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第2話 自己紹介

第1話うまく投稿で着ていませんでしたので連続投稿になります。



「はぁはぁ、……ここまで……ゴホッ……来れば大丈夫……だろう……」

 

大通りを抜けた後も悪党二人に見つからないようにしばらく走り続けた二人は大通りの大きな噴水がある人通りの多い場所まで来た。

もちろん引きこもり予備軍である陸は帰宅部である。体力は皆無であるために現在道端に倒れて死亡している現状だ。

 

一方獣人の女の子はかなりの距離を走ったはずなのに息切れ一つなくケロッとしていることに陸は驚きながらも疲労が勝っているためにツッコミができないでいる。


(あー久々に眼帯外すとすっげー違和感あるわ)

 そして倒れながら陸は眼帯を付け直した。


「あの、ありがとうございました賢者様」

 ペコっと女の子が頭を下げる。

「あーどういたしまして……」

 うつ伏せで倒れたまま陸は答えた。


女の子は前屈みになりながら陸のことを心配してるように見ていた。


「なんで賢者様は私を助けてくれたのですか?」


 女の子は陸を申し訳なさそうに陸を見下ろした。フィリナは陸が何故助けたのか理解できないでいるようだ。

 陸は腕立て伏せの要領で上体を起こして近くにあった石の上に腰を下ろす。

「理由は?って聞かれると何も無いんだよな」

 そして両手を使いジェスチャーも含めて理由がないことを陸は示した。


「でも……貧民の私を助けても大したお礼なんてできませんし」

 もじもじとした様子で女の子は答える。先ほど言っていた【貧民】という身分の差を気にしているのだろう。日本にもかつて【えた・ひにん】という似たような制度が歴史の授業で習った事を思い出す。


「貧民とか俺にはよくわかんないけど助けて欲しそうだったから助けるのは当たり前だろ?」

 恥ずかしげもなく答える陸。

(一度見捨てようと思ったのは黙っておこう)

 その考えには恥ずかしげを持ってほしいものだ。

女の子はきょとんとした後目を輝かせた。


「やっぱり……あなたは賢者様なのですね」


「はい?」

「やっぱりそうなのですよね⁉」

「はぃぃぃぃぃいい⁉」

 ズイッと近づき陸の手を握ってきた女の子に反応して顔を赤く、そして心臓の鼓動が早くなる陸は彼女いない=年齢を立派に発動させていた。


「あ、あのー、ち、近いんですけど」

「あ、その、ごめんなさい!」

 女の子は握った手を離した。

(そんなに自分の手を握るのが嫌だったのか⁉)とちょっと悲しくなる陸。だが女の子は申し訳なさそうに目を逸らしたところを見ると嫌だったわけではないようだ。


「私のような貧民の穢れた紛い物の獣人種に触れられるの……嫌ですよね?」

 どうやら身分を気にしての行動だったようでむしろ自分が嫌がられていたのではないか?不快な気分にさせていなかったのか?とそういう心配を女の子はしていたようだ。


「い、いやそうじゃなくて、痛っ」

 と陸は左肩の痛みを覚える。どうやら小柄の悪党とすれ違いざまに火の魔法を受けていたようで火傷を負っていた。アドレナリンでも出ていたのか火傷が今更襲ってきたようだ。

「け、賢者様!怪我をしています!」

「かっこよく避けたつもりだったんだけどなー」


 頭をポリポリとかきながらそういう陸。

「回復魔法をかけますからジッとしていてください」

 女の子が膝をついて屈み陸が怪我した左肩に手を当てる。

 女の子の手から光が発生すると左肩の火傷が治癒を始め十秒くらいで陸の左肩が完治した。

(さすが異世界、回復魔法もやっぱりあるんだなー)

 陸は左肩をぐるぐる回して完治したのを確認した後、女の子を見た。


「へー面白い【モノ】持ってるね」

「え?」

「ごめんこっちの話」

 

