の「え?」って顔だ。
口を「え」っていう形にして眉をキュッと上げるあの顔だ。
光り輝く後光、豊かに蓄えた威厳放つ真っ白な髭、そんな神々しいオーラでそんな顔をするもんだから、それが何とも言えぬギャップを生み―――
それはまるで芸術的とも思えるほどの殴りたくなってくる顔だった。
そんな湧き上がる怒りを抑えつつ、俺は続けざまに言い放った。
「だからこの『世界を消滅させる能力』ってのはナシだ。魔王と一緒に世界も滅ぼしちゃ俺が魔王になっちまう。・・・てか俺も死ぬ。
だからこの能力はナシにして、代わりに俺が能力の内容考えるからそれをくれ。」
しかしまあ・・・
能力を与えられる前にこの事を知ることが出来てよかった・・・。
俺は内心ホッとしながらも、その神の反応を待っていた。
その神の反応を―――
待っていると・・・
「・・・・」
神はこちらを見ながら一拍の間を置いて―――
「・・・ちょっと。」
また隣に立つ下っ端に耳打ちをしだしたのだった。
コイツ何にも知らねえなッ‼
「・・・・もう・・・・ちゃったけど・・・・丈夫なの?・・・・きる?」
下っ端は腰を折り屈め、またさっきのように俺の左後方を見詰めながら、「ハイ・・・ハイ・・・ハイ・・・」と律儀に相槌を打っている。
マジでなんなの?この偉そうにしてる神はなんなの?お前が全部考えてるんじゃないの?
そんな二人のやり取りに、俺の中でまた嫌な胸騒ぎがこみ上げてきた。
そして神が何やらしゃべり終えると、またさっきのように今度は下男神が神に対して耳打ちをしだした。
その表情は・・・なにやら『申し上げにく』そうな表情だった。
待て・・・まさか・・・。
そしてまた神が「よっこいっしょと」と言わんばかりの様子でこちらに向かって座り直すと・・・
「・・・無理だ。」
今度は割と早くそう言ってきやがった。
・・・ってちょっと待てよ!
「無理ってどういうことだよ!
俺の考えた能力はダメってんなら、じゃあせめてお前らがもっとマシな能力を考えろ!」
相手は神にも関わらず、俺はもう既に声を荒げてしまっている。そんな俺に対し、神は何かを言おうと口を開きかけ―――
「・・・・。
・・・・え、無理なんだよね?」
急に隣を振り返って確認しだしたのだった。
すると隣に立つ神補佐は、主任の言葉には答えず、直接俺に対して―――
「もう能力を与え終わってしまってますから。もう変更はできないんです。」
しかめた顔を横にフリフリさせながらそう告げたのだ。
「なん・・・だと・・・?」
俺の頭が真っ白になる。
じゃあ―――どうするつもりなの?
そんな俺の疑問を代弁するかのように、なぜかこの時に限ってメイン神は、隣に立つ助手神を見上げて。
「これ、どうするの?」
とか聞いていた。
しかし副神はこちらを見ながら―――表情が苦りすぎて、もはや苦笑いとも取れるような何とも言えぬ表情で「いや~・・・」とか言いながら首を傾げている。
そして、そんな気まずくなりきった空気の中、俺が一人あたふたと、ただただ二人の顔を交互に見返していると・・・
「・・・もう、送ろう。」
小さい声で―――だが吹っ切れたような口調で、主神がそう言い放った。
「おい!送るってどういう意味・・・」
俺が言い終わる間も無く、俺の周りの床がなにやら光を放ち、輝きだした。
「北条院 力よ!
そなたはこの度、世界を救う勇者として選ばれた。」
神は俺に対し、まるで今までのグダグダなど無かったかのように、荘厳なその声で、そんな壮大な事を言い出したのだった。
「おい・・・まさかこのまま異世界に送るってのか?」
俺の声は自分でも驚くくらいに掠れきり、思わず命乞いをするときのような震えた声になっている。
神の隣に立つもう一人の神―――てかこいつ結局誰だったんだ?は、俺に「あちゃー・・・」と言わんばかりの苦い顔を向けしかし胸の前では小さく拳を握りあげ、「大丈夫大丈夫・・・イケるイケる」と囁く様に呟いている。
それで勇気づけてるつもりか⁉
「これより、そなたが向かう世界は魔王の存在により窮地に陥っており―――」
「ちょっと待てよ!こんな能力絶対に使えねえだろ‼」
「その邪悪なる存在を・・・えー・・・見事打ち滅ぼし、その世界をですね・・・えー、なんだ・・・えー、救うことを期待している。」
神の言葉は、俺が何を言おうと止まらないらしく、しかもその口調は明らかに棒読みで・・・
「おい!お前!隣にいるお前だよ!この馬鹿に何とか言いやがれ!
お前アレだろ⁉マネージャーかなんかなんだろ⁉」
目の前でふんぞり返っているこいつはもう使い物にならない。隣の下っ端の方がまだマシだ!
しかし―――
俺の言葉を受けてか、その下っ端君もとうとう、その苦い顔を俺から逸らしだした。
マジかよこいつら・・・。
「この与えられし神聖なる能力を用い・・・この世界の勇者に相応しい存在となるべく・・・」
もはや・・・どうしようもない。
俺は呆然と―――泣きそうな、悲しげな表情でただただこの様子を見守る事しか出来なかった。
「いざ行くのだ勇者よ。そなたがこの世界を救うことを楽しみに待ってお・・・っる。
えー・・・では・・・存分に魔王と戦ってきてくだ・・・っさい。」
まるで送辞を読み上げるような口調で話し終えると、俺の周りの床からあふれる光はより一層輝きを増し、俺は徐々にその中へと吸い込まれていく。
なんだよ・・・その「お・・・っる。」とか「くだ・・・っさい。」って・・・。
そのしゃべり方やめろ・・・ムカつく。
「お前ら・・・もう・・・この世界滅ぼしてやるからな・・・。」
どんどんと地面に吸い込まれ、視界が下へと落ちていく俺はもう、涙声になりながら、まるで拗ねた子供のように二人を睨みつけていた。
しかし、その当の本神は送辞を読み終えると、まるで「さあ終わった終わった」と言わんばかりに椅子から立ち上がり、俺に背を向けながらググーッと伸びをしている。
そして、やれやれと言った様子で隣の神になにやら話しかけていた。
「世界一個・・・滅んじゃったね。誰よ、こんな能力考えちゃったのは~・・・」
話しかけられた方の神は相も変わらず、だんだんと地面の中へと姿を消していく俺を苦々しい顔で眺めていた。
こいつはもともとそんな顔なのか、その顔はどちらかというと苦笑いのように見える。
俺は最後の最後まで、そんな二人を睨みつけていた。
神が帰り際に放った一言―――
「これは~・・・ヒヤリハットやね。」
その言葉を最後に、俺はとうとう異世界へと送り込まれてしまったのだった。
前に書いたやつは削除してもいいのでしょうか?
コメントしてくれた人とかもいるのでちょっと申し訳ない気がするのですが・・・