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悪役令嬢だって真実の愛を手に入れたい~本来の私に戻って初恋の君を射止めます!  作者: 灰銀猫


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お役に立てるでしょうか…

 その後、従業員の皆さんに紹介されました。販売担当は三人いるそうですが、今日はお店が休みのため、責任者のダニエルさんにだけ挨拶が出来ました。後は事務員のマリアさんです。他にも仕入れ担当が二人いますが、お二人とも他国に出ていて、滅多に会う事はないそうです。思ったよりも人が少ないのですね、意外でしたわ。


 挨拶が済むと、マリアさんが事務所の事などを色々説明してくれました。リシャール様はどこかに行ってしまって今はマリアさんと二人きりです。リシャール様がいなくて寂しいような、でもちょっとホッとした気持ちですわ。歓迎されていないだけに、お側にいるのも緊張感が凄いのです。


「レアちゃん、働くのは初めて?」

「あの…叔父のところで少しだけ…」

「そう、わかったわ。じゃ、まずは簡単なものから教えるわね」

「お願いします」


 マリアさんは親切でマメな方のようで、先ほどからとても丁寧に教えてくれます。リシャール様との関係は前途多難ですが…マリアさんとは仲良くなれそうな気がします。


「レアちゃん、字は?」

「はい、人並みに書けますが…」

「そう?だったら書類の清書をお願いしてもいいかしら?」

「書類の清書、ですか?」

「そうなの。お役所に出す書類なんだけど、リシャール様が書くのは重要なところだけで、時候の挨拶とかを考えて書くのは事務員の仕事なのよ。で、清書したものにリシャール様がサインして出すのよ」


 なるほど、どうやらリシャール様はお忙しいらしく、書類を書くのはマリアさんがやっていたようです。マリアさんは字に自信がないらしく、またうっかり間違いが多くて清書は苦手なのだそうです。


「時候の挨拶なんかは前に出した書類を参考にして。これがそのファイルね」


 そう言ってマリアさんは、これまでに出した書類が綴られたファイルを見せてくれました。なるほど、これを真似して書けばいいのですね。書類は十枚ほどありましたが、挨拶文はあまり気にしなくてもよさそうなので、私は言われるままその作業に入りました。




「ええっ?!レアちゃん、もう終わっちゃったの?」


 集中していたせいでしょうか、思ったよりも早くに終わってしまいましたわ。でも、お役所に出す書類は書式も決まっていますし、肝心な部分はリシャール様の書いた通りにすればいいので思ったよりも簡単でした。


「しかも、字、めっちゃ綺麗…!ねぇ、リシャール様も見て下さいよ!レアちゃんったら凄いですよ!」

「…あ、ああ、そうだね」


 そう言ってマリアさんが私の書いた書類をリシャール様に見せています。リシャール様はマリアさんの勢いに驚いているようですが、どうやら字は及第点を頂けたようでホッとしました。実は婚約者になりたての頃、王妃様から字が下手だと散々叱られたのです。その為、夜中に泣きながら字の練習をしたものですが…それが今、リシャール様の役に立てるならこんなに嬉しい事はありませんわ。


「決めたわ!今度からは清書はレアちゃんの担当ね!」

「ええっ?」


 マリアさんが勝手にそう宣言していますが…担当と言われても私は週に三回しか来られないので、さすがにそれは無理があるのではないでしょうか…




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