表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/58

オリビアのサプライズ 前編

閲覧いただき、ありがとうございます。

リアムの誕生日のお話です。

前編はオリビアsideのお話です。

オリビアは最近、そわそわしていた。

それは明日がリアムの誕生日だったからだ。


アルベール社の事件以来、セシルとはメールのやりとりをする仲になり、先日セシルからリアムの誕生日が明日だということを教えられた。


オリビアは男兄弟もおらず、男性の贈り物に何を送ればいいか分からなかった為、セシルにお願いして今日はセシルとプレゼントを探すことになった。


「オリビア様、お久しぶりです」


「セシルさん、お久しぶりです!本日は宜しくお願いします」


セシルとオリビアはリアムのプレゼントを早速探し始めた。


「オリビア様は何かプレゼントの候補があるんですか?」


「そうですね…最近ずっとリアムさんのことを考えていたんですけど、リアムさんは書類を見る時、眼鏡をかけるので眼鏡ケースとか、あとはお気に入りの万年筆が壊れたみたいなので新しいものとか…」


オリビアはアイデアをあげていく。しかし、オリビアはその自分のアイデアに対して今ひとつピンと来ていないようだった。

セシルは、そのオリビアの様子に気付いてか、ゆっくり探しましょう、と微笑んだ。


暫く、様々な店を見た。雑貨屋、陶器店に時計屋…しかし、オリビアのお眼鏡に叶うものは見つからなかった。

オリビアは悩みながら、道を歩く。すると、セシルがオリビアの腕をぐっと引き寄せた。

オリビアは短い悲鳴をあげて、セシルの胸に飛び込んだ。そして、同時にオリビアの背後からクラクションが鳴った。


「すみません…車が来たもので」


「あ、いえ…ありがとうございます」


オリビアは小さい子のような自分の不注意さに顔を赤くした。

ふと、オリビアはセシルの肩口から服屋があることに気づいた。


「セシルさん、少し見てもいいですか?」


「ええ、構いませんよ」


店内に入ると、そこには様々なのシャツやネクタイ、ジャケットなどが揃っていた。

オリビアは奥にキラリと光るものを見つけた。近づくとそれは金色に輝くネクタイピンだった。そのピンには蒼色の石が嵌め込まれていた。それはリアムの髪と瞳の色と同じだった。


「素敵…リアムさんにぴったりだわ!」


確か、ネクタイピンには貴方を見守りますという御守りのような意味合いがあったはずだ、とオリビアは思う。そして、そのネクタイピンを手に取ろうとする。

ふと、隣に色違いの銅色のネクタイピンがオリビアの目に止まった。そのピンは菫色の石が嵌め込まれていた。オリビアの髪と瞳の色と似ていた。オリビアは思わず金ではなく銅のネクタイピンを手にした。


そういえば、とオリビアは、ホテルロイヤルジラールでのロイの言葉を思い出した。


(大切な人の髪色や瞳の色と同じ石のついた物を持ち歩くと、その人との絆が永遠のものになる…)


思い出すと同時に自分の考えを理解したオリビアは顔を赤くして、銅のネクタイピンを棚に戻した。それを横で見ていたセシルは、少し意地悪そうな笑みを浮かべた。


「こちらにしなくていいんですか?」


「ええ…」


オリビアは金のネクタイピンを握りしめて、恥ずかしさのあまり、俯いた。


「私は金ではなく銅を勧めますよ」


セシルは銅のネクタイピンを手に取り、オリビアに差し出す。有無を言わせない笑みにオリビアはたじろいだ。


オリビアが店を出る頃には、オリビアの精神力は目減りしていた。


「リアムさん…喜んでくれますかね…」


「ええ、きっと喜びますよ」


微笑むセシルにオリビアは、どこか意地悪な幼なじみを彷彿とさせた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