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井戸端会議

掲載日:2026/04/04

短編です

 最近、ニュースはある話題で持ちきりだ。

テレビをつけると、どの局も「「ついに!○○県にも!」」という見出しで、最近世間を騒がせている“怪盗”に関するニュースが流れている。

 数年前からニュースに上がるようになった、その怪盗は、各県の県立・都立・府立の美術館に忍び込んで、絵画を盗んでいく。しかしその盗まれた絵画は、次に盗みに入った美術館で盗んだ絵と交換して置いていく、という奇妙な怪盗だ。絵を盗むことが目的ではなく、愉快犯的な思想を持った人間ではないかと、コメンテーターが鼻を膨らませている。そのニュースも、次でようやく47都道府県目になるのだから、鼻が膨らむのもうなづける。

今流れているニュースは、46都道府県目の美術館のニュースで、45件目に入った美術館の目玉である、“奇抜な色を使うことで有名な画家”が描いた絵が置かれ、46件目に入られた美術館からは、海の描かれた風景画が盗まれたらしい。

 盗まれる絵には統一性がなく、予告状が次に届く美術館もはっきりしていなかったことから、警察も手を焼いていたのだけれど、今回は最後の美術館が決まっている。テレビの中で担当している警察官が、「最後に現れる美術館がはっきりしていることから、配備には力を入れている。次こそ捕まえる」と意気込んでいる映像が流れた。

 俺はテレビを消して、コンビニに向かうため、財布と家の鍵を持って家を出た。

俺のアパートの前で、近所のおばちゃんたちが井戸端会議をしていた。

「あら、こんな時間にお出かけ?」

「はい~、ちょっとコンビニに行こうかと」

「そう言えば、ニュース見た?怪盗の!」

「あぁ、見ました。警察も結構気合入ってましたねぇ」

「そうなのよぉ、旦那もずっと引っ張り出されちゃってて、帰ってこないもんだから、夕飯作るのが楽で」

「ははは」

 近所のおばちゃんに捕まると話が長くて大変なんだけど、まぁいいや。今日は何の予定もないし。

「そう言えば、最後の美術館、もう予告状が届いたらしいわよ」

「えぇ、ソレ言っちゃっていいんですか?」

「あら、そうだった。他の人には内緒よぉ!」

 おばちゃんの口は相変わらず軽い。旦那さんが警察官だから、情報が早く入ってくるんだろうけど、こないだは警察の配備に関する情報を漏らして怒られてたじゃないか。このおばちゃん、懲りないなぁ。

「今回は警察も秘策があるらしいわよぉ?あら、これも言っちゃだめね。と言っても、もう旦那からはあんまり教えてもらえてないんだけど」

「前回の時、めっちゃ怒られてましたもんねぇ」

「そうなのよ、旦那も大変そうだから、私も力になれればと思ったんだけどねぇ」

「警察の皆さん出ずっぱりでしたもんねぇ」

「旦那が言うには、怪盗は30代前後の男じゃないかって話なんだけど、アタシはもうちょっと若いと思うのよねぇ。それこそ二十歳そこそこ?に見えたのよぉ。テレビに映った感じを見ると、もう少し、こう肌に艶があるというか・・・でも旦那は素人の意見だからって聞き入れてくれないのよぉ」

「警察の方々はプロですもんね」

「早く捕まって、年齢はっきりしないかしらぁ」

 そのあとは、おばちゃん家の夕飯が肉じゃがになる話とか、最近運動のためにジムに通い始めたんだとか、そんな他愛もない話をして、おばちゃんたちとは別れた。ようやく解放された頃には、10歳くらい歳を取った様な気分になる。さすがおばちゃんだぜ。



——まぁでも、おばちゃんの目は侮れないなぁ——

名探偵おばちゃん、現る!?

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