表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/58

豪華寝台列車殺人事件 第4章3節

閲覧いただき、ありがとうございます。

リアムがメモワール号に乗車すると、1人の若い女性駅員がチケットの確認をしに来た。


「少々お待ちください…お客様は4号車ですね。案内致します」


メモを見ながら、辿々しく案内を始める。

リアムはその女性の指示に従う。

リアムが乗車したのは9号車で、4号車に着くまで暫くの沈黙が続いた。


暫くの沈黙に耐えかねたのか、駅員はリアムに話しかけ始めた。


「御出張ですか?」


「ええ、そのようなものです」


「そうなのですね。ここのバーはお酒の種類が豊富なので是非」


「それは興味深いです。仕事に支障が出ないくらいに利用させていただきます」


リアムは少し戯けたような表情で、酒を呑む動作をした。駅員は少し緊張が解けたのか、笑顔にぎこちなさがなくなっていた。


「こちらです。アルベール様のお部屋は401号室です。今回の客室を担当します、ウェンディ・アダンと申します。今年入社したばかりで、不慣れな所もありますが、何なりとお申し付けください」


ウェンディはそういうと一礼し、その場を後にした。

リアムは携帯電話を確認したが、以前オリビアからの連絡はなかった。セシルからも連絡がないことから、まだ行方知らずのままなのだろう。


パソコンでアクアラメールとオリビアの消息について調べ始める前に、行き場のない焦燥感を鎮めるためにウェンディに勧められたバーに足を運ぶことにしたのだった。


バーに着くと、そこには1人の女性がワインを嗜んでいた。その女性はリアムに気づくと、微笑み、隣の席に促した。


「こんばんは。先程、可愛らしい駅員さんから、ここのバーを勧められて呑みに来たの。まだ一杯目だけど、良いセンスしているわ」


「それは楽しみですね。私も先程、駅員の方に勧められたんです」


リアムがオーダーをすると、女性は首を傾げる。


「それ、ノンアルコールカクテルじゃない。お酒弱いの?」


「お酒も弱いのですが…少しこの後やりたい作業がありまして。少し気分転換にいただこうかなと」


正直、今のリアムはお酒を嗜むほどの余裕がなかった。この一杯を飲んだら、冷静さを取り戻して、調査を開始しようと考えていた。


そんなリアムを見て、女性は妖艶に微笑む。


「真面目なのね。貴方、気に入ったわ。名前、聞いてもいいかしら」


「リアム・アルベールです。宜しくお願い致します」


「リアムさんね。私はアリエル・エマール。医師をしているの。内科だから具合が悪くなったら診てあげるわ」


「お医者様だったんですね」


アリエルは意外でしょ、と軽くウィンクをしてみせた。


「アクアラメールで学会があって、それに出席するの。面倒な話よね」


「それは…大変ですね」


「そうなのよ。だからリアムさん、これが呑み終わるまで、私の話に付き合ってくれないかしら」


リアムが頷くと、アリエルは満面の笑みを浮かべるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