意味の分からないことを言うと陸は立ち上がる。

「でも獣人って魔法使えるもんなの?俺の知識だと獣人はパワー特化だと思ってたんだけど」

「あの、私純粋な獣人種じゃなくてエルフの血が混じってるハーフなんです。だから魔法もそれなりには使えますしその証拠にところどころ髪の毛に金色のエルフ特有の髪の色が混じっています」

 

そういうと白色基調の髪の毛にところどころ混じっている金色の髪の毛の部分の毛先をつまみクリクリといじる女の子。

(やっぱ金髪はエルフが定番なんだな。でもエルフ耳じゃなくて獣耳なところを見ると獣人族の血が強いってところか?)

 へー、ほーと言いながら陸はマジマジと女の子の顔を観察する。


「あ、あの……私の顔に何かついてますか?」

 ジッと陸に見られていたため女の子は少し自分の身なりを心配したようだ。

「いや、そうじゃなくて、かわいい女の子だなーと思ったらエルフの血とのハーフなわけかそりゃかわいいわけだ」

 陸はケロっとそんなことを言った。

 女の子が顔を赤した。

「え…………かわいい?」

 

少しの間の後……


(俺会ったばかりの初対面の女の子に何言ってるんだぁぁぁぁぁぁぁ‼‼‼)


 口を押えて失言を悔やむ陸。だがよく見ると、いや、よく見なくても超絶かわいい女の子だろう。

 女の子はボロボロな衣服を身に着けてはいるが髪の毛は丁寧に手入れされていてサラサラのロングヘアーであり白髪をメインにところどころ金色の髪の毛が混じっている綺麗なグラデーション。そして顔は童顔だが整っていていかにもかわいい系と言う感じだ。そして夕焼けを思い浮かべるような赤い瞳をしていて犬耳と尻尾を生やしている。


 実際に絵に描いた獣耳美少女であり通常のオタクなら発狂しているだろう。だが対人スキルはそこそこある陸は落ち着いた、否、落ち着いたようにテンパっていた。


「あ、えっと、その……ごめん」

 自分の失言を言ってしまったことを顔を赤くしながら謝罪する陸。

「い、いえ……あんまり言われたことなかっただけでして……私もちょっと嬉しかったです」

 その謝罪に対して女の子も顔を赤くしながら照れる。

「そ、そうなんだ……」

「はい……」

「…………」

「…………」


 石作りの噴水の前で二人がなんかいい雰囲気になっている。だがここは大通りの市場であり周りから微笑ましい目と妬ましい目で見られていることに気が付いた二人は我に返った。

 二人はアタフタしながら無理やりその空気を壊すためお互いに何か話題を振ろうとする。その二人の横を馬車が走り抜けた後最初に沈黙を陸が破った。


「えっと、そういえば俺は君に何で俺の右目を見た時に賢者って呼んだんだ?」

 陸はふと疑問に思ったことを口に出した。先ほどの悪党達も陸のことをこの女の子が賢者と呼んだ途端に恐怖に顔を歪めたからだ。

「その、あなたの見た目が伝説の賢者と似ていまして」

「伝説の……賢者?」

「この国に黒髪で左目の瞳が黒色、そして右の瞳が碧色の眼をした碧眼の賢者と呼ばれる伝説の人物がいまして」


(なるほど、この国の伝説の英雄的な人物に俺が似てるってことか……つまりこれは俺が転生した賢者的な存在だったという感じか⁉まさかこの【眼】がそんなに重宝される力だったというわけか)

 顎に手を当てながら自分の異世界召喚で右目の力が重宝されていると予測。陸の心の声的に満更でもない顔をしているわけだが。


「それで俺を賢者と呼んだわけか」

 ムフフと笑顔になりながら鼻を延ばす陸。

「はい、もしかして碧眼の賢者様をご存知ないのですか?賢者様が一日で魔導書を二〇〇冊を記憶したり第一次魔道大戦で敵国の軍隊を一人で壊滅させたりとか色々な伝説を残していますが……もしかして出来たりしませんか⁉」

