謎の女の子
口に張り付いているガムテープを慎重に剥がしてやり、身体中のロープを切ってやった。
女の子に声を掛けようとして、止まった。
…やばい、何て声かけたらいいかわからない!
2年振りだしなぁ…
「おい。大丈夫か。起きろ。助けたぞ。」
そう言うつもりは無かったのに、緊張で少し冷たい言い方になってしまった。
「……別に助けて欲しいなんて言ってない。」
くっ、なんだこのアマぁ! あれだけ俺のことを涙目で見てただろ!? ふざけんなよ!命張ったんだぞ!
「くっ、まあ別に良い。俺が勝ってにやっただけだからな! だが、お前はここから一人で帰れるのか?」
「……貴方に関係があるのかしら? 早く消えて。」
「ああそうかい!わかったよ!悪かったな、助けて!」
もうなんなんだよ… 無駄骨だったな。
やっぱり家に帰ってれば良かった。
もういい、おうちかえる。
俺は振り返って、出口へ歩き出す。
「………? そういえば貴方何処かで……
ちょっと待ちなさい。」
「ん?何か用かよ」
「いえ、顔をよく見せていただけないかしら?」
そう言うと、彼女は俺の顔を眺めはじめた。
だが少しすると、しだいに目を大きく開きはじめ、まるで驚いているようだった。
「貴方やっぱり…。 いえ、ごめんなさい。
それと、助けてくれてありがとう。」
ん?どういう風の吹きまわしだ?
お礼を言うなんて…
「ところで私、場所がわからないんですけれど、案内してくれないかしら?」
えぇ、面倒だな…
まあ、どうせ断っても着いてくるだろうし仕方ないか。
「仕方ないな。だが、俺は車で来た訳じゃないぞ?」
「ええ、大丈夫よ。外に連れてくれたら車を呼ぶから。」
なんだ金持ちかよ。誘拐されるだけあるな。
「わかったよ。外までな。」
こうして俺はよく分からない女を連れて、外に向かうのだった。
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