表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニートが彼女に気に入られる為に修行してチートになったのを見せつけるには異世界に行くしかないだろう  作者: 三月うさぎ
第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い
12/33

12 公園

「お疲れさん。ウタル良くやったぞ」


「所長ー!所長から出た“W”と全然違うじゃないですか。危うく死ぬところだったんですよ」


「初っ端から強烈な“W”だったな。けどお前ならなんとかすると思っていたよ。梓ちゃんは死んだ方に賭けてたみたいだけど」


 所長は笑っていた。さっきまでの死闘がなかったかのように笑っている。


「悪運の強いやつめ」


「いや梓さん、シャレになってないですよ。ホント死ぬかと思ったんですから」


「所長がいるのに死なすわけないでしょ」


「え?所長ピンチなったら助けてくれてたんですか?」


「当たり前じゃん。有望な新入社員を簡単に見捨てはしないよ」


「じゃあもっと早くに助けてくださいよ。もっと小さな“W”退治かと思ってたのにあんなオトナコモドドラゴンみたいな“W”聞いてないですよ」


「大丈夫、俺の初めての時はもっと巨大で狂暴だったから」


「そうなんですか?じゃあ所長も初めてで強大な“W”を倒したんだ?」


「いや、速攻逃げたよ」


 恥ずかしむこともなくあっけらかんと笑いながら言う所が所長の良さなんだろう。


「あの……」


 曜子のことを忘れていた俺は所長と梓さんを曜子に紹介した。


 所長はからし屋マタジの名刺を曜子に渡した。こんな時はからし屋という表向きの職業が役に立つ気がした。


 しかし曜子にはあの“W”の姿が見えていたからからし屋の誤魔化しは通用しないだろ。


「宿敵わさび屋の手先だったんですね、ホント酷い!」


 所長の言い訳に共感している?曜子、冗談だろ?そもそも所長の言い訳が子供レベルすぎる。小学生でも信じない言い訳ですよ。


「じゃあそういうわけで曜子ちゃんを怖い思いさせたお礼に、ウタル君が美味しいものを何でもご馳走してくれるから。遠慮しないでなんでも言って頂戴」


 結局俺に丸投げですね、所長。領収書切ったら経費で出るのだろうか不安だ。


「じゃあ私、〇〇駅ビルの最上階にある創作料理のコースに出てくるシフォンケーキが食べたい!」


「いーよーいーよー。サフォンでもゴフォンケーキでもなんでも注文しちゃってください」


 所長は陽気である。


「いーなー。私も連れてけ」


 梓さんは仕事そっちのけである。


「ところであそこに寝てる犯人はどうなるのですか?」


「大丈夫。後はおじさん達が処理しとくから曜子ちゃんは気にしないでウタル君に思いっきり奢ってもらうと良いから」


 所長は俺たちの背中を軽く押しながらこの場を離れるように促す。


 足りないといけないからと言いながら所長は小声で俺に


「彼女と仲良くなっておけ」


 とだけ言って胸のポケットにお金を忍ばせてくれた。


 


 


 千円だった。


「少なっ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