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第43話 本格的チョコチップクッキー「郷のおっかさん」

相川翔太 その14




 そうして僕はみすずちゃんに連れられて彼女の部屋に来た。

 途中、よりちゃんの部屋の前を通り、二人の楽しそうな話し声が聞こえて、僕は強い罪悪感を覚えた。


 あんな女神と天使みたいな彼女が居ながら、僕って奴は、やっぱり最低だよ。


 そんな僕の心をつぶさに感じ取ったのか、みすずちゃんはクスリと笑って、僕の手を強く握った。


『翔太さん、こっちだよ』


 よりちゃん達には聞こえない様に小さな声で言った。




 部屋に入って直ぐ、みすずちゃんは部屋の鍵をガチャリと閉めた。ここから逃がさないつもりなのだろう。

 といっても、内からの鍵なのだから何の意味も無いのだけれど、それに僕も逃げ出すつもりはほとほと無い。


 みすずちゃんの部屋には初めて入った。

 彼女の部屋は僕の部屋の三倍くらいの大きさでとても広々としており、椅子や机に本棚等の調度品、それからカーテンやベッドやクッションに至るまで、僕にでもわかるくらい洗練された、それでいて年頃の女の子らしい部屋だった。

 だけどその中で違和感を覚える場所が一箇所あった。

 そこには大きめのサイズのパソコンとモニターが数台置いてあって、その裏からコード類が無秩序に伸びている。周囲には僕には良くわからない機器や電子部品が乱雑に置いてあって、そこだけまるで趣が違う部屋みたいだ。

 だけどやっぱり女の子らしい所があって、それはベッドに横たわっている巨大なぬいぐるみ……というより布と綿で出来たぬいぐるみの様な人形だった。その人形は、僕の勘違いで無ければ僕に何処と無く似ている。さっきリビングルームに置いてあった翔ちゃん君人形を思い浮かばされる。

 しかしその人形は……無残にも所々破れほつれ汚れていて、中の綿が出ている。相変わらず薄気味悪いぬいぐるみではあるが、ボロボロのそれはまるで以前観たスプラッタ映画に出てきた、人の皮で作られたと云われているフレッシュゴーレムの成れの果てだ。

 僕は翔ちゃん君人形とやらはあまり好きでは無いけれど、リビングルームの小奇麗なぬいぐるみを見た後では、少し可哀想に思えたりもする。


「あっ、気になる? その人形はね、エクストララージ翔ちゃん君人形って言って、お姉ちゃんの力作なんだよ。しかもソウル? って奴が入った本物だよ。何だろうね、本物って。人形に本物も偽者も無いのに……お姉ちゃんってイカレてるよね? うふふ……」


 僕がその異様な人形を見つめていたからだろう、その視線に気付いたみすずちゃんはそう楽しそうに言った。


「そう、なんだ……でも……ボロボロだね……」

「うん、だって仕方が無いよ。最近の翔太さん酷いんだもん、だからね~」


 無邪気に笑いながら、そのエクストララージ翔ちゃん君人形というやたら長い名前の人形に近寄った彼女は、ニコニコと暫くその人形を眺めていたが、急に表情を一変させて人形を凄い剣幕で殴りだした。


「ほらっ! こんな! 風にっ! 痛めつけるのっ!」


 憐れエクストララージ翔ちゃん君人形は、ボスッボスッと力いっぱい殴られる度にベッドを軋ませて跳ねる。


「翔太ぁ! このっ! 最低男っ! このっ! このっ!」


 憎しみを前面に押し出した顔で、僕では無い、僕の身代わりの人形を命一杯殴る、僕の幼馴染の少女。


 これは現実なのか?


 一瞬何が起きているか理解出来なかった。


 おかしい……だってさっき玄関で僕の事あんなに堂々と非難していた彼女なのに、どうしてこんな陰湿な事してるんだ。


 僕は彼女の突然の行動に戸惑い、恐れ、呆然としてしまった。


 だけど……

 あんなに溌剌とした彼女が、僕のぬいぐるみに怒りをぶつけている。という事は僕に何かしらの原因があるのだ。言い出しづらい何か。さっき言ってた、よりちゃんが嫌いになったってのも関係あるだろう。


