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第21話 翔ちゃんのジャージ……(*´д`*)ハァハァ

相川翔太 その9


改稿、或いは校正、構成の変更を大して行わずにここまで来ておりますが、誤字脱字は少しずつ修正しております。



 二人には取り合えずお風呂に入って貰った。


 その間に僕は部屋の掃除をし、匂い消しスプレーを部屋にふりかけた。これで匂いが落ちてくれるといいんだけど......。


 お風呂から出てきた二人には、汚れた制服なんかは着せられ無いので、母さんに言ってよりちゃんには僕の中学時代のジャージを、リリィには母さんの服を来て貰う事にした。よりちゃんも母さんの服の方がいいんだろうけど、よりちゃんって体が母さんよりと大分大きいからちょっと無理。そしてしきりにジャージの匂いを嗅ぐよりちゃん。


 ごめんね。僕のジャージなんかで......。でも普段は母さんが着てるから変な匂いはしないと思うよ。


 その事を伝えると、途端にジャージに興味が無くなった様に匂いを嗅ぐ事は無くなったから良かったんだろうけど......心なしか残念そうに見えたのは、どうしてなのかわからない。


 それにリリィには母さんの服は大きすぎるみたいでダボダボだけど、我が家にこれ以上小さな服は無いからそれで我慢して貰うしかない。

 お風呂でさっぱりしたからか、二人とも随分落ち着いたみたいだけど、何故だかお互いを睨み合っていた。


……ただ、目線は顔ではなく体だったのが物凄く印象的だったけど......なんで?


 それはともかく、二人にはリビングのソファーに座ってもらった。これから話をしないといけないからだ。


――それは



「悪いけど、二人とは、リリィともよりちゃんとも付き合え無いよ。」


 これが僕の伝えたい事。


「翔ちゃん......? どう......いう意味?」


「さっき私の事好きっていったじゃないっ! あれは嘘だっていうのっ!?」


 開口一番の僕の言葉に、呆然と表情の固まったよりちゃんに涙目で怒るリリィ。


 よりちゃんはどうだかわからないけど、リリィの怒る気持ちは当然だ。

 だって、さっき僕はリリィの事好きだって言ったばかりだ、その舌の根も乾かない内にこんな事いうのんだもん。当然怒るよね。


 でもこれは僕の偽らざる本心だ。

 勿論、僕は二人とも大好きだ。女の子として、異性として大好きなんだ。

 よりちゃんは可愛い幼馴染で、僕の初恋の人だけど、学校で人気者の優しくてとっても美人な子。

 リリィは、口は悪いけど、それでもいつも僕に優しくて心配してくれて構ってくれる可愛い子、そしてやっと両思いになれた女の子。


 とっても魅力的な二人の女の子。

 でも付き合えない。

 どちらかを選べなんてそんな事僕には出来ないし、そもそもそんな資格も無い。



「よりちゃん。」


 二人にはその理由を伝えなくちゃいけない。

 でもその前に、僕はどうしてもよりちゃんに聞きたい事がある。


 僕の真剣な表情に察してくれたのか、色々言いたそうなリリィは「ぐっ」と押し黙った。


「はいっ!」


 姿勢を正しこちらに向き直るよりちゃん。

 また悲しそうに「笑ってる」


「どうして......今日、突然こんな事したの?」


 僕が一番聞きたかった事だ。


「とつ......ぜん?」


「そう、突然。だって今までこんな事おくびにも出さなかったじゃないか。だから急に今朝あんな事されて......正直驚いてるし......。そもそも僕達、仲が悪かったじゃない? それで昨日、やっと仲直り出来たばかりだと思っていたんだけど......。」


「仲が悪い? 翔ちゃんと? 誰が?」


「僕とよりちゃん。」


「私と翔......ちゃん?」


「うん、そう。」


「え? どういう意味? ……ごめんなさい。私馬鹿だから翔ちゃんの言ってる意味がわからないよ。ごめんね翔ちゃん、怒らないでね。……だからつまり翔ちゃんは私の事ずっと嫌いだったって事? 仲が悪いってそういう意味?……でも昨日、翔ちゃんは私の事嫌いじゃ無くなったんでしょ? それともまだ私の事怒ってるの? ……ごめんなさい。本当にごめんなさい。……だから、そんな事言わないで......お願い......。」


 そう言って瞳に涙を滲ませるよりちゃん。何だか僕、物凄く悪い事してるみたいだ。


「いや、あの、そういうんじゃなくて......ほら、学校でも全然話さないし、それによりちゃん......僕と目が合っても無視......するでしょ? ……いや、あの、だから別にそれはいいんだけどさ。.だからつまり、それで......よりちゃんは僕の事嫌いだって......。」


「そんなわけないよっ! そんなのありえないよっ!」


 かぶりを振って大声を出すよりちゃん。

 その声に、隣に座っていたリリィが驚きビクッと震えた。


 無視......では無かったって事かな? でもなんで目を合わせてくれ無かったんだろう?


