短編集②アノマリー
20✕✕年、日本で発見された「特殊麻薬」が人体の“遺伝子”を変えてしまう事が発覚する。
日本政府はこの特殊麻薬を【アノマリー】と命名し、製造元の特定に全力を注ぐがソレをあざ笑うかの様に重度のアノマリー患者が増え続ける
アノマリーは生まれ変われる薬と言う誤った情報が蔓延し若者達を中心に広まり続けていた…
カスミは都内の高校に通うごく普通の女子高生だった、強いて言うなら普通過ぎて目立たない事が彼女には苦痛でしか無かったのだ。
腫れぼったい一重まぶたが嫌い
大きく無い胸が嫌い
そんな彼女がたまたまアプリで知り合った男性から
「生まれ変わろう」
と、言う言葉と共にアノマリーを渡され
…使用してしまう
1回だけなら大丈夫。
そんな軽い気持ちと、生まれ変わりたい気持ちに負けたのだった。
アノマリーを使用して数日が過ぎても体に変化は見られ無かったので、カスミはアノマリーを使用した事すら忘れていた。
カスミは男性に連絡をする
「何も変化無いよ、嘘つき」
気づくとカスミはアノマリーを再び使用していた、麻薬と言うだけあってアノマリーを使用した時は気持ち良いのだ…
異変は突然訪れる
ある日カスミは自分の皮膚が「緑色」に成っている事に気づく
『人に会えない』
最初に思ったのがそれだった。
あからさまに皮膚が緑なのを親にもバレないように仮病を使い悩んだ
必死にSNSなどで情報を集めるが解らなかった。
思い切ってカスミはアノマリーをもらった男性に会うことにした
スカーフで首周りを隠し化粧で顔の色を誤魔化しマスクとサングラスで顔を隠し、手袋をはめ完全に皮膚を隠すとカスミは出かける
男は約束通りに現れカスミに微笑んで
「次のはもう少し良いヤツだぜ…」
カスミは新しいアノマリーを欲しいと思う気持ちと必死に戦い男に言う
「ねぇ、コレ…どういう事なの?」
カスミは手袋を外すと男に緑色の腕を見せる、すると男は一瞬だけ動揺を見せるがまるで何も見なかったかの様に言う
「ん?普通の腕にしか見えないけど、どうしたの?」
…と
『嘘だ』
カスミは直感的に男が嘘をついてると思い更に続けた
「私の体、全部こんな感じなの…何とかしてよ」
すると男は急に態度を変え
「何の事かな?用が無いならまたなっ」
と、足早に去って行ってしまう…
「待って!」
つい大きな声で叫んでしまった事で周囲の人々がカスミを見る…
『あ、ヤバい』
なんとなく、ヤバい気がして足早にその場を離れるが、露出した腕が異変を始める
太陽光を浴びて腕がどんどん緑色が濃くなり、太陽の光がとても気持ちよくてもっと太陽の光を浴びたく成って行くのだ
無意識に両手を露出して太陽の光を浴びせるとカスミは
『もっと、もっと太陽光を…』
と、次々と肌を露出し始めほぼ下着姿で日光浴をしていた…
太陽光を浴びれば浴びるほど、皮膚は緑色が濃くなり、体にエネルギーが満ちていく様な感じがして気持ち良かった…
どのくらいの時間が過ぎただろうか、
不意にカスミは複数の女性に囲まれ話しかけられる
「ちょっとすみません。
私、渋谷署の円山と言います。」
そう言って女性は警察手帳を見せ話し出すが、カスミの耳には何も聴こえていなかった…
カスミはそのまま警察に連行され取り調べを受けるのだが…
警察が来るのが遅過ぎたのか、家族が警察署に来た頃にはカスミはただの樹木と化していた…
彼女の最後の言葉は
「お願いです…太陽の光を…」
だった。
特殊麻薬【アノマリー】の被害は拡大し続けて行く