「みすずちゃん、もういい、もういいんだ。これからは僕が、その人形の代わりになるから」


 僕は、息を切らせて尚、未だ殴り続ける彼女の後ろに立って羽交い絞めにしてそう言った。


「翔太さんが……?」


 そうだ、僕が身代わりになる。彼女の鬱憤を晴らすのはこんなぬいぐるみでは駄目だ。僕でなくちゃ……。

 とは言った物の、代わりに殴られるというのも色々な意味でマズイのかも。僕は話し合いのつもりで言ったのだけれども。

 もしかしたらそんな趣味を持っているとでも勘違いされかねない発言であった。


 僕の言葉にピタリと動きを止めたみすずちゃん。

 徐に首を捻り僕の顔を見た。

 しかしその表情は僕の想像とは違って、何だかとても驚いた風で、何と言うか、さっきまでの狂気染みた感じでは無く、何言ってんだろ? って感じの顔だ。


「代わりって……この人形の?」

「うん……」

「何で?」

「えっ? えっと……それは……」


 まさか「何で」と返されるとは想像していなかった。

 そう言われる可能性もあっただろうが、僕は予想外の質問に困惑して返答が出来ない。

 みすずちゃんはそんな僕を見て、ニコッと笑った。


「……あはっ、いいよぉ~別に~、翔太さんが代わりにならなくっても『こいつ』がいるからぁ。それよりもさぁ~、翔太さんにお話があるんだぁ~」


 みすずちゃんは、力を緩めた僕の羽交い絞めからしゅるりと抜け出して、向き直り僕に抱きついた。先ほど廊下でのと同じだ。


 それにしてもさっきから気になってはいたのだが、みすずちゃん、やたら僕に触れてくるな、玄関ではあんなに触るなって、妊娠するって言ってたのに……何故なんだ。


「単刀直入に言うけどさぁ~、二人と別れてよ」


 口調とは裏腹に、真剣な眼差しで僕を見上げる。


……お話って、やはりこの話だったか。

 予想通り、というか寧ろこんな真っ直ぐ言われるとは思わなかった。


「ごめん、それは出来ないよ」

「何で?」

「何でって……」


 また「何で」だ。

 しかしさっきとは違い、僕は即答した。


「二人が好きだからだよ」


 僕が言うと、みすずちゃんはぐっと辛そうな顔を一瞬したが、直ぐに持ち直した。


「何で?」

「何でって……二人ともいい子だし……それに……理由なんて無いよ。好きだから好きなんだ」

「何で……?」

「だから……」


 言いかけて、僕はみすずちゃんが泣きそうになっているのに気が付いた。


「みすずちゃん?」

「何で二股なの? どうしてお姉ちゃんだけじゃ駄目だったの?」

「それは……」


 二人が好きだから。


 では絶対に納得してくれないと思う。

 けど、二人が好きだから、どっちも僕にとって同じくらい掛け替えの無い存在で、どちらかを選ぶなんて出来無い。だから僕は二股なんて最低な事しているんだ。それがどんな事かくらいわかってるつもりだ。それが例え二人を傷つける事になっているとしても、それがどんなに周りを傷つける事になっているとしても、僕はもう迷わないって決めたんだ。


「それは二人の事がす……」

「あのチビ外人、リリィって言うんだよね? あいつ何なの?」


 僕の言葉を遮って、みすずちゃんが言った。

 何と言うか、凄くやりづらいな……話を途中で遮られるってのは。何もかもが少しずつみすずちゃんのペースに乗せられてる感じがして嫌だな。


 それにみすずちゃんチビ外人って……いや、まあそりゃあそう言われればそうだけど、一応リリィはれっきとした日本人だ。

「色々めんどいから」という理由で雪絵さんが国籍を日本にしたらしいし、リリィがこの間言ってたけど、英語も最近使って無いから忘れてきたとか、勿論そんな訳無いだろうから冗談だろうけど……いやもしかしたら言葉って長い間使わないと忘れる物かもしれないな……。