「よりちゃん、あんまり大声は......。」


「あ......つい。ごめんなさい。でも......私は翔ちゃんの事大好きだよ。だから私が翔ちゃんの事嫌いになるわけないよ。昨日も言ったでしょ、ありえないよ。」


 よりちゃんはまた姿勢を正し、覚悟を決めた様な神妙な表情で目を瞑り、大きく深呼吸をしてから僕の方を見つめた。いつに無く真剣な表情だけど、顔が赤い。


「さっき翔ちゃん、私が翔ちゃんの事無視したって言ったよね。」


 黙って頷く僕。


「それはね。翔ちゃん怒るのわかるけど、でも、全然違うよ。そんなつもりじゃ無かったんだよ。だって......翔ちゃんと目が合うと......その......恥ずかしいんだもん。」


「恥ずかしい?」


 これは僕じゃなくてリリィだ。

 さっきまで普通に座って黙ってたけど、今は頬杖をついてちょっと不遜な感じでよりちゃんに聞いている。


「うん......だってぇ~。本当に好きな人と目が合うと恥ずかしいでしょ~? 乙女なんだもん当然だよ~。」


 手を口元に持っていき、指を組んでいやんいやんと身をよじらせるよりちゃん。


「けっ!」


 横目でよりちゃんの様子を見ていたリリィは、やさぐれた顔で言った。


 リリィ......「けっ」って......。何だか三文芝居の小悪党の台詞みたいだよ......。


「何が恥ずかしいのよっ! カマトトぶってんじゃねぇよ! 乙女? 嘘にしても酷くね? ……さっきだって校門の所で、あんた『何』想像してた? 『食べちゃいたい』とか言ってヨガッ」


「わぁー!!」


 大声を出して話をさえぎり、慌てて手でリリィの口を塞ぐよりちゃん


「食べちゃいたい? 『ヨガッ』って何?」


 フレイム? いや、違うか。……でも何だろう?


「何でも無いよっ! やだなぁリリィちゃん『食べちゃいたい』だなんてっ! お腹空いたの~?」


 リリィは口を塞がれて「もがもが」言ってたけど、暫くして諦めて大人しくなった。よりちゃんはリリィが黙ったのを確認してから口から手を離した。


「お腹空いたのリリィ? 何か食べる?」


 良く事情が飲み込めない僕はリリィにそう聞いた。

 リリィはそんな僕に呆れた風だったけど、暫く半目で僕を見て「はあ」とため息を吐いた後「じゃあヨッポド一番」って言った。

……なんだろう、含みがある感じだな。気になっちゃうよ。……でも、やっぱりお腹が空いてたのか。

……ていうか、ヨッポド一番食べるの!? さっきあれだけ「やっちゃった」のに!?

 まあ、いいか......。

 リリィには「じゃあ後でね」と言っておいた。


 話が逸れたんで、ここで話を戻す事にする。


「じゃあ、よりちゃんは恥ずかしいから僕と目を合わさなかったの?」


「うん。だって翔ちゃん格好良いんだもんっ。そんなに格好良い翔ちゃん見てたら私......恥ずかしくなっちゃって......いつも顔が赤くなるから......それで目を合わせられないの......。」


 言いながら顔を真っ赤なリンゴみたいにさせたよりちゃん。


「格好良い? 僕が? ……そんな事言われた事無いよ。」


 そりゃあ無いよね。だってどう考えたって僕が格好良いなんて事ありえないから。

 でもそんな風に言われて悪い気なんてしないから、思わずにやけちゃう。

 そんな僕を赤い顔で、でも幸せそうに微笑みながら見てるよりちゃん。


「翔太、顔がにやけてる。キモい。」


 リリィが突っ込む。

 だよね、キモいよね。

 わかってるけどさ。


「キモいとか酷い事言わないでっ!」


「あんたさぁ。前から思ってたんだけど、目、おかしいんじゃない? 翔太が格好良い訳無いでしょ?」


 よりちゃんの大声にリリィが噛み付く。


……そう、だよね。リリィの言う通りだ。僕が格好良い訳無いよ。


「うるさいっ! 翔ちゃんは私の王子様なんだからっ! 格好良く無い訳無いんだからっ! 翔ちゃんは世界一格好良いんだからね!」


 物凄い理屈だ。

 いや本当。王子様なんだから格好良い、の理屈は無茶苦茶だし、世界一はいくらなんでも無いよ。


 そうだよね、リリィ?


「まあ、それはそうだけど......。」


 えええぇ!? リリィッ!? そこは同意しちゃうの!? ていうか、さっきと言ってる事違うよね!?


