豪華寝台列車殺人事件 第4章6節
閲覧いただき、ありがとうございます。
一部残酷な表現があります。ご注意ください。
リアムは気づけば、自分のベッドで横になっていた。先程の衝撃が大きすぎたあまり、リアムはどうやって自分が帰ってきたか覚えがなかった。
(オリビアに疑いがかかってしまった…でも私はオリビアが犯人とは思えない…それは私情なのだろうか?)
結局、その場ではリアムがオリビアの雇主だということを告げぬまま、部屋に戻ってしまった。
(差出人不明の手紙…消えたオリビア…そして謎の女性…)
ベッドの中で考え込んでいると、女性の悲鳴が聞こえてきた。
リアムは飛び起き、廊下に出ると、先程の駅員が405号室の前で腰を抜かしていた。
「どうしましたか?」
駅員は恐怖で強張った顔をして、部屋の中を指差した。リアムが目を向けると、そこには血濡れたアリエルがベッドに横たわっていた。
側によるとアリエルの腹部には何回も刺された跡があった。
(争った形跡がない…眠っていたのか?)
ふとアリエルの手元を見ると、両腕に縛られた跡があった。
おそらく、眠った状態で両腕を拘束されて、腹部を刺されたのだろう、とリアムは考察する。リアムが最後にアリエルに会った時、彼女は酷く泥酔していた。手を軽く縛られたくらいでは起きないだろう、と納得する。
駅員は覚束ない足取りで部屋に入ってくる。
「失礼致しました。お客様、こちらで対応致します」
気丈に振る舞う駅員はビニール手袋を手にはめて、アリエルの目をそっと閉じた。
アリエルを見る駅員の瞳は憐憫に満ちていた。
「あの、もし可能でしたら、私にこの調査を任せていただけませんか?」
「そんな…お客様にそのようなことは」
この状況とリアムの急な申し出に駅員は戸惑う。
「私、探偵業をやっておりまして。アクアラメールに着くまでに、犯人が誰か突き止めたいのです」
この事件はオリビアが関連していると、リアムは確信めいた考えを持っていた。
(オリビアの無実を証明してみせる…)
戸惑いながらも、駅員は頷いた。
「この列車の客室係の責任担当者は私です。
私からの依頼ということで。会社からの後の責任は後で追います。どうかアリエル様の無念を晴らしてください」
「ええ、必ず突き止めてみせます。私はリアム・アルベールと申します」
「リアム様、私はバジル・アレオンと申します。宜しくお願い致します。どうか他のお客様の混乱を招かないように調査していただければ幸いです」
リアムは短く頷く。リアムが調査に入ろうとすると、バジルはあの、とリアムに声をかける。
「私に何かお手伝いできることはありますか?」
リアムは少し考えた後に答える。
「いくつかお願いしたいことが…この部屋の人払い、先程の写真を撮った男性と車椅子の女性に話を伺ってください。そして、他の駅員の方に連絡を。あとブルーシートを。なければ清潔なシーツをお願いします」
バジルは頷いて、部屋を後にする。
リアムは深呼吸をして、調査を開始するのだった。




