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そして母を見ました。
違和感の正体はすぐにわかりました。
髪形です。
髪型がまるっきり変わっていたのでした。
それも自ら命を絶ったあの女の髪型に。
驚愕の色で母を見ていると、母が振り返りました。
身体は完全にいつもの見慣れた母でした。
しかしその顔は、死んだあの女のものになっていたのです。
「うわあああっ!」
私は叫び、母の「どうしたの?」と言う声を背に、家を飛び出しました。
そのまま止まることなく闇雲に走り続けていると、大通りに出ました。
普段から人通りの多い場所です。
そしてそこにいる全人類のおよそ半分を占める女性たち。
その女たちの顔が、彼女と同世代の女は勿論のこと、腰の曲がった老婆からベビーカーに乗った赤ん坊にいたるまで、全てあの女の顔に変わってしまっていたのです。
終