「でもさ。北澤先輩とかに比べて、顔が悪いのは確かでしょ? 体だってこんなに太ってるし……あ、翔太、違うよ。私は全然好きだよ? 嘘じゃ無いよっ! ……ほらっ、私達結婚するしね? 愛してるし!」


 リリィの愛が相変わらず重い。それにあんまりフォローになって無い気がする。


「ドサクサに紛れて何言ってるの!? 勝手に縁談進めてるんじゃねぇよ! それに北澤!? お前馬鹿だろ!?」


 よりちゃんも、何だかんだ言って結構口が悪いな......。

 それに前から気になってたんだけど基本的に先輩の事「北澤」って呼び捨てだな。二人が親しいからだと思ってたけど......何だか違うっぽい。


「馬鹿って何よっ! 大体、北澤先輩は格好良いでしょ!?」


 それはそうだ。


「はあ~? お前マジで、そっちの方が目がおかしいんじゃないの? そもそも翔ちゃんと生ゴミ一緒にしないでよっ!」


 え?


「生ゴミ?」


「うんっ! そうだよ翔ちゃん。」


 さっきまで口角泡を飛ばしていたのに、急にニコリと僕に笑いかけるよりちゃん。

 その急な態度の変化よりも、気になる事をいうよりちゃん。

 何故だか背筋がヒヤリとする。


「まあ、でもリリィちゃんの言う事もわからないでは無いかも。確かに北澤ってゴミの中じゃ良い方だし。生ゴミくらいだよね? この間身の程しらずにも、私に告白して来た奴は粗大ゴミだったけど、ああ、でもその前のは、雰囲気がどこと無く翔ちゃんに似てたから、全然だったけど、でも可燃ゴミくらいはあったかな?」


「より......ちゃん? 何を言って......るの?」


「何って? ゴミの話......あ、男の子の話だよ。ま、どっちでもいいけどね。だって翔ちゃん以外の男はゴミだもんね。私の事イジメる奴らなんて、皆役立たずのゴミだよ。」


「苛める?」


 リリィはわからないって顔をしてる。当たり前だ、わかるわけない。

 よりちゃんが昔イジメられてた何て知らないんだから。


……でも、よりちゃん。

 やっぱり昔の事を克服したんじゃ無かったんだね。


――あの時よりちゃんの事をイジメてたのは皆男の子だった......。だからよりちゃんは男の子に嫌悪感を持って今まで生きていたんだ。だから男の子の事をゴミだなんて言って、きっとそのトラウマから逃げようとしているんだね。

 よりちゃん、僕今まで、気付いてあげられなかったよ。

 ごめんね。


――でも、だからこそ。


「よりちゃん。男の人の事をゴミとか言っちゃ駄目だよ。」


「だって~。」


「だってじゃないでしょ。それに今はイジメられないでしょ? だからそんな事言っちゃ駄目だよ。」


「でも~。」


「でもも無い。あ、それとももしかして僕の言う事聞けないの? え~嘘だ~、僕の可愛いよりちゃんがそんなに聞き分け無いの~? そんなよりちゃん嫌いだなぁ~。」


 うわー。これは酷い。

 今までに無いくらい酷い台詞だ。どんな奴だよ。

 案の定リリィも白い目で見ている。ああ、あの目は「キモい」って思ってるな。仕方ないけどね。


「はぅ~、はぅ~。うぅ~。わかった、から。もう、言わない、から。だから許して......。」


 でもやっぱり、こういう言い方はよりちゃんには効果抜群だ。


……けど……何でかは知らないけど。

 でもよりちゃんは手を太ももに挟んでモジモジしてるし、いつも通りだ。きっとわかってくれただろう。


 そんな僕らのやり取りを、やはり白い目で見るリリィ。

 白ける空気。そして......。


「ねぇ?」


 リリィが痺れを切らしたと言わんばかりに、苛立った声を出す。


「そんな事はこの際どうでもいいのよ。それよりも翔太。さっきの二人とは付き合えないってどういう意味?」


――今まで我慢してくれてたけど、そろそろ限界みたいだ。






 もし今話がつまらなく感じたなら、本作のタイトルをググってみて下さい。(セーフサーチオフで)

 一番最初に出てきた「僕にべたぼれな彼女はおしゃぶりしてと言えばまだ玄関のドアが完全に閉じきっていなくてもギンギンの僕の(中略)を咥えてくれる」というドキュメンタリー映画を見る事をオススメします。

 値段も2346円とお手頃価格。是非いかがでしょうか?


 うん? 私ですか?

……ごめんなさい。

 今月はDLサイトで1万円以上使ってしまったので、今月は無理です。

……ベタ惚れを勉強する為には観なければと思ってはいるのですが……。

 なのでご了承下さいますよう、お願い申し上げます。

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