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この道の先で、きっとまた

作者: 蒼峰峻哉

私事ですが、今月高校を卒業しました。

卒業式当日に僕が思っていたことや、当日の実際の流れを交えながら一本の小説として書いてみました。

一応ノンフィクションってやつです。

突発的に考え付き、その日のうちに完成させたものなので出来がいいものではないと思いますが、よろしければ目を通してください。

 凍えるような冬の寒さも和らぎ、春の到来を告げる暖かな風が吹き始めた頃。俺は三年間通い続けた高校を卒業した。

 式当日、学校に登校してクラスで待機している間は皆もいつも通りのテンションだったが、先生がやってきて席に着いた辺りで、何処か空気の変わったような印象を受けたのを覚えている。

 入場の時、三年一組の出席番号ラストに籍を置いている俺は、出席番号が先頭の友人と共に先頭に並び、先生達や来賓、在校生に保護者が待つ会場の中へ拍手で歓迎されながら、先生の後ろをついていった。

 式は進み、卒業証書授与式が始まる。先頭から順番に生徒の名前が呼ばれ、最後の俺の名前が会場に響く。堂々と返事を返し、俺は立ち上がった。代表が卒業証書を受け取りに行くのを見守る中、まだ俺には卒業の実感はなかったと思う。

 式が終わり教室に戻った。そこで今度は一人ずつに卒業証書が手渡され、一人一人が最後の挨拶を皆の前で行った。各々が自分の今後のことや、三年間の思い出を語っているのを見ている内にようやく、俺の中にも卒業の実感が湧き上がってきた。

 何人かの友人が話しながら涙を流し、それを堪えながら口を動かしていたのにはかなり涙を誘われた。思えば中学の卒業式でも同じよう、合唱の時に聞こえてくる泣き声などでもらい泣きをしそうになっていた気がする。

 そして自分の番。先生から証書を手渡され、皆の方を向いて俺は声をあげる。話した内容は、三年間で自分はきっと成長できただろうという内容だ。話した時間は僅かなものだったが、その少ない時間で今日までの毎日がフラッシュバックのように頭に浮かんでいく。三年間なんてあっという間の出来事だった。そんなこと、とっくの昔に気付いていたはずだったのに実感せざるを得ない。

 高校に入学してから、複数人で活動する時や班活動の際にはリーダーに選ばれることが多かった。それは少なからず中学時代にもあったことだったが、ここまで多くの活動でリーダーとして働くことはなかったし、何より当時の俺はそういった役割を任せられることをあまり好ましく思っていなかった。皆をまとめる責任の伴う仕事を、しっかりとこなせる自信がなかったからだ。

 だけど、高校に入ってから毎日を過ごす中で、少しずつその自信はついていき、二年生を迎える頃にはそれなりに堂々と仕事に向かい合い、精一杯取り組んでいくことが出来ていたと思う。

 勿論、その中で上手く行かないことや失敗したこともあった。それを乗り越えていくことが出来たのは、他でもないクラスの皆が力を貸してくれたからだ。感謝をしてもし足りない。皆と会えて本当に良かった、ありがとう。

 ――――俺が話したのは大体そんな感じの内容だった。




 式を終えて何日か経った今、改めてこれからの人生に想いを馳せてみた。

 皆がこれから歩む未来。それはどんな人の足元にも等しく伸びていて、無限にも思える方向へと分かれている未来の可能性だ。十八年分の歩みを進めた俺達は、ここからまた一歩未来に向かって歩き始める。どっちとも知れない未来、不安もあるだろう。だからこそ、勇気をもって一歩踏み出す価値がある。

 高校卒業後の進路は人それぞれだ。大学や専門学校に進学する者。就職をする者。浪人する者。これ以外の新しい道に進んでいく者だっているだろう。そんな中一つだけ確かなのは、ここまで同じ方向に向かって共に歩んでいた者達全員が、バラバラに自分だけの道を歩くようになるということ。

 彼等と次に会うことが出来るのはいつになるのか。俺達の歩くこの道が再び交わるのは、遠い未来のことになるのかもしれない。だけどこの道が続く限り、いつか何処かで巡り合うことが出来るんだと俺は信じてる。それは同じ大学内でのことかもしれないし、同じ会社でのことかもしれない。道でたまたますれ違った時のことかもしれないし、もしかしたら海外での出来事になるのかもしれない。いつか来るだろうその日に向けて、再開した彼・彼女に笑われることがないように。そして過去の自分が憧れるような、未来の自分が後悔しないようなこれからを過ごしていこう。

 この長く長く続く道の先。何処に繋がるのか分からないこの果てしない道の先で、きっとまたあなた達と逢える。俺はそう心から信じているからこそ、入学式の日の最後の挨拶を、〝さようなら、ありがとう〟ではなくこう締め括った。


皆さん、ありがとうございました。また、逢いましょう――――。

 

読了ありがとうございました。

最後の部分は小説として書くためにある程度表現を誇張したり、格好つけた書き方をしていますが、卒業してみての僕の考えを書いています。

同窓会などで高校のクラスメイトと会う機会はあると思いますが、そういった場所以外でもこの日本に、もっと言えばこの星に生きている限り何処かで出会うことが出来るよと僕は思っています。

だから僕は、卒業したときみたいな別れの際には必ず「また逢いましょう」と言うことにしています。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

それでは皆様、〝また逢いましょう〟

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― 新着の感想 ―
[一言] 卒業おめでとうございます。 なんか、ノスタルジーな雰囲気のする良い文章でした。作者様の状況と同じだからこそ、ファンタジーとかにはない本気というものが伝わってきました。こういうのは例え、プロで…
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