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第72話:宮本玲奈

 打ちのめされた。

 目の前で展開されている現実に、胸が苦しくなる。


 莉子。

 彼女はただの家庭的な幼馴染なんかじゃなかった。

 家事も気配りも出来る優しい顔を見せながら――その一方で、自分の芯となる部分を必死に磨き、鍛え続けてきた。

 その努力が、今や「RICO」として実を結び、直也の横に独自の居場所を作り上げてしまったのだ。


 そして――。

 その莉子の強い姿勢が、保奈美ちゃんをも覚醒させてしまった。


 直也の“義妹”。

 ただの甘えん坊で、天使のように無邪気な子。

 その姿はもうどこにもない。


 今ここにいるのは、大人になろうと強く意識する、美しく可憐な女性。

 わずかな時間で、保奈美ちゃんは一気に脱皮してしまった。


 莉子と保奈美。

 2人は、私よりもずっと先を――ずっと上を行っている。

 そう認めざるを得なかった。


 けれど――負けるつもりは毛頭ない。


 やり方はいろいろある。

 私には私のやり方がある。

 それを必死に突き詰めていくしかない。


 胸の奥で小さく炎が燃えるのを感じながら、私はグラスを持ち直した。

 絶対に退かない。

 直也の隣に立つ場所を――私も必ず手に入れる。


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