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降霊術師は愛に苦しむ

作者: 白米

初です適当?かもです





「いやああああああ!!!」

深い霧に包まれた静かな森の中に大きな悲鳴が響き渡る

しかしその悲痛な声の主は化け物に締め付けられ薄れる意識の中で思った

今ここにいるのが自分だけで良かった

そして願わくばもう少しだけでもあの子と一緒にいたかったと





______________________________________





「げほっごほっ...ああぁああぁだりぃ」


落ちかけた日の光が微かに注ぐだけの薄暗い部屋にそんな声が聞こえる

その声の主は神永明人今年高校生になった反抗期の不良少年である

田舎の一軒家で母親と二人で暮らしている


そして今日、家の昔からの仕来りで年に一度山の祠へ行く日であったのだが

急に体調を崩してしまったため母が一人でその祠に向かったのだ

しかし


「おっせぇなぁどこほっつき歩いてんだよあのババァ」

母が家を出たのは昼食を二人で済ませてから直ぐだつまり12時近くである

今までは家を出てから3時間長くても4時間程で帰っていた、しかし今日は既に日が殆ど沈んでいる

ざっと見積もっても7時間以上経っている


「くたばったりしてんじゃねえだろうなぁ?」

イライラした気晴らしにそんな冗談を口にする


「あぁああもうイライラするったくこちとら病人だってんのによぉ」

明人はそう言いながら布団を雑に捲り起き上がると靴を履くと

病人だとゆう事を微塵も感じさせない走りで家を飛び出す

(入れ違いになんのだけは勘弁しろよ...)

そんな事を心の中で考えながら祠への道を走り続けた


それから数十分ようやく祠のが僅かに見えた

結局入れ違いになったのかそう薄々思いながらも残り僅かな距離をゆっくり歩く

呼吸が浅くなりそうなのを抑えて何度か大きく息を吸って呼吸を整える


「ん?」

祠がようやくはっきりと見えたのだが何やら様子がおかしい


「壊れてる...」

そしてよく見れば祠の周りのの草木が荒れている

冷水をかけられた様な寒気を感じそれと同時に嫌な予感が頭の中を駆け巡る


頭の中が真っ白になるのを感じながら明人は倒れた草木に沿って走り出した







「はあっはあくそっ!!どこだよクソばばあ!いたらなんか言えよババァ!」

足や手に傷がつくのも厭わず道なき道を走る


「くそっ何処まで続いてんだよっ!ハァこれ! っこれは...洞窟?」

倒れた草木をたどって十数分その跡は洞窟の中へと続いていた

そしてそれと同時にあることに気づいた

地面に残る赤いもの


「なんだこれ...血?」

まさかいやそんなはずないと頭の中で様々な考えが湧き出す

「くそがっ!!」


ギシャヤアアアアア!!!


洞窟の中から聞こえる聞いたこともない鳴き声と共に現れたのは


頭だけで人間を超える大きさの大蛇だった


「何だよ...これ」

大蛇を前に佇む明人だったがその足元にキラリと光る物が見えたそれは

昔母の誕生日にあげた家族の写真の入ったペンダントだった


「これ...は」

その時こちらを静かに見詰める大蛇顔は薄く笑っているように見えた


「くそがぁぁああああああ!!!」

明人は叫びながら大蛇へと飛びかかる、が

「がっ!?」

軽く払われただけで数メートル吹き飛ばされれてしまった

全身が痛い

だが動ける口や鼻手足からも血を出しながらも立ち上がり大蛇を睨む

その時


蛇が後ろに僅かに吹き飛ばされた

それと同時にとこからか急に目の前に甲冑を身に着けた男が現れた


「逃げてください」

「ハァ?何であんたなんかの言う通りにしなきゃいけねぇんだよ!それにそいつは俺の母さんの仇何でな!」

「邪魔だからですよ、それともその仇とやらの腹を満たしてあげるご飯にでもなりますか?御遺品は後で持って行きますので早くどっか行って下さッ!い」

そう言いながら男は飛びかかる蛇を捌き続ける

ギシャヤアアアアアア!!!


