表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/58

豪華寝台列車殺人事件 第4章5節

閲覧いただき、ありがとうございます。

結局、何も収穫がないまま、1日が終わろうとしていた。


(明日の昼には着くんだ。本腰を入れて調査出来るように今日は眠るか…)


リアムはそう思って、ベットに腰を掛けた時だった。


廊下から何か大きな物音がしたのだ。

そして、何やら男の戸惑うような大声。


違和感を覚えたリアムは部屋の扉を開けて、様子を伺う。

特には異変はないように思えたが、リアムは声のする方へと歩を進める。


しばらくすると、バーの入り口で1人の男性がカメラを握り締めて、立ち尽くしていた。


「大丈夫ですか?先程、こちらから物音がしたので、伺ってみたのですが…」


我に返った男性は顔を真っ赤にして、大声で起こった出来事を訴えた。


「部屋に戻ろうとしたら、長髪の若い女が俺にぶつかってきてな。それで、この棚にぶつかって、棚ごと倒してしまった。なのに、あの女何も言わずにラウンジの方に行きやがった。今度会ったら文句でも行ってやろうと写真を撮ったんだが…」


その男性はリアムに撮った写真のデータを見せた。

その写真にリアムは釘付けになる。

栗色の髪にカッターシャツにシフォンのスカート。後ろ姿だけだが、その姿はオリビアにそっくりだった。


しかし、右手には果物ナイフのようなものが握られており、ナイフは血に染まっていた。さらに、右腕のシャツの袖は血に染まっていた。


「こいつ、何しでかしたんだ?この血ってなんだ?なぁ、あんた。どう思う?」


「いや…そうですね。あまり、騒ぎ立てても良くないですし、念のため駅員の方に不審な方がいるかもしれないと伝えておきましょう」


(オリビアな訳がない…でも、この服装以前に見たことがある…)


オリビアなはずがないというリアムとしての感情と全ての可能性を見るべきという探偵としての感情に挟まれ、リアムは思わず唇を強く噛み締めた。


ラウンジの方に足を運ぶと、先程アリエルを運んだ駅員と車椅子に乗った女性と会った。


先程の男性がまくし立てようとするのを、リアムが制し、冷静に先程の出来事を駅員に説明する。


「念のために私も確認してもよろしいですか?」


駅員が写真を見ると首を傾げる。


「おかしいですね…このようなお客様は3〜5号車にはいないのですが…念のために他の駅員にも確認してみますね。そして、他のお客様の安全を確保しようと思います」


駅員はメモを取り、その女性の特徴を記載し、女性の特徴と乗客全員の安否確認を無線で呼びかける。


駅員が男性にカメラを返そうとした時、車椅子の女性も液晶に映っている写真を見たのだろう。


「待って…ください。私にも見せていただけませんか」


震えた声で彼女はカメラを手に取る。


「この左手に着けているブレスレット…これ、私が高校の時に友人にあげたものだわ…」


「じゃあお前の友達が俺にぶつかってきたのか?」


男性の質問に女性は困惑する。


「いえ、私は今回1人で乗車してます。ただ、この姿とブレスレット…心当たりがあります。限定物のブレスレットなので、そこまで流出もしていないと思うので」


「宜しければ、その方のお名前をお伺いしても?」


彼女は俯き、震えるような声で呟いた。


「オリビア…オリビア・ワトソンという女性です」


その言葉にリアムは思わず目を見開いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