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ゲーマーの俺に課せられた「意識が切り替わるたび違うNPCに乗り移る」という試練  作者: 青空啓一
2章 とうとう帰れる日が近づいてきたかもしれない
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29話 救助する

俺の大体の記憶を元に森の中心へと進んでいく。魔物が何体か現れたが、ルミナの放つ矢で一発で倒れていった。流石は最強格NPC、あり合わせの材料で作った弓で魔物を次々と屠っていく。


だから、魔物に関しては特に苦戦はない。だが、暑さに関してはどうしようもなく全員重い足取りで進む。途中、氷や水の魔法で体を冷やせないか試してみたが、焼け石に水だった。


「ねえ、まだ……?」


波瑠が愚痴をこぼしながら歩く。正直、俺もそろそろ心が折れそうだ。熱帯雨林の中は木の根やぬかるみが大量にあり歩きづらく余計気が滅入る。


「あ!あれは……」


「「やっとか(ね)!!」


何かを見つけたようなルミナ。その様子に俺とルミナは思わず声を上げた。


「誰かが魔物に襲われているわ!」


そっちか……、って、ヤバいだろ!


旅人風の男が狼の群れに襲われている。

ルミナは彼を助けようと迷いなく弓を構えた。だが、あまりに無茶だ。

一匹ならルミナの弓矢で一発なのだが、集団となると一匹を倒すうちにもう一匹が来る。


しかし、彼を見捨てるほど俺は合理的に出来てないようだ。


波瑠も同意見のようで、まともな武器は何一つ持ってないが、魔法の詠唱を始めていた。俺に至っては魔力すら残っていないが、ゲーム内で鍛え上げた体術で何とかなるかもしれない。


ルミナも俺たちの意思に気がついたようで、こちらを見る。

俺たちは声は出さずお互い頷きあった。




狼たちは怯える男をゆっくりと取り囲んでいく。獲物を追い詰めた愉悦からかギラリと眼光が光り、男はますます震える。


「ヒイイぃぃ……。た、助けてくれ!」


必死に命乞いをするが、獣に言葉が通じるはずもない。狼達は無慈悲にも男に飛びかかっていく……


かと思えた。


狼達は男を目の前にして縛られたように動かなくなった。


「ど、どうしたんだ……?」


死を覚悟していた男は突然の事に呆然とする。よく見れば突然吹いた風が意思を持つかのように、狼達を止めていた。


そして、どこからか矢が飛んできて狼に突き刺さる。止まることのない攻撃に狼たちは倒れていく。


もしかして助かるのでは。そんな思考が男の頭をよぎった時、風の呪縛を無理やり解いた狼が男に襲いかかる。

しかし、一閃。一筋の線が狼の体を両断した。

バタリと倒れる狼。その音を聞き初めて男は倒れた狼の前に立つ若い男の存在を知覚した。


あまりに一瞬の事だったので、男には何が起こったのかよく分かっていない。ただ、この若者こそが救世主というものなのだろうと心から感じていた。


……


木の棒であそこまでやれるとは我ながらびっくり

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