「一応リリィは日本人だよ。帰国子女っていって……」

「ああ、そういうのはいいから」

「う、うん……」

「それよりもさ、あの子って翔太さんと同い年でしょ? でもそれにしてはちっさいよね。 ……もしかして、もしかしなくても翔太さんってロリコン?」

「えっ!? いや、そんな事はっ!」

「あははっ、焦ってる焦ってる。大丈夫だよ、ここには私しか居ないんだからさ、ねえ、教えて」


 ここで違うよって言っても意味無いだろうし、僕は正直に答えた。


「うん、そうなのかも……でも、僕が好きなのはリリ」

「本当、翔太さんって最低だよね……」


 みすずちゃんはまたもや僕の言葉を遮って、心底呆れた様にため息をついた。


 もう何も言うまい。


「最低、最低過ぎ……。何でこんな人、好きになったんだろう……」


 本当だ。

 どうしてよりちゃんは、リリィは僕なんかの事が好きなんだろう、僕には全く理解出来ないよ。

 あんな素敵な女の子、僕なんかよりよっぽど素敵な人が見つかるだろうに……。


 そこまで考えて、僕は胸が痛むのを感じた。


 なんて、気取って言っても、そんな事想像するだけで泣きたくなるほど二人の事が好きな僕の言えた義理じゃ無いな。

 彼女達はきっと僕が好きだろう。だけど、それは僕からすれば全然だ。絶対僕の方が彼女達の事好きに決まってるんだから。

 そうだ。

 だからこそ、このピンチを打開しなくちゃいけない。

 二人との関係を続ける為にはここを乗り越えなくちゃ。


「みすずちゃん」


 僕は彼女の肩を抱き、引き離した。


「僕はどうすればいいの?」


 しかし返事は無い、どうしたのかと彼女の顔を覗き込んでみると、みすずちゃんは薄っすらと涙を浮かべて、とても悲しそうな顔をしていた。


「みすずちゃん? ごめん、痛かった?」


 出来るだけ優しくしたつもりだったけど、やっぱりか弱い女の子だからだろう、力加減を間違えたみたいだ。

 けど、彼女は首を横に振って言った。


「ううん、痛く無いよ」

「じゃあ何で泣いてるの?」

「だって…………」


 みすずちゃんの顔はみるみる赤く染まっていった。


「えっと、それは……」


 困惑した様子のみすずちゃん。

 しかしそれも束の間、はっと何かに気が付いたようで、僕に言った。


「だって、翔太さんのそれ、まだ硬いままだし」


 彼女が指差したのは、言わずともわかるだろう、僕の青い衝動の権化である。


「あっ、これはその、ごめん!」


 僕は前屈みになり、両手でそれを隠した。


「あーうん、いいよぉ~、別に~、翔太さんはぁ~そぉいう人だって知ってるから~」


 余裕を取り戻し幾ばくか顔色も戻ってきたみすずちゃんは、また勝ち誇った様な笑みを浮かべた。


「あ、そうだ~、いい事思いついた」

「いい事?」

「あのさー、じゃあさー、私がさー、抜いてあげよっか?」

「抜、く?」

「そう、抜いてあげてもいいよぉ~」


 みすずちゃんは、手に何かを握るようにして上下に振るジェスチャーをしてみせた。そう、棒の様な何かを握って擦るような……。


 そ、それって……。


「それとも私とスル?」

「い、え、あ、えっと? ス……る?」

「そう、しちゃう?」


 みすずちゃんは、何時ぞやのリリィよりも更に蟲惑的な笑みを浮かべて僕に近づいた。

 僕は予想外の彼女の言葉に何も考えることが出来なくたって、思わず癖で隠していた両手をぱっとあげてしまい、みすずちゃんの接近をそして抱擁を許してしまう。

 そうして僕を見上げるみすずちゃんの顔は未だ薄っすらと色付いていて、つい先ほどまで恥じらいを感じていたように思えたが、今は情事を期待する淫らな少女の顔に見えてしまう。そんな筈ある訳無いのに。


「脱がせてあげる」

「ちょっ、え?」


 僕の返事も聞かぬまま、彼女は器用に密着したまま僕のベルトを外した。

 そしてズボンの留め金を外し、ゆっくりとチャックをチチチチと下げる。


 マズイ、このままでは……。

 僕のがこんにちはしてしまう。


「ちょっと待ってみすずちゃん、流石にこれはマズイよ」


 僕は彼女の胸に触れるのも構わずに彼女の手を掴んで止めた。

 しかし、みすずちゃんは余裕の表情で笑みを一層深めてこう言った。


「いいの? 大声出すよ。もし見つかったら今のこの状況、誰がどう見ても……だよね。わかった?」


 僕は今更ながらしまったと思った。

 またしても嵌められたのだ。

 しかももう取り返しの付かない事になってしまっている。


 ほぼ脱げ掛けのズボン。痛いくらいに起立した僕自身、そして彼女の証言。


 詰んだ。


 僕の脳裏に浮かんだのはその一言に尽きる。


 そして更にタイミングの悪い事に……。


 コンコン。

 この部屋のドアをノックする音が聞こえた。


「みすずちゃーん、今いーい?」


 声の主はよりちゃんであった。

 よりちゃんはかなりの大声を出しているように思える。

 だが、防音が効いた扉の為、小さくくぐもった声しか聞こえない。


「なーに、おねーちゃん」


 みすずちゃんもよりちゃんに聞こえる様に大きな声で返事をした。

 返事をしながらもみすずちゃんは手の動きを再開させて、僕のズボンは重力に引かれ、ズルリと床に落ちた。

 そして何と、下着越しに撫で始めたのだ。


「あっ、うう……」


 みすずちゃんは僕の反応を愉しむ様に妖艶に微笑んでいる。

 彼女の労わる様な優しい手の動きに思わず声が漏れたが、幸いな事にこの部屋の防音性能により、よりちゃんには聞こえなかったであろう。

 しかしよりちゃんがドアの前に居る。

 そう思うだけで僕の心臓はバクバクと鳴る。

 もし今この状態をよりちゃんに見咎められたらと思うと気が気で無い。

 僕はこめかみにつーと汗が滑り落ちるのを感じた。でもそれはみすずちゃんの行為による興奮の為なのか、それとも緊張の為の脂汗なのか、もう良くわからなくなった汗だった。


「あのねー、祐ちゃんがねー、翔ちゃんトイレに行ったっきり帰って来ないんだってー。どこいったか知らなーい?」

「知らないよー」


 みすずちゃんはそうよりちゃんに返事をした後、ニコニコと僕に「ね、知らないよね」と囁いた。

 僕は思わず、うん、と首を縦に振る。


 って、うん、じゃないよ僕っ!

