星の瞬く夜
星の瞬く夜。
僕は一人空を見上げる。
そうしていると、なんとなく暖かな気持ちになってくる。
遠い昔、僕を大事に思ってくれる人たちがいた。
何故か、そんな錯覚を感じるのだ。
これが前世の記憶というものなのだろうか?
「お嬢様、外にいると湯冷めしてしまいますよ!」
家の中から千春さんが僕を呼ぶ。
もたもたしてると、また罰ゲームだ。
そういえば今日、千春さんが警察から戻ってきた証拠品という物を渡してくれた。
九条院総研での爆発事故で警察が押収していた物品らしい。
それは、僕の名前の署名がある妙な内容の手紙だった。
もちろん、僕はこんな手紙を書いた憶えはない。
郁へ
私はあなたを犠牲にしてまで、九条院家の再興に賭けてしまいました。
これからは九条院グループのことなど考えずに、あなたはあなたの好きな人生を歩んでください。
学生時代を楽しみ、社会人になり、暖かい家庭を築いてください。
そんなあなたの横に、私はずっと一緒にいたかった。
さようなら、大好きな郁。
2011年5月1日 九条院 麗
読んでいただいた皆様へ──。
大変ありがとうございました!
これで今回の日々之郁の物語はおしまいですが、
同じタイトルで別の世界線を描いた完結作品もあります。
もっとこうして欲しかったとか、イマイチとか何でも感想をいただければ嬉しいです。
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