殿下達の処遇が決まりました
「そういえば、殿下達の処遇が決まったそうね」
「え?ええ…」
叔父様のところに通い始めて数日後。学園でランチの後のお茶を楽しんでいる時、ベルティーユ様がその話題を持ち出してきました。
婚約破棄したパーティーから一月ほど経ちましたが、昨夜我が家にも王家からの使いが来て、殿下達の処遇が決まったと報告があったのです。慰謝料などの詳しい金額なども正式に決まりました。殿下とアネット様から私に慰謝料が支払われるのですが、アネット様の実家は没落寸前で支払い能力がないので、殿下が私財から代わりに払うのだそうです。殿下自身の慰謝料もあるし、この件に関して陛下は王家から出さないと仰ったので、殿下の私財は大きく目減りするのは間違いないでしょう。まぁ、無計画に行動した結果なので、仕方ないと言えばそれまでですが…
また、殿下とアネット様の婚約は、アネット様の王子妃教育の終了が条件だそうです。殿下達は半年ほどで卒業しますが、この処分だとすぐに結婚とはならなさそうです。
「でも、あの男爵令嬢に王子妃教育が務まるのかしら?」
ベルティーユ様が、お茶の香りを楽しみながらそう言いました。
「簡単、ではないでしょうね」
アネット様の日頃の態度からしても、真面目に教育を受けるとは思えません。もしそうだったら、下位貴族のマナーくらいは身に付けていたでしょう。それすらもままならないのですから、言わずもがな…ですわね。
「上位貴族の教育だけでも十年くらいかかりそうな気がするわ…」
「そうですわね…でも、殿下はいずれ公爵に臣籍降下しますし。そうなったらなし崩し的に結婚されるんじゃありませんか?」
「そうなりそうよね。でも、それよりも…復縁迫られる方が先な気がするわ」
「はぁ?まさか…」
それは思いもしない内容でした。あんなに公衆の面前で婚約破棄したあの殿下が、復縁を迫ってくるなんて…
「あのエルネスト殿下よ。愛しの男爵令嬢が役に立たないとわかったら、あっさり手のひら返しそうな気がするわ」
「でも、お二人は真実の愛で結ばれていると仰っていましたわ…」
「そんなもの、実生活では何の意味もないわ。臣籍降下する殿下に必要なのは、しっかりした後見と財力なのよ。あの男爵令嬢に殿下を支える器量があると思う?」
「…無理、ですわねぇ…」
「でしょう?」
残念ながらアネット様が殿下を支える姿も、殿下がアネット様のために奮起して態度を改める姿も…残念ながら欠片も想像出来ませんでした。復縁など全く想定しませんでしたが…確かに殿下のあの性格です、あり得ない…と私ははっきりと否定する事が出来ませんでした。むしろ手のひらを返してすり寄ってくる姿は直ぐに思い浮かびましたわね。そんな自分の想像力に、私は胸の中に嫌なモヤが広がるのを感じたのでした。