 何流されてるんだ。


 でも、この状況では僕はどうする事も出来ない。


「そっかー、ごめんねー邪魔しちゃってー」

「んーんー、いいよー!」


 みすずちゃんがそう言ったきり、よりちゃんの声は聞こえなくなった。

 僕は一先ずほっとして、未だ悪戯を続ける小悪魔をどうするか、桃色のもやがかかった頭でで必死に考えた。

 だが、靄のせいで思考力が著しく落ちてしまった今の僕の頭では何も思いつかなかったし、第一彼女に物理的にも掴まれている弱みが致命的だ。

 更には浮かぶ考えその物も桃色に染まっていて、既に片隅に追いやられてしまった僕の理性では獣染みた本能には到底敵いそうにない。


 絶体絶命。


 この四文字が脳裏を過ぎる。

 そして事態に輪をかけるように、この絶望的な四文字ですら、下半身から来る甘い痺れによって甘美な物にすら思えてしまうのだ。


 もういいじゃ無いか。


 そんな考えが甘く僕を誘惑する。

 だけど……。

 僕は彼女達を裏切る訳にはいかない。


 僕はみすずちゃんの両手首を掴んで密着する僕から引き離した。


「やっぱり駄目だよみすずちゃん!」

「なんで……」

「僕は二人を裏切る訳にはいかないんだ」

「じゃあ、大声出すよ?」


 ぐっ、だが仕方ない。

 致してしまうよりはいくらかマシだ。


「好きにすれば良い」

「本当に?」

「ああ、大声出したければ出せば良いよ」


 僕の顔を見て、みすずちゃんは僕が本気だってわかったのだろう。

 何故だか一瞬とても悲しそうな顔をしたけれど、直ぐにキッと覚悟を決めたような表情で頷いた。


「……わかった」


 みすずちゃんは、大きく息を吸い込んで、そして。


「きゃ……」

「みすずちゃ~ん、入るよー!」

「あぁぁ、ああ?」


 その声を聞いて、驚いたみすずちゃんは大声を出し損なって変な声を出した。

 するとガチャリと音がして、部屋の扉が開いた。

 中に入ってきたのはよりちゃん。


「ああー! やっぱりここに居たんだ翔ちゃん。酷いよー探したんだからね!」


 こちらを指差してプンスカ、といった具合に形だけで余り本気で怒った様子では無いよりちゃん。


 僕とみすずちゃんはいきなりの彼女の登場に固まってしまった。


 あれ? 何で? というか鍵掛かって無かったっけ?

 というかさっき諦めたんじゃないの?


 その思いはみすずちゃんも同じはずだろう。だが、みすずちゃんは僕よりも早く我に返り行動を起こした。


「あーん! お姉ちゃん。翔太さん酷いよー!」

「あっ!」


 そんな白々しい台詞を吐きながらよりちゃんに抱きつくみすずちゃん。

 その行動に軽く驚いた様子のよりちゃんであったが、危なげなくみすずちゃんを受け止めて、ギュッと抱きしめた。


「ち、違う! 誤解だよっ!」


 僕は未だ現状に追いついていない頭をどうにか働かせて否定する。

 しかしこの格好。ズボンが脱げて、そしてギンギンだ。

 違うとは言ったものの、どう違うのかと問われると答えようが無い。


「翔、ちゃん……」


 よりちゃんはみすずちゃんの言葉を受けると同時に僕の格好に気が付いて目を丸くして僕を凝視した。


「えっ、何が違うの?」


 そう言ったのは、スーパーのレジ袋を携えて、クッキーらしきものを食べながら、よりちゃんの後ろからペタペタと足音をさせて現れたリリィだった。


「あ、何だ。翔ちゃんさんこんなとこにいたんですか」

「あらあらどうしたのみすず」

「おや、翔太君見つかったのかい?」


 リリィだけでなく、全員が集まっていた。


 終わった。


 僕はそう悟った。


「え? 何々? どうしたの、何かあったの? ……って翔太、あんた何その格好。それにみすずちゃん、だっけ? 何泣いてんのよ」

「わ、私……翔、太さんに犯、されそうになったのぉ……」


 グスグスと泣くみすずちゃん。

 くそっ! その泣きまねリリィ並みだよ。


「へえ……」


 リリィはしゃくり上げながらよりちゃんに抱きつくみすずちゃんを一瞥して、ペタペタと僕の前までやってきた。

 冷めた様に半分だけ開かれた瞳、動かない表情。

 怒るでも驚くでも無いリリィ。様子が何だか変だ。

 もしかしたら余りの事態に驚き過ぎてこうなってしまったのかも。


「あのね、翔太……」


 そうして僕の前まで来たものの、何かを口ごもるリリィ。


 いや、何か、だなんてわかってる。僕に三行半を突きつけるつもりだな。

 でも僕は嫌だ!


「リリィっ! 違うんだ。信じてくれっ!」


 こんな状態でとてもじゃないけど無理だってわかってる。

 だけど、僕にはこう言わざるを得ないんだ。


「ああ、うん、わかった。でね、翔太……どう?」


 わかってはいたが、やはり信じてくれていない様子のリリィ。

 しかも余程ショックだったのか、少し足が震えている。


「本当なんだよ。お願いだリリィ! 僕を信じてよ。僕は何もしていないんだ!」

「う、うん……それはもうわかったから。それより、どう?」

「だからリリィ本当に……うん? どう?」


 どう?

