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財閥企業殺人事件 第2章15節

閲覧していただき、ありがとうございます。

第2章は本節で終了です。

オリビアが無事退院し、因縁の事件も解決されたことで、アルベール事務所には平穏が訪れた。


「オリビア、まだ本調子じゃないんだ。あまり無理はしないでくれ」


リアムは、あれからオリビアに対して過保護になった。

リアムはオリビアをソファに促し、オリビアの為に買ってきたハーブティを淹れる。

オリビアは、そんなリアムの様子に思わず苦笑いをしてしまった。


ハーブティを飲み、一息ついていると、カランコロンと鈴がなり、誰かが入ってきた。


「失礼します」


セシルは短くそう告げると、オリビアの元に向かった。


「オリビア様。こちらを」


セシルは可愛らしい鉢植えに入った花を差し出す。


「これは?」


「カランコエです。オリビア様、退院おめでとうございます」


優しく微笑むセシルは原作では考えられないほど、甘い表情をした。

リアムはそんなセシルを怪訝そうに見つめた。

当のオリビアは、思いがけないプレゼントを見つめていて、2人の様子には気がつかない。


「…ところでオリビア様。カランコエの花言葉はご存知ですか?」


「ごめんなさい。私そういうの疎くて…」


前世のオリビアの幼なじみは、花言葉に詳しいようだったが、前世のオリビアは興味が湧かず、ただ花の美しさを眺めるだけで終わってしまった。


「もしよろしければ、後で調べてみてください」


セシルはにっこりと笑んだ。何か含みのある笑みだったが、オリビアは心当たりがなく、内心首を傾げながらも頷いた。


「あと兄さん、これ。ソフィアさんから」


リアム宛のピンクの手紙に書かれていたのはリアムに対する御礼が書かれていた。

セシルは少し複雑そうな顔をして、話を続ける。


「ソフィアさんから聞いたよ。ソフィアさんとノアさんは兄妹だったんだな」


セシルの言葉にリアムは短く肯定する。

ノアは知らなかったが、ソフィアはノアの実妹だった。アランはそれを知り、面接に来たソフィアを受け入れたのだ。


「元々あの買収はトマさんがほぼ独断で行ったことだった。あの後、父さんは随分とゴーディア家を気にしていた」


ソフィアはアランに何故自分を受け入れたのか尋ね、事のあらましを全て知った。

知った上で、兄に会わないことを選択した。

手紙ではその後悔も書かれていた。


ソフィアは兄が家に縛られていることを幼いながら感じていた。母の状態を知らなかったソフィアはノアに自由に生きて欲しいと願い、選択したことだった。


ソフィアの手紙には『向き合う機会をいただき、ありがとうございます』と記されていた。


「ありがとう。私からも後で彼女に手紙を書くよ」


リアムは一通り読み終わると、顔を上げて、セシルに礼を言った。


「気にしないで。オリビア様の様子も伺いたかったし」


セシルがそう告げるとリアムは片眉をあげた。

オリビアは鉢植えを大事に持ちながら会釈する。リアムはそんなオリビアを傍目にセシルにこっそり尋ねる。


「セシル…まさか」


「オリビア様、兄さんにもったいないくらい良い人だよね」


セシルの言葉に動揺するリアムを見て、セシルは思わず笑ってしまう。

オリビアは首を傾げながら、2人のやりとりを眺めていたのだった。


その日の深夜。

帰宅したオリビアは、セシルの話を思い出し、カランコエの花言葉を探す。


「たくさんの小さな思い出…あなたを守る…か。セシルさんはどういう意図で私にこの花をくれたのかしら?」


オリビアはその後考えても思いつかず、気づけば深い眠りについてしまっていた。

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