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ゲーマーの俺に課せられた「意識が切り替わるたび違うNPCに乗り移る」という試練  作者: 青空啓一
2章 とうとう帰れる日が近づいてきたかもしれない
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26話 神と救世主

「波瑠、その絵本は何だ?」


「ちょっとあやされてる時にすごい情報を見つけてね。抜け出してきたのよ」


たしかに今の波瑠の体は子供。読み聞かせでもされたのかもしれないが、子供が読むような絵本に重要な情報なんてあるのか?


「ふふ、信じてないわね。ま、読めば分かるわ」


なぜか自信満々な波瑠に呆れながら絵本を読み始めた。絵本はこの世界の伝説を簡単な言葉で書いたいわばファンタジーのような内容だった。


「……あ、これは!」


この絵本は魔王と救世主の戦いが描かれた絵本だった。初代魔王とは明記されていないが、俺がヘンリーの資料で見た伝承とよく似ている。


「どう?ゲームではなかった情報でしょ。何なら褒めてくれてもいいのよ?」


「いや、それ自体はもう知ってる」


「うそ!?ちょっとドヤ顔してた私がバカみたいじゃない!」


「あー、それはすまん」


大げさに反応する波瑠を適当に流しつつも、もう一度絵本の表紙を見る。『神の呼びし異界の救世主』という絵本らしさのかけらもないタイトルが書かれている。


ヘンリーのような学者がわざわざ辺境に行ってまで調べた伝承が、街で絵本になっているありふれたものだろうか。もちろんヘンリーが自説を広めるために作ったというのもありえるが、この絵本は相当古いものであることが少し見るだけで状態から分かる。


……波瑠は波瑠で当たりを引いてきたのかもしれないな。


一旦その検証は後にしよう。俺は絵本の続きを読み進めた。


ヘンリーの資料でもそうだったようにどの場面でも救世主は影として描かれていた。


救世主は異世界から召喚されると、各地でモンスターを倒し力をつけ、ある時神に呼ばれる。


神は自分が救世主を召喚したのだと伝え、勝手に異世界に連れてきたことを謝りながら世界のために魔王を倒すように話した。


救世主は戸惑いながらも了承し神から一振りの剣を授かる。それこそが魔王を倒せる唯一の武器らしい。

……まあよくある展開だ。ただ俺はその剣に違和感を覚えた。


こういうファンタジー系での剣って大体西洋剣じゃないだろうか。それにも関わらずこの絵本に書かれた剣はどう見ても剣というより刀。もっと言えば日本刀だ。


神曰く、これが一番使い慣れているだろうとのことだが……、あ、そういうことか。


今までの経験からカラミティオンラインと現実の時間軸はズレていて、現実での1日はカラミティオンラインでの3日に相当すると分かっている。つまり、カラミティオンラインでの千年前は現実でいう所の大体300年前ということになる。


300年前の日本と言えば江戸時代の真っ只中。確かに武士などは刀が一番使い慣れているだろう。


いや、百歩譲ってこの救世主が江戸時代の人間だとして、その頃カラミティオンラインという作品は勿論ゲームなんてものが存在しない。


……謎が謎を呼ぶ。この世界は一体何なんだ。俺や波瑠は何のためにここに来たんだ。


「全ては神のみぞ知る、ってか」


「え?なんて言ったの、啓太」


ルミナがキョトンとした顔で首を傾げる。

可愛い……、とかは言ってる場合じゃないか。


「神に会いに行くぞ」





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