 何が、どう? なんだ。


「うん、どう……かな?」

「どうって、何が?」


 僕は訳がわからずそう言うと、リリィはビクンと体を震わせて俯いた。その彼女の顔がみるみる赤く染まっていく。


「リリィちゃん、どう、だけじゃわかんないよ。頑張って!」


 よりちゃんの声援らしきもの。

 抱かれているみすずちゃんが泣く演技も忘れて、顔を上げて、はぁ? って顔になった。

 僕も彼女達の言ってる意味がわからなくて、頭の中はクエスチョンマークで一杯だ。


「うん……あのね、翔太……」


 リリィは手に持っていたクッキーとレジ袋を床に置いた。

 レジ袋から見えたのは、リリィの大好物である国民的な高級お菓子の本格的チョコチップクッキー「くにのおっかさん」であった。きっとよりちゃんの母さんにでも貰ったのであろう。


「えと」


 リリィは可愛らしく足をちょこちょこと動かしてゆっくりその場で一回りしてみせた。


 その様子がとても愛らしい。


「どう?」


 そして今度は期待に満ちた、キラキラとした瞳でそう聞く。

 しかし、何がどう、なのだ。さっぱりわからない。

 なので僕は率直に感じた感想を述べた。


「うーんと、その……可愛い、かな?」


 すると、リリィを始めとした皆がピタリと止まったのがわかった。

 あ、やっぱり違ったか。と思った矢先。


「ほ、本当!? 可愛い? この服可愛い?」


 リリィがパァッと花咲く様に笑顔になった。


 服?


「じゃあ、じゃあ! もっかい、もっかい見せるわ!」


 今度はさっきみたいに硬い感じじゃなくて、ふわりと舞うように回った。


 綺麗だ。そして可憐だ。


 率直そう思った。

 僕は現状も忘れてリリィに見入る。

 そこでふと思い出した。


 あ、そうか、そういやよりちゃんのお下がり貰うんだったっけ。

 サイズ合うのあったんだ。


 リリィの着るその服は、黒のレースのワンピースだった。


 よりちゃんは黒よりピンクや白派だったらしく、この服を着ている所見た事無かったから殆ど新品みたいなもんだろう。それにリリィはこれでも黒とか大人っぽいのが好きだって話だから丁度良かったのだろう。

 でもまあ、大人っぽいと言っても子供服なんだけれども……。


 しかし、リリィが何で様子が変だったか漸くわかったよ。

 初めて着る洋服を僕に見せて感想が聞きたかったんだね。

 緊張しやすい彼女の事だ。足が震えていたのも頷ける。


 ふとよりちゃん達を見てみると、皆が皆して良かった良かったとでも言う風にニコニコと頷いている。

 みすずちゃん以外は。


「どう? 可愛い? この服似合ってる?」

「ああ、うん。似合ってるよ、それに服もだけどリリィもとっても可愛いよ……って、そんなの当たり前じゃないか、リリィが可愛く無いなんてあり得ないよ。馬鹿だな、それで硬くなってたの?」

「うっ……だって。こんな大人っぽいの着るの初めてだし……」


 子供服だけれども。


「リリィは何着ても似合うよ、保障するよ」

「ほんと?」

「うん、僕が嘘吐いた事ある?」

「無い!」


 そう断言したリリィは一段と嬉しそうに、そのひまわりみたいな笑顔で僕に抱きついた。

 僕も何だか嬉しくなってそのまま彼女を抱き上げてお姫様抱っこをした。

 

「重くない?」

「重い訳無いよ。それにリリィだって上手に抱っこされてるしね」

「あはは、何それ。抱っこされるのに上手とかあんの?」

「あー、どうかな?」

「もう、何言ってんのよ翔太ぁ~」


 そんなやり取りで笑い合う僕達に、きっと仲間外れみたいに感じて寂しくなったのだろう。よりちゃんがいつの間にか傍に来ていた。

 そして僕の服をクイクイと引っ張った。


「ね、次私、ね? いいでしょ?」

「次って抱っこ?」

「うん! そうだよ。良いでしょ?」

「ああ、うん。僕はいいけど……」


 ちらとリリィを見ると、やはり不満そうだ。


「てかあんた重いから翔太には無理じゃね?」

「なっ!? 何言ってるの、重くないよ! ね? 翔太ちゃん、ね?」


 でも僕はよりちゃんにだってしてあげたい。


「そうだよリリィ、絶対出来るよ」

「翔ちゃん……」


 よりちゃんがパァッと、花開いた様な笑顔を浮かべてくれた。

 眩しすぎるよりちゃんの笑顔。

 リリィが小さなひまわりなら、よりちゃんは睡蓮の大輪だ。

 僕はこの笑顔の為なら何だって出来そうだ。


 ちょっと不満そうなリリィをゆっくり降ろして、万一よりちゃんを落としても平気な様に、皆に背を向けてベッドの上でお姫様抱っこする事にした。とはいえ、失敗するつもり等更々無いが。

