表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君とボクの二度目の冒険 〜転生した少年と幼馴染の勇者が、魔王の孤独を救うまで〜  作者: 屠龍
第四章 頼れる先輩

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/76

第二十八話 命を守る鋼――初心者たちの武具選び――

 第二十八話 命を守る鋼――初心者たちの武具選び――


 野外活動用品店を出た僕たちは、そのままシグレさんの馴染みだという武具屋へ向かった。

 鍛冶屋と併設されているらしく、店に近づく前から金槌の音が響いてくる。

 煙突からはもうもうと煙が上がり、石炭や薪を燃やしているようだった。


 「いらっしゃいませ~。ガルム武具店へようこそ」


 そう言って迎えてくれたのは、赤毛で頬にそばかすのある、小柄な人間の女の子だった。

 エプロン姿で、まだ発育途上らしい幼さが残っている。色気はないけれど元気そうで可愛い子だ。将来はきっと美人になると思う。

 武具屋といえばドワーフを想像していたので、少し意外だった。


 「やあレティシア。今日はこの子達用の武具を見繕ってもらいたい」


 「わかりました。どうぞどうぞ、中に入ってください」


 そう言ってレティシアちゃんに案内されて店内へ入る。

 金属鎧は油で磨かれていてぴかぴかだし、皮鎧も質がよさそうだった。

 剣や斧も新品から中古品までそろっているが、どれも修復済みで刃こぼれ一つない。

 店内の掃除も行き届いていて、床には埃ひとつ無かった。

 僕たちは土の道を歩いてきたばかりなので、入るのが申し訳なく思えるくらい清潔な店だった。


 「僕はユキナ。主に剣を使うけど、斧やナイフも使えるよ」


 「ボクはミレーヌ。ボクはレイピアやショートソードね♪」


 僕とミレーヌが自己紹介すると、レティシアちゃんもにぱっと笑顔を見せた。


 「レティシアですっ。この店で働いています」


 そう言ってまず案内されたのは鎧のコーナーだった。

 武器が先だと思っていたので、少し意外だった。


 「冒険者の格言で、『持っているお金の中で買える最高の鎧を』っていうのがあるんです。ですから当店では先に防具をおすすめします」


 ずらりと並んだ防具はどれも綺麗に手入れされていて見た目も格好いい。

 ただ、値段を見るとかなり高い物と安い物にはっきり分かれていた。


 「僕はプレートメイルが欲しいんだけど」


 「わかりました。ご予算に余裕があれば、魔法付与された品がおすすめです」


 そう言って案内された魔法付与防具のコーナーは、見た目からして違っていた。

 軽くて丈夫で、ある程度の魔法防御も備えているらしい。


 でも、高い。


 僕がこの間貰った報酬で買えるのは、せいぜいブレストプレートメイルが限度だろう。

 ブレストプレートメイルは下にチェインメイルという鎖帷子を着て、胸と腹を鉄板の鎧で防御するものだ。比較的軽くて人気があるが、手足の防御に不安がある。

 プレートメイルはさらに防御力が高いが、その分重い。

 全身を鉄の鎧で覆い、下にチェインメイルを着るので剣にはほとんど負けないが、槍で可動部を狙われると弱い。

 さらにその上のプレートアーマーになると可動部まで金属で覆う全身鎧で、槍にも強い代わりに重くて自由が利かない。


 もちろん理想はプレートアーマーだろう。

 でも、今の僕が着たら歩くのも辛そうだ。


 「ユキナ。君はまだ体力がないから、可能な限り軽くて丈夫なブレストプレートメイルがいいと思う」


 シグレさんの助言はもっともだった。

 まだ旅慣れておらず成長期でもある僕には、プレートメイルは重すぎる。

 チェインメイルは鉄の鎖で作られているから比較的軽いし、その上からブレストプレートを付ければ胸や腹の防御も高い。

 でも、防御力を考えるとやっぱり悩む。


 「これなど良いのではないか?」


 そう言ってシグレさんが指さしたのは、銀色に輝くかなり高級そうなブレストプレートメイルだった。

 ちょっと手が出ない。


 「防具は自分の命と同じだからな。良い物を買わないと、あっさり死ぬぞ」


 それはわかる。

 でも、お金がない。

 シグレさんみたいに余裕がある人なら悩まないのだろうけど。


 「その様子だと金が足りないようだな。今回の依頼から差し引きでよければ、私が貸そうか?」


 「でもそれは申し訳ないですし」


 「四人で生き残れば、夜の見張りも楽だし荷物も軽く済む。つまり私たち全員が生き残る可能性が高くなる。これは私の為でもあるから遠慮するな」


 なるほど。

 四人なら見張りの時間も四等分だけど、三人になると一気にきつくなる。

 そう言われれば納得できるので、ありがたく借りる事にした。


 「それではこちらは如何でしょう。軽くて丈夫で魔法抵抗も高い逸品ですよ」


 そう言ってレティシアちゃんが勧めてくれたのは、宝石みたいに青と銀に光るブレストプレートメイルだった。

 値段は通常のブレストプレートメイルの四倍。

 でも、これならかなり安心できる気がした。


 「それではこれを下さい。あと盾も」


 「かしこまりました。後で採寸をしてお渡ししますね」


 「盾も小さいほうが扱いやすいな。これなどどうだ?」


 そう言われて見ると、シグレさんがすすめてくれたのは丸い形をした鉄製のラウンドシールドだった。

 これも高いが、折角だからこれにしよう。

 その後ヘルメットも買うことになり、初心者としてはかなり贅沢な装備になってしまった。


 同じようにミレーヌも、シグレさんに勧められた防具を買うことになる。

 僕とミレーヌは、早速借金生活の第一歩を踏み出してしまった。


 「武器は剣でもロングソードとショートソードの二本を買っておいた方がいい。切れ味より頑丈なのを勧める。魔法付与の品なら、魔法以外で傷つかないモンスターにも有効だ。何より軽い。体力が付いていないユキナにはぴったりだと思うが」


 「僕はロングソードだけでいいと思うのですけど」


 「洞窟内で振るうには小さいほうがいいぞ。剣が壁につかえて振るえないのでは論外だからな。最悪、先ほど買った手斧で代用する事になるが、それは嫌だろう?」


 確かに、あくまで生活の実用品として買った手斧で戦うのは嫌だ。

 こちらも魔法付与の品を購入することになった。

 ……当分、借金生活が続きそうだ。


 「ミレーヌはエストック以外も扱えるだろう? ショートソードとナイフを買っておくといい」


 確かにエストックは強い武器だけど、折れたら大変だ。

 ミレーヌはスピードタイプなので盾は買わず、その分を武器に回した。


 うん。

 僕達は当分、シグレさんに頭が上がらないなと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