始まりはサイレンとともに
弐話連続投稿
第八寮とは。
寮色は、黒
志すのは「困難への挑戦」
世界でも数少ない赤魔法こと召還術を使える生徒のための寮であり
ほかには何かしらの種族の問題や、ほかの寮では少し問題があったり
成績優秀な生徒だったとしても希少な召喚を扱うとわかれば嫌だろうとも
八寮に必ず入らなければならない。
学校から八寮だけ遠いのは必ず問題がおきるためである
そしてここの寮長にはかならず「人間」でなくてはいけない
かなりの頻度で事件が多発する学園のトップの中の一人の苦労の話である。
5月中旬の某日、学園の中庭のベンチに座りハルアキは飲み物をグビグビ飲んでいた。
「はぁー茶がうまい」
空は快晴で気温も過ごしやすいくらいのもの、梅雨時期付近特有の湿気で体がべたつくのが困りどころだ。
お昼休み、中庭では花壇の紫陽花などが見ごろなので、友達と楽しそうに食事してる生徒や、ちらほらとサッカーやキャッチボールしてる生徒が目にとられた。
「平和だなー」
ベンチでスカートなのに足をハの字に開き背もたれに凭れるその姿はおっさんのように疲れきった印象のまま空を見上げほっと息をついた。
そんな穏やかで平和な昼下がりに不意に喧しいサイレンの音が響き渡った。
「?!何事」
驚き立ち上がりスピーカーを見上げると皆々が驚く中で発言がなされた。
〈モンスター、群ヲ確認!付近二接近中、至急!各寮長。生徒ハ持チ場二ツケ>
聞き間違いかと思いたいが繰り返し放送されているので聞き間違いもできない。
これを聞くと周りにいた生徒たちも表情を一変させ、それぞれ走りだした。
ハルアキも舌打ちを一回するとベンチから立ち上がり手にした飲み物を一気飲みし己が寮の方角へ走り出した。