 僕は屈んでよりちゃんの背中と膝の裏に腕を回した。

 するとよりちゃんも僕の首に腕を回した。これで準備完了だ。


「お兄ちゃん、頑張れ!」

「頑張って翔太ちゃん」

「おお! 出来るかな?」

「翔ちゃん」


 みすずちゃんは呆れるを通り越して呆然としていたので応援は無かった。それにリリィは不貞腐れて、足元に置いてあった郷のおっかさんを取ってベッドに腰掛け、またモシャモシャと食べ始めた。

 その二人の応援は無かったけど、祐一君におじさんおばさんの声援を背に受けて、そしてよりちゃんの応援を受け、だが僕はそれらに答えなかった。答えるならばそれは結果によってだ、と思ったからだ。


 皆が応援してくれる。

 ここは僕の男のみせ所だ。


「よし! いっくぞー!」


 僕は勢いを付けてよりちゃんを持ち上げた。

 すると大きな歓声が上がった。


 やった!

 僕は成し遂げたぞ!

 何だ、よりちゃんって全然重く無いじゃないか。って当たり前か、だってよりちゃんどう考えても僕の半分も体重ないだろうしね。

 

「ちょっと待て!」


 喜びを分かち合う僕達に、だけど鋭い一声が掛かった。


「みすずちゃん、何? 何なの? もしかしてみすずちゃんもして欲しいの?」


 よりちゃんが水を指したその声に、不快を隠そうともせずに言った。

 そう、声の主はいつのまにやら我に返ったみすずちゃんだった。


「え? そうなの? だったら……」


 別段僕は構わない、それに彼女はも一つ軽そうだし、全然平気だろう。


「違うわ! てか馬鹿かお前ら!? ていうかお姉ちゃん!? 私の話聞いてた?」

「みすずちゃんの話? って……ああ、翔ちゃんに犯されたって言ってたっけ? で?」


 尚も不愉快そうなよりちゃん。


「ああ、あれね」


 そしてリリィが興味無さそうに、郷のおっかさんを頬張りながら言った。


「あっ……」


 だけどそんな二人とは対照的に、僕は顔から血の気が引くのを感じていた。


 そうだ、忘れていた。

 そうだった。僕はみすずちゃんに嵌められて……。


 急速に事態を思い出した僕は、力が抜けて、よりちゃんをベッドに落としてしまう。


「ぎゃふん」


 ドン、という音と共によりちゃんの驚いた声があがった。

 ぎゃふんてよりちゃん……。


 だが、幸いよりちゃんは何とも無かったみたいで、うーと唸りながら身を起こしていた。


「何でそんな能天気な訳? 妹がレイプされ掛かったんだよ!?」

「ちがっ!」


 そうだ。どうして忘れていたんだ。

 それに今僕、パンツ一丁じゃないか。


 気付いた僕は慌ててズボンを上げた。

 すると途中目が合った祐一君が、何故だかとても残念そうな顔をした。


「本当です! 違うんです!」


 そうして行った今更ながらの弁明だったが……。


「あー、もういいから翔太、わかってるって」

「え? そうなの?」

「そうだよー」

「あ、よりちゃん落としてごめんね」

「ううん、いいよー」


 未だ不満げなリリィと、上半身を起こして軽い口調ながら目を鋭くしているよりちゃんは、二人ともみすずちゃんを睨んだ。


「そうか、なら良かった……」


 僕はふっと体の力が抜けるのを感じた。


 良かった。

 二人にさえ信じて貰えれば……。


「ちょっ、なんでよ!? お父さん、お母さん! 後、馬鹿兄貴! 本当よ、信じて!」


 祐一君酷い言われようだな。


「うっせ! 馬鹿はお前だ豚女っ! 翔ちゃんさんがんな事する訳無いだろ、マジ頭悪ぃなお前」


 言うと祐一君はみすずちゃんをでこピンした。


「そうだぞみすず。翔太君に限ってありえんだろう」

「あらあら、みすずったら、もう……」


 呆れ顔のおじさんとおばさん。


「そんな……どうして?」


 信じて貰えない事がショックみたいだ。


「どうしてって、翔ちゃんがそんな事する筈無いし」

「うん、そうそう」

「そういやよりちゃん、どうして僕がこの部屋に居るのがわかったの?」


 僕はちょっと気になって聞いた。


「え、だって、いつものみすずちゃんなら返事しないか滅茶苦茶怒るもん。なのに今日に限って何だか機嫌良かったから、あっこれは翔ちゃん居るなって思ったの」

「そうだったんだ……」


 なるほど、いつものみすずちゃんはちょっと怒りんぼさんなんだね。


「私確かに部屋の鍵掛けた筈なんだけど」


 みすずちゃんも疑問に思っていたのか口を挟んだ。


「それはね、こんな事もあろうかとお父さんに言ってスペアキーを取って来て貰ったの。どうせ言っても入れてくれなかっただろうからね」


 よりちゃん、こんな事もあろうかと、の使い方ちょっと違うよ。

……でも結局、よりちゃんが声を掛けた時点で僕がこの部屋に居るってわかってたんだな。凄いやよりちゃん。


