高級ホテル殺人事件 序章
初めての投稿です。至らない点もありますが、よろしくお願いします。
グリーンフォレスト地区。そこは自然豊かで非日常空間を満喫するにはうってつけの場所だ。観光地としても人気で、近頃は有名一流ホテルも進出してきたところだ。
そんなグリーンフォレスト地区にある有名一流ホテルに向かうため、電車に揺られる女子学生4人。彼女達は卒業を間近に控え、最後の学生生活を満喫しているところだった。
「ついに私達も卒業なのね。全然実感湧かないわ」
「そうだね。まだ学生生活を満喫していたいわ。社会人になる自信なんてまだないよ」
「引越しの準備もしなければいけないし、意外とやること沢山あるし、遊んでばかりもいられないのが悩みどこよね」
3人の女子学生が学生生活とのお別れを惜しむ中、1人の女子学生は何かを考え込むように、ぼうっと窓を眺めていた。
「オリビア?ぼうっとして、どうしたの?」
隣にいた女子学生に肩をつつかれて、彼女はぱっと視線を友人達に戻す。
「オリビア、まだ悩んでいるの?自分の就職先。もう決まったことじゃない」
目の前の友人が半ば呆れたように首を傾げる。
「オリビアって超一流企業のアルベール社に入社するんでしょう?いいじゃない、皆の憧れよ。私も入りたいわ」
悩む女子学生の斜め前の席に座る友人も目を輝かせて、彼女の就職先に同意する。
「うん。そうなんだけど。私のやりたかったことって本当にこれだったのかなって思って」
友人の反応に対し、彼女のリアクションは未だ芳しくなかった。
「あなた就職活動中からずっと言ってたよね。でも結局見つからずに終わって諦めたのかと思ってた」
「最善は尽くしたのよ。でも今ひとつピンとこなくて」
「エマの言った通り、一流企業よ。今はピンと来なくても、オリビアは最善を尽くしたんだから入ったらきっと納得するわよ。クロエもそう思うでしょう?」
「うん。運命の企業ってそんなにすぐ分かるものじゃないよ。ゆっくり少しずつ、その環境に馴染んで初めて分かるものだと思う」
「そうだよね。ありがとう、みんな」
少しばかり気まずい空気を変えるかのように、斜め前の友人、エマは明るい口調で話題を変えた。
「そういえば、もうすぐでホテルに着くね。人気の有名一流ホテルに泊まれるなんて夢みたい」
エマの向かいに座るクロエもそれに同意する。
「本当に。しかも学生のうちに泊まることになるなんて思わなかったよ。アリス、よく予約できたよね。本当にありがとう」
オリビアの向かいに座るアリスは人形のように整った顔を綻ばせて笑う。
「私の家、ジラール家と懇意にしていただいているのよ。だから部屋も取れたし、割引価格で泊まれることになったの」
「流石はお嬢様。ホテルロイヤルジラールとも親交があるとは恐れ入りました」
少しおどけたようにクロエが言うと皆がクスクスと笑い出す。
(そうだよ。今はきっと不安なだけ。大丈夫、これからも私はやっていける)
心の中でオリビアはそう思い、切り替えて、この2泊3日の旅を楽しもうと改めて決意した。そして、彼女は友人とのひとときを楽しんでいた。
そう、あの時までは。
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