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豪華寝台列車殺人事件 第4章10節

閲覧いただき、ありがとうございます。

第4章及び本編は本節で終了です。

「大丈夫ですか?リアムさん…」


「あぁ…ありがとう」


401号室には気まずい雰囲気が漂っていた。

リアムはオリビアが去った理由を知らない。

オリビアも先程、ウェンディの言葉で思うところがあり、上手くいつもの調子に戻すことができなかった。


「「あの…」」


リアムとオリビアは同時に切り出そうとし、互いに譲った。暫く、譲り合った後にリアムは口火を切った。


「オリビア…その、君が去ったのは、彼女の手紙が理由なのか?それとも…この仕事が辛かったのか?もし、そうなら君に謝らなければならない」


悲しそうな顔をして、リアムが尋ねる。

オリビアは思い切り、首を振り、否定した。


「仕事が嫌なわけないじゃないですか!…急に出て行ってごめんなさい。私、色んな人を巻き込んで、自分の行いがこれで良かったのか不安になったんです。リアムさんの助手になれて嬉しくて…舞い上がってて。でも私が物語を変えることで不幸になってる人がいることを知って…」


堰を切ったようにオリビアは涙を溢れさせながら、話をする。


オリビアはウェンディから届いた手紙を大事そうに持っていた。

前世の自分に生き甲斐をもたらしてくれた小説を書いた人を不幸にしてしまったことが本当に辛かったのだ。


「確かにウェンディさんとは上手くいかなかったのかもしれない。だが、君は精一杯やっただろう?それに、私やセシル、ネージュも君のおかげで救われているんだよ」


リアムはそっとオリビアの涙を拭う。


「君達の物語というのがよく分からないが…君の物語は君が紡げばいい。君は私の助手として事件を解決する道を選んでくれたのだろう?」


オリビアは小さく頷き、リアムはそれに微笑んだ。


「自分の生き方に100%納得いくことはないさ。常に疑問を抱きながらも、自分のペースで進んでいく。賛同を得られないことだってあるけれど、それでも選択して、進んでいかなければならないんだ」


リアムはオリビアの頭を撫でながら、話を続ける。


「不安になったら、いつでも私を頼ってくれ。君が私の力になってくれたように、私も君の力になりたい」


「リアムさん…私、リアムさんの助手でいたいです。これからも、ずっと」


オリビアはリアムの膝に手を置き、じっとリアムの顔を見つめた。


「ああ、勿論だ…だが、私は助手としてだけではなく、伴侶としても君と時間を共にしたい」


「えっ…それって」


リアムはオリビアの前で膝をつき、両手を握った。


「オリビア…結婚を前提に私と付き合ってくれないか」


次にオリビアに会ったら言おうと思っていた言葉を紡いで、リアムの鼓動は高まった。

オリビアも言葉の意味を理解し、次第に顔を紅潮させた。


「私で、いいんですか?」


おずおずと尋ねるオリビアに、リアムは優しい笑顔で頷いた。


「君がいいんだ」


リアムの言葉にオリビアは涙しながら、頷いた。


「私…探偵としてのリアム・アルベールへの憧れだけでなく、目の前にいるリアムさんが好きです」


そう言って、オリビアはリアムに抱きついたのだった。


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