「ところでみすずちゃん、どうして翔ちゃんにこんな事したの? 翔ちゃん困らせてどうする気だったの?」

「それは……」


 下を向いて黙ったみすずちゃん。

 そんな彼女に咎める様な視線が集まる。


 可哀想だけど、こればっかりは庇ってあげられないよ。けどせめて……。


「ごめんねみすずちゃん、本当はみすずちゃんだってこんな事したくなかったよね」

「ん? どゆこと? 悪質な悪戯とかじゃないの?」


 リリィは食べかすをボロボロとベッドに零しながら僕に聞いた。


「違うよ、みすずちゃんはそんな理由でこんな事しないよ」

「へえ、じゃあ何でんな事しようとしたのよ」

「それはつまりね、みすずちゃんはよりちゃんが大好きなんだ」

「ふーん」

「だから僕みたいな奴が大好きなよりちゃんと付き合うってのが許せなかったんだきっと、違う?」


 僕はみすずちゃんに振り返った。すると彼女はぎこちなくも、うんと頷いた。

 その彼女の様子は先ほどとは全然違ってて、もう観念したのだろう。きっといつものみすずちゃん、僕の知る可愛い素直な幼馴染がそこに居た。


「へえ、そうなんだ。すげー姉妹愛ねー」


 リリィは話半分で次の袋を開けた。


 というかリリィ、信じてくれたのは凄く嬉しいけれど、どんだけこの話に興味が無いんだよ。郷のおっかさんに夢中だよこの子。

 けど、これってリリィには殆ど関係無い話だし、それに郷のおっかさんって美味しいよね、柔らかくて、チョコ入ってて、つい食べ過ぎちゃうよね。持ってるレジ袋にはまだまだ一杯入ってるからいくらでも食べて大丈夫だろうね。良かったねリリィ。


「うん、だから僕みたいなのが付き合ってるってだけでも嫌な筈なのに、それがまた二股だなんて……」


 言って、気付いた僕はおじさんとおばさんを恐る恐る見た。

 おじさんとおばさんは困ったような顔をしていたけれど、でもそれは僕に対してでは無く、みすずちゃんに対してみたいだ。


「まあ、そうよね。大好きな姉ちゃんが二股されるとかヤよね。わかるわ~」

「うっ……うん。だから二人が愛想尽かす様に仕向けたんだよね」

「二人?」


 リリィの郷のおっかさんを持つ手がピタリと止まった。

 場の空気も何だかピシリと止まってしまったみたいだ。


 あれ? なんで?


「ねえ……何で二人なの?」


 リリィはゆっくりと食べかけの郷のおっかさんをベッドに置いた。


「え、だって、それはみすずちゃんが僕の事嫌いだから、でしょ? 嫌いだから恋人なんて必要ないよって意味なのかな?」


 僕は自分で言ってて悲しくなってしまい、苦笑いでまたもやみすずちゃんを見た。

 でも今回は何故か顔を強張らせて固まっていた。


 あっ、ちょっと言い方不味かったな。


「あっ、ごめん。そういう意味じゃ無くって、何ていうか……坊主憎けりゃ袈裟までも……じゃなくってええと……認められないとか……そんなだよね?」


 そこまで言って、僕は自分の言葉に変な違和感を覚えた。


 認められないから、嫌いだから、だから僕が不幸になる様に仕向けたのはわかるけど、それにしてはそんな僕を陥れる為の手段が自分を犠牲にし過ぎているような……。

 考えすぎかな。



「へえ……みすずちゃん、翔太の事嫌いなんだ……いいんじゃね? こんな豚みたいな男、しかも二股とかしちゃうし、それに『ぶっ細工』だもんね~、わかるわー」


 リリィはその「ぶっ細工」の部分を強調して言った。

 その言葉を聞いてピクリとみすずちゃんの眉が動いた気がした。


 うう……全て本当の事だから何も言えないよ。

 ごめんねリリィ、こんな僕で。


「けどまあ? 『彼女』である私には当てはまらないけどね」


 先ほどの言葉とは裏腹にリリィは僕をギュッと抱きしめた。


 リリィって、口は悪いけど本当に良い子だよ。


 僕はそんなリリィが嬉しくって、出来るだけ優しく頭を撫でた。


「えへへ~」


 リリィは喜んでくれたみたいで、頭をグリグリと僕に擦り付けた。


 さて、そろそろよりちゃんが便乗してくるかな、なんて思って彼女を振り返ると、しかしよりちゃんはさっきと同じ体勢まま、じっとみすずちゃんを見つめていた。

 僕はその真剣で鋭い眼差しに何事かとみすずちゃんを見ると、彼女は顔をまたもや真っ赤にして下唇を噛み、悔しそうで、無茶苦茶怒ってる表情だった。

 リリィはそんな彼女を見て、頭を擦り付けるのを止めこう言った。


「あんた十年早いわよ。何がしたかったかわかるけど、やり方が雑すぎ。そんなんじゃ全然駄目よ、あんたの姉さん見習いなさい、凄いんだから」


 よりちゃんが? 一体何が? 悪戯の事? よりちゃんが? こんなほわほわしてる良い子が? 無い無い。


「あんたみたいな餓鬼の出る幕じゃ無いの、わかった?」


 えー! 餓鬼って……リリィがそれ言うかな~?