「...あぁ分かったよ」

大蛇の巨体から出る突進薙ぎ払いを腕で受け流すその姿を見た

明人は後ろへと走り出した






「ハァハァ...てか何も家まで走って戻る必要無かったよな...」


しかしやってしまったものは仕方がないそう思いながら家の扉を静かに開ける


「ただいま」


無論帰って来る言葉はない

帰れば元気な母さんが待っているんじゃないかそんな考えも淡く消えていく


太陽も見えない時間帯電気の点いていない家の中は真っ暗で

静かで...まるで今の心の中を写したかのようだった


「腹、減ったな」


走り回った明人は少し落ち着いたせいかかなりの空腹感を感じていた

靴を脱いでから台所へ行くと冷蔵庫を漁って適当に料理をする

ずっと母が料理をしていてくれた明人には美味しいものの作り方何て分からない


でも母の見よう見まねで作って見れば見た目はそれなりに形になった

皿に盛ったところでご飯を忘れていたことに気付いたがそのまま作った料理を口にする


「不味い」

しかし作った物を無駄にもできない

それにこんなんでも腹は膨れる

数分かけて完食した


「ごちそうさまでした。てかあいつ俺の家分かってんのか?」


ピーンポーン


「ったく誰だよこんな時に、あいつか?」


そう思っ立ち上がり明人は玄関へ向かうとその扉を荒っぽく開けたするとそこには









「明ちゃん、ただいま」


「そんな悲しそう顔してなに言ってんだよ...母ちゃん」

作り笑顔を浮かべる母がいた


「死んだんじゃなかったのかよクソばばあ」

「うん死んじゃった」

「はぁ?」

「ほんとは明ちゃんとも会ったらダメなんだけどねママが大好きな明ちゃんがお腹すかせてるんじゃないかなって思って最後に一回だけご飯を作りに来ちゃった」

「っ、だったら早く飯作れよお前のせいで腹が減ってんだよ」

「はいはい」

そう言って笑顔を浮かべた母はそのまま家に上がりいつものように慣れた手つきで料理を始める


「死んだ癖に物触れんだな」

「なんでだろうねー」

「それならそのままここにいられねぇのかよ?」

「あれぇ?デレた?明ちゃんママにデレた?」

「...デレてねぇよで、いられるのかよいられねぇのかよ」

「ごめんね、それは無理なの」

「あっそ」

「ごめんね」

「...」


二人の間に気まずい雰囲気が流れるが

母がその沈黙を破る


「はい、できたよ」

「...いただきます」

明人は無言で箸を進める

「どお?」

「うまいよ」

「良かった」

そう言いながらそっと胸をなで下ろして笑顔で明人を見詰める


「食いずれぇなぁ」

「噓つき嬉しい癖に」

「だとしても食いずれぇのは変わんねぇよ」





「ごちそうさまでした」

「...明ちゃんはいこれ」

「あ?なんだこれ?」

「いつもママが作ってるご飯のレシピ、これでママがいなくても安心だね!」

「...」

「あっそれといろんな道具の場所とかも書いてあるよ!それから...」

「もういいよ、黙れよ」

「えっ...もしかしてママのこと嫌いになっちゃった?何したら許してくれる?明ちゃんが言うなら何でもす」

「なんでそんなに泣きそうな顔してんだよ今日が最後何だろ?最後に見た親の顔がそんな顔何て嫌だからな俺ができることなら何でもしてやるからさそんな顔辞めてくれよ」

「ふふふやっぱりママが大好きなんだなぁ-!」

「ちげーよ」

「違うの?」

「ッ」

「じゃあ大好きって言って何でもするんでしょ?」

「...」

「言って」

「...好きだよ]

「かわいいい!!!もう我慢できない何でもするって言ったからね!」

そう言いながら思いっきり明人に抱きつき


キスをした


「っこのババァ」

「ママでしょ」

「...mama」

「うふふふふふそうだ!このままベットインしましょ!」

「はあ!?何言ってんだこの...mama」

「さぁ善は急げ早く一緒に寝ましょう!」

「あっちょっ!」









「おやすみ...ごめんなさい」














降霊術師は魂に触れる事で相手の人生を相手が忘れている事含め全て追体験してその人物の生前の姿になれる


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