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れんげばたけ

作者: 瑛彪・玄彪




私は人を殺しました



大切な大切な人でした











あなたに出会うまではひとりきり













乾いた大地にひとりきり














月日が昇り降りするのを眺めてた





そんな私の隣に腰掛けて





月日が昇り降りするのを眺めてた





あなたもやっぱりひとりきり


















乾いた大地にふたりきり















私はいつも見ているだけ











その人が微笑んでも



    語りかけても



    手をさしのべても













    ムシの息になっても













ただ 見ているだけ















そう




見ているだけでした












 




その人が冷たくなって やっと




わかりました









    私に微笑んでくれた あの優しい目


    私に語りかけていた 愛らしい唇


    私に差し出してくれた きれいな手










それらが いかに私を欲していたか













しかし


もはや その想いへ 答えることは叶わない














もう  私を見てくれない


    話しかけてくれない


    動かない









そうなって やっと わかりました












あの人のすべてが どれほど私の支えになっていたか
















やっと・・・









ただ私の顔にあった 開かずの切れ目から


初めてその人を求める声が出ました



外をうつすだけの ふたつの鏡から


初めて涙が流れました













熱い雨は ながい間降り続きました















気がつけば








一輪の花が咲いていました 












私とその人が座っていた場所に






私とその人の間に 









ひっそりと咲いていました























いつからそこに咲いていたの


いつつぼみをつけたの


いつ芽が出たの














もしかして この人が生きてる頃に咲いていたの












 




私はその人の身体を そっと地に横たえて




その胸に一輪の花をおきました




せめて 花を






気づかなかった



気づこうとしなかった あなたの愛に











花は実を結び


種をこぼし


それが芽を出し


また花が咲き・・・












瞬く間に 一面が花でおおわれました

















 


この広い世界にひとりきり


月日はあの頃と変わらず昇り降り














地平線 はるか遠くまで


見渡す限りの 蓮華色





















この花はあの人ではない


なのに、それなのに


























花はそよそよそよと語りかけ



手を さしのべてくるのでした










































  そよそよそよと 永遠に













そよ という言葉は しばしば



「そうだ」



という意味にかけてつかわれます。




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― 新着の感想 ―
[一言] どうしてこんな結末になってしまったのか と思うと悲しく 喪失したことで知る感情はあって 手に入らなくなったからこそ 余計に悔いる ただ儚いとも、ただ切ないとも異なる 心に楔となる感情 …
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