 勿論口には出せない呟きは、時の彼方へと消え去る。


「そうだよみすずちゃん、気持ちはわかるけど絶対駄目だよ。 ……ごめんね」


 申し訳無さそうなよりちゃん。


 そうだよな、可哀想だけれどこればっかりは譲れないもんな、いくら僕の事が嫌いでも、いくらみすずちゃんがよりちゃんを好きだったとしてもね。

 

「ごめんね、本当ごめん、みすずちゃん、ごめんね」


 だから僕はこんな風に、馬鹿みたいに謝るしかないんだ。


 だけど、僕の謝罪を聞いて、みすずちゃんは益々怒ってしまって、ついには泣き出してしまい、そしてそのまま部屋から出て行ってしまった。


「お、おおおぉ……えげつねぇわ、翔太」

「みすずちゃん……ごめんなさい」


 引きつった顔のリリィと何故かもらい泣きしているよりちゃん。

 いや、泣いているのはよりちゃんだけでは無くおじさんとおばさんもであった。

 そして祐一君は、こちらも痛ましそうな顔でいた。





 なんで?





 その後、僕らはリビングで遊戯立方体のスモウッシュギョージーズEXを遊んでいると、ふらりと戻ってきたみすずちゃんが、僕の足の間で郷のおっかさんを食べていたリリィを押しやって代わりに座った。

 当然リリィは怒ったけれど、僕はきっとみすずちゃんが仲直りしたいのだろうと思い堪えて貰った。

 僕はリリィにするようにして、つい彼女の髪を撫でてしまったが、そんな僕をみすずちゃんは怒るで無く、昔と同じ素敵な笑顔で答えてくれた。でも恥ずかしいのだろう、ほんのりと頬を赤くした笑顔はとても魅力的で、やっぱりみすずちゃんは素敵な女の子だって再認識した。

 もしかしたらこれって仲直り出来たって事だろうか、

 だったらいいな。


 けど、リリィは途中何かに気が付いた様な顔をして、彼女を押しのけて僕の足の間に座りなおしてしまったから、もしかしたら駄目だったかも。


 それから、みすずちゃんの部屋で発見されたボロボロになったエクストララージ翔ちゃん君人形を見てすっごく怒ってたよりちゃんだったけど、みすずちゃんの泣き顔を思い出したのか、一時は仕方ないって言ってたのに、その何かに気付いたリリィと同じくしてまた怒ってたのは一体なんだったんだろう。よりちゃんらしくないな。


 けどともかく、皆で楽しく過ごせた良い日曜日だった。


 と、もし僕が日記をつけていればそういう締めくくりにしたかったけど、後日リリィとよりちゃんがみすずちゃんに対して厳しい態度になってしまったのは、やはり僕のせいだろう。


 ごめんね、みすずちゃん。





 くぅ~疲ですくぅ~疲。


 宣言していたより1日遅れました。有言実行出来ない男でございます。


 ところで「くぅ~疲れました~」というコピペなのですが、あれって十中八九ネタですね。座談会であっても登場人物に俺君を登場されるとか、どう考えてもふざけてますしね。

 よしんば本気であったとして別段、いやそれどころか可愛らしいものですよ。作品に対する愛があってよろしいです。

 あれが本当に気持ち悪いと感じたのなら、ラノベの大御所、あかほりさとる先生の後書きでもお読み下さい。私が読んだメイズだかなんだかの後書きのキャラと作者の座談会は、阿呆で馬鹿でそして純粋であった当時の私ですら背筋に薄ら寒い物が走ったくらいでした。まあ、当時は何でなのかそういう座談会が大流行おおはやりしてましたが、洩れなくくっそ寒かったです。お金を払ってオナニー見せられるとかちょっとしたSMですよね。特殊なタイプの変態にはそれで良かったのでしょうが、小学生時分の私には拷問と同義でした。それに比べればくぅ~疲とか二次創作である事を考慮してすらマジハニー(しかも無料)そして拙作も無料。

 しかしまあ、何度も言いますが、くぅ~疲はネタです。恐らく前述したくっそ寒い座談会のパロディでしょう。完成度の高いネタですから何度も読み返して、そしてこの様に使わせて頂いております。くぅ~疲の作者様には感謝しております。


 次回は例外的にみすずちゃんの一人称です。

 番外にしようか、それとも正編にしようか考え中です。

 因みにみすずの名前の由来はエアーでは無く応援団の方です。

 それではよろしくどうぞ。

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