財閥企業殺人事件 第2章9節
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オリビアは珍しく慌ただしい朝を迎えた。
時計は8時を指している。
アルベール社の調査は10時からだ。
時間があまりないことに気づき、オリビアの寝惚けた意識は急激に覚醒する。
昨夜は、なかなか寝付けずにセシルと談笑をしていたのだった。
慌てて身支度を済ませて、ダイニングに向かうとリサ、リアム、そしてセシルが迎えてくれた。
「すみません、遅れました」
オリビアが申し訳なさそうに言うと、リアムは全然、と言う。
朝食を食べ、車庫に向かう途中にオリビアはセシルに声をかけられた。
「オリビア様、申し訳ございません。昨晩、私が引き留め過ぎました」
「いえ、セシルさんが悪い訳ではありません!私が目覚ましをセットし忘れてしまっただけです」
「ですが…」
オリビアがそう言い淀んだ時に背後から声が聞こえた。
「セシルと随分親しくなったんだね。仲が良くなって何よりだ。セシル、今日は私が運転するよ」
リアムは少し棘のある言い方をして、運転席に乗り込んだ。オリビアは初めて見るリアムの態度に少し戸惑った。
「オリビア様、気になさらないでください。兄はオリビア様が思うより、ずっと幼いんです」
セシルはそう言って、車の扉を開け、オリビアに乗車を促した。オリビアは戸惑いながらも車に乗るのだった。
社交的なリアムが珍しく口を閉ざしたせいか、車内ではどこかピリピリした空気が流れた。
2日目の調査が開始してすぐにオリビアは、はっとした。
(どうしよう!今日はメアリーさんが服毒自殺を図る日だ)
原作ではメアリーが死後3日後に発見された為、メアリーの死を止めるには今日止めなければならないのだ。
「リアムさん!」
突然オリビアが大声でリアムを呼んだ為、リアムは少し驚愕した顔を見せた。
「なんだい?」
「今日はメアリーさんを聞き込みしましょう!警備員の方ですし、きっと情報はたくさんありますよ!」
「ああ、構わないが」
戸惑いながらもリアムはメアリーの聞き込みを承諾した。
「ありがとうございます!リアムさん、善は急げです!早く向かいましょう!」
車内での重い空気は何処へやら、足早にメアリーを探しに向かうオリビアを追うリアムであった。