「俺にそんな力ねーからな⁉」

「じゃ、じゃあ相手の魔法を一瞬でコピーしたり」

「写〇眼じゃありません」

 

熱を持ったかのように興奮する女の子。

(うん、やっぱあんまりこの右眼伝説とはあんまり関係ねーみたいだな……つーかそんなチート能力持ってたら俺現実世界で世界征服してるぞたぶん)

 そして期待してたのと違いがっかりとする陸。

 女の子は陸を見てハッと熱が冷めたようで先ほどと同じように申し訳なさそうな顔に戻る。


「あ、ごめんなさい熱くなってしまいまして」

「こっちこそごめんな?こっちの歴史とか詳しく無くてな」

 陸は落ち込んで俯いていた顔を上げてそう言う。だが女の子は何故か首を傾げた。

「他国でも結構有名なお話しだと思ったのですが賢者様ってどこの国の出身なのですか?」

 

 どうやら碧眼の賢者の話はかなり有名な話であるらしく陸が知らないということは旅人か何かかと思ったのだろう。陸は少し考えた後、

「日本って島国だよ」

 と答えた。日本という国をはぐらかそうか陸は悩んだが話しても問題はないだろうと判断して話したようだ。


「ニホン……ですか。聞いたことない国ですね」

 この女の子の反応は当然だろう。何せこの世界の地図に載ってない国だからだ。


「うーんなんていえばいいんだろ。科学がそれなりに発展していて魔法がない、あとドラゴンみたいな生物がない国かな」


「魔法がない国⁉そしてドラゴンがいない⁉そんな国があるのですか⁉」

 先ほど離れたばかりなのにまたズイッと陸に詰め寄る女の子。どうやらこの女の子には知識欲があるようだ。

 それを陸は女の子の両肩を掴みグイっと女の子を引き離す。


「俺のことは置いておいて確かこれお母さんぼブローチって言ってたよね?」

 陸はポケットに入れていたブローチを女の子に渡した。

「あ、ありがとうございました」

 女の子は頭を下げてお礼を言った。


「次は取られないように気を付けてね」

「は、はい」

 

 ブローチを女の子に渡すと同時にぐ~っと陸のお腹の音が鳴った。

「そういえば昨日から何も食べてなかったな」

 原因は徹夜で行ったギャルゲーの所為であるのは言うまでもないだろう。


「それでしたら一緒に家に来きませんか?」

「え?」

 陸は時が止まったかのように錯覚するほどの思考を巡らせ考えた。


(これっていわゆるギャルゲーイベントの一つ、悪い奴から救ったヒロインから受ける女の子の家にお邪魔しますイベントですか⁉⁉⁉)


 思考は残念極まりない。

「えっと、大した物は出せないですけどお礼もしたいので……もしよろしければなんですけど」


「じゃあ、お言葉に甘えて(選択肢はもちろん【はい】に決まってんだろう⁉くぅぅぅぅぅモノホンの獣耳女の子からそんな誘いを受ける日が来るとは生きてて良かったぜ‼‼‼)」

 幼稚園以来の女の子の家にお邪魔する展開になり感動して号泣する陸と断られなくてホッとした後ほほ笑む女の子。


「じゃあ案内しますね」

「おう!」

 元気よく歩き出す二人だが陸は重要なことを聞いていなかったことを思い出した。


「ところで君名前なんて言うの?」

「そういえば自己紹介まだでしたね。フィリナって言います」

「フィリナね」

「はい、賢者様のお名前も教えてもらっても良いですか?」

「俺は朝国 陸だ。よろしくな」


 笑顔で自己紹介をする陸。この人物が後にこの国の歴史に残る賢者となるのはこの時誰も知らなかった。


次回から世界感の説明回になっていきますのでお願いします。


登校日は明日の18時時予定です。

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