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財閥企業殺人事件 第2章7節

閲覧していただき、ありがとうございます。

「お疲れ様です。何か収穫はありましたか?」


20時になり、今日の調査は終了した。

雨が強まり、セシルの厚意で最寄りの駅までリアムとオリビアを車で送ってもらうことになった。


「ぼちぼちかな。久しぶりに皆と会って世間話に花が咲いてね。肝心な話までは至らなかったんだ」


リアムがそう告げるとセシルは半ば呆れた顔をした。


「兄さんだからそうなるとは思ってたけど…一応探偵なんだから、そこのところは分けてくれよ」


セシルはため息混じりに呟く。

仕事が終わったからだろうか、朝と打って変わってセシルの態度は家族に向けられるものだった。


「どこから事件に繋がるか分からない。だから無駄なことではないんだ」


少し複雑そうな表情をしたリアムがそう告げるとセシルは反論しようと口を開いた。すると同時にリアムの携帯が鳴った。

失礼、と言ってリアムは電話に出る。


「もしもし?リアム?」


電話の相手はリアムの母親のリサ・アルベールだった。


「ああ、母さん。久しぶり」


「あなた、今日からアルベール社で父さんのこと調べるんでしょう?今はどこにいるの?」


「セシルの車で最寄駅まで送ってもらってるよ」


あら、とリサは話を続ける。


「セシルも一緒なのね。ちょうど良かったわ。今晩は泊まってきなさい。雨も強いし、会社もこっちの方が近いじゃない」


「いや、また今度にするよ」


「そんなこと言わないで。母さん、あなたに会いたいのよ。それに助手の方にもあなたがお世話になってるみたいだし、挨拶したいのよ」


「彼女も連れて行くのか?もう夜も遅いし、今度紹介するよ」


彼女、というワードにオリビアが反応する。


「ええ、お願いよ!今日、会えると思って夕飯を豪勢にしたんだから」


リサの中ではリアム達が来ることは決まっていたのだろう。この強引さはオリビアに似ているな、とリアムはどこか思う。


「分かった。彼女にも聞いてみるよ。駄目だったら私だけそっちに泊まらせてもらうよ」


半ば無理矢理受話器を切ると、リアムはオリビアに尋ねる。


「オリビア、急ですまないが今晩私の実家に来てくれないか?おそらく泊まりになるだろうが」


「え、実家ですか?」


急なことで意表を突かれるオリビア。

リアムは申し訳なさそうにする。


「私の母さんが張り切ってしまってな。君さえ良ければ付き合ってくれないか?」


ふとリアムはバックミラー越しにセシルを見る。セシルの表情からして、この事は知っていたのだろう。既に方向は最寄駅ではなく、家の方向に向かっている。

リアムは恨めしげにセシルを見る。


「私は構いませんが…いいのですか?」


「ああ、急なお願いで申し訳ない」


いえ、と言ったオリビアは心なしか嬉しそうな顔をした。


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