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高級ホテル殺人事件 第1章6節

閲覧いただき、ありがとうございます。

「ただいま。ごめんなさい、遅くなったわ」

扉を開けて、急いで部屋に入る。

オリビアとクロエが部屋に入ると、エマは夕食に出かける準備をし、アリスはベッドから上体を起こしているところだった。


「アリス起きたんだ。おはよう」


クロエがそういうとアリスはにっこりと微笑んだ。


「おはよう。エマから聞いたわよ、探偵ごっこしているみたいじゃない」


アリスにごっこ扱いされ、オリビアは頬を膨らませて抗議する。


「ごっこじゃないわよ。ちゃんとお手伝いしているわよ。ね、クロエ?」


「私が見た限り、無理矢理ついて行っているようにしか見えなかったけど…アルベールさんが優しい人でよかったね」


「あらクロエがそう言うってことは、またオリビアったらわがまま言ったのね」


アリスは幼い子を見るようにオリビアを見る。

友人はいつもオリビアのことをまるで妹のように扱うことがある。

いつものごとく小さい子扱いを受け、オリビアは拗ねる仕草をする。


「もう、みんないじわるするから嫌い」


「あらあら、それは困ったわね」


「ごめん、オリビアが相変わらずでつい」


悪びれもしない友人達に呆れながらも、オリビアはアリスに尋ねる。


「ところでアリスは体調大丈夫?ご飯食べれそう?」


「ええ、大丈夫よ。ありがとう。心配かけてごめんなさい」


アリスは少し申し訳なさそうにする。そしてエマが少し茶化したように話をする。


「アリスったら久々の旅行ではしゃいでたみたいよ。ねぼすけのアリスが今日、私より早く朝食会場に行ってたもの」


「ふふふ、そうなの。エマよりも早起きするなんて初めてじゃないかしら」


アリスは少し恥ずかしそうにそう呟く。


「20年近くの付き合いでそう言うってことはよっぽどなのね」


「確かに低血糖のアリスが早起きするなんて、明日は雪かしら?」


「土砂崩れが起きたのもアリスのせいかもね」


ひどい、とアリスは笑いながら答える。

アリスとエマは幼なじみだ。幼稚舎の頃から一緒だと聞いた。

睡眠薬を常に服用しているエマよりもアリスは寝起きが悪い。ひどい時は講義がある日にも関わらず、2人とも起きずに寝坊して、昼休みにわざわざオリビアとクロエが叩き起こしに行くこともあった。


「そういえば、2人は今日の午前2時から5時まで何してた?あと支配人の方と知り合いだったりする?」


オリビアがそう尋ねると、アリスは口元に指を当てて、記憶を巡らせた。


「そうね…エマよりも先に寝た記憶があるわ。確か午後11時くらいかしら。それから午前6時に起きたわ。起きた時、部屋にある時計を見て、早起きできたことに驚いたから、はっきり覚えてる。エマはまだぐっすり寝てたから、起こしたら悪いと思って…それで書き置きを残して、午前7時頃に朝食会場に向かったの。行く途中、副支配人の方がバーの店仕舞いをしていたわね。支配人の方とはお父様を通じて何度か面識があるくらいね」


エマもアリスに続いて、話を始める。


「うん、確かにアリスは午後11時くらいに寝てたね。私、昨日締め切りのレポートを書いてて、遅くなっちゃって。でも午前0時には薬を飲んで、ベッドで寝始めてたと思う。アラームを午前8時にかけてたから、それで目が覚めた。アリスがいなくてびっくりしたわ。そしたら書き置きがあって、もう朝食会場に向かってるって書いてあったから慌てて支度して、午前8時半を回った頃に朝食会場に着いたわ。アリスとはそこで落ち合ったかな。支配人の方とは今回の旅で初めてお会いしたわ」


「エマったら、焦った顔して部屋着のまま、化粧もせずに来るんだもの。びっくりしたわ」


「だって、なんかあったのかと思って不安になっちゃって」


「なるほどね、2人ともありがとう」


オリビアがメモに2人の証言を書いていると、クロエが茶化す。


「アルベールさんの真似?」


「もう!そんなんじゃないってば…」


「聞いてよ、2人とも。ついにオリビアに好きな人ができたみたいよ」


「あら、今まで浮いた話のなかったオリビアに?」


「いつも恋愛話になると蚊帳の外だったもんね」


「さっきバーに居たんだけどさ、オリビアったら、ちらちらと頬を少し赤らめながらアルバートさんのこと見てるんだもの。ああいうのがタイプなのね」


「あら、オリビアの初恋の人、私達も見に行かなきゃね、エマ?」


「ふふふ、そうね。オリビアの心を射止めるなんてすごい」


「ち、違うよ!人としては尊敬してるけど…」


友人の言葉にオリビアは動揺を隠せない。

アリスは少しつまらなさそうにして尋ねる。


「異性としては魅力的じゃないの?」

「魅力的だけれども…」


オリビアが口を紡ぐのを見て、友人達はにやりと悪い笑みを浮かべる。

オリビアはどこかくすぐったい思いになり、クッションに顔を埋めた。

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