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豪華寝台列車殺人事件 第4章7節

閲覧いただき、ありがとうございます。

一部残酷な表現があります。ご注意ください。

リアムは手袋をはめ、グラスを手にする。


(使った形跡はないな。毒や睡眠薬という可能性は低い…ゴミ箱も綺麗だ。口元も特に気になるところはない)


グラスを置いて、アリエルの腹部を確認する。一部、腸が出ている。何度も刺したせいだろう。


(とはいえ、切り裂き的にそこまで大きくない…やはり、あの写真の女性が持っていた果物ナイフか?)


リアムは扉の方を見る。

扉はオートロックで、滞在客が持っているルームキーか駅員が持っているマスターキーでしか開けることが出来ないようなものだ。


(駅員の方が可能性が高いか…でも盗んで利用することもできるよな。それかアリエルさんが心を許している人がいた?)


そう考えていると、扉がカチャリと音を立てて開いた。

そこには、ウェンディが大きなブルーシートを抱えていた。


「お客様、こちらがブルーシートです」


ウェンディは遺体を見ないようにしながら、ブルーシートをリアムに差し出す。


「ありがとうございます。ウェンディさん、少しお伺いしたいのですが、マスターキーは駅員の方全員が持っているのですか?」


「いえ、全員は持っていません。マスターキーは各号車に2枚ずつあります。4号車の部屋は4号車のスタッフルームにあるマスターキーを使用しなければなりません。全ての号車のマスターキー1枚はいつも責任者であるバジルさんが持ってます」


今はバジルさんから借りてます、とウェンディはカードを差し出して見せた。


「あの、犯人って一部で噂になっている女性なのでしょうか?」


「噂になっている?」


「ええ…2人のお客様が同じ長髪の女性を見たらしくて。もう1人のお客様は別の方が撮られた写真を見て、学生時代の知り合いに違いないって言っているみたいで…」


「失礼ですが、その方々のお名前をお伺いしても?」


ウェンディは自分のメモをパラパラと捲りながら説明を始めた。


「個人情報ですので…って探偵さんですものね。ええと、写真を撮った方がセザール・バルサン様、愛猫家のオドレイ・アゼマ様がその女性をお見かけして、車椅子の方…ドロシー・バリエ様がその女性をご存知だとか。確かお名前は…オリビア・ワトソン様」


リアムはウェンディの発言をメモに記録する。リアムはオドレイという女性を見かけたことがなかった。


リアムがウェンディに礼を言うと、ウェンディはぎこちないお辞儀をして、部屋を後にした。


ウェンディは去る際に、ボロボロになったメモの切れ端を落としてしまった。

声を掛けようとしたが、リアムはそのメモに釘付けになった。


(これは異国の文字?あの手紙と癖が似ている…まさか)


冷たい氷柱が突き刺さったような感覚に陥った。リアムはウェンディが犯人だと直感した。


(しかし、まだ証拠が足りない)


リアムはウェンディを第一容疑者として、調査を再開したのだった。


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