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婚約破棄?待ち焦がれていましたわ!

 高らかに婚約破棄を宣言した殿下ですが…それ、陛下達は了承しているのでしょうか?この結婚は王家からどうしてもと頼み込まれたものです。第三王子以下は慣例として一代限りの公爵位を賜り臣籍降下するか、どこかに婿入りするのが既定路線です。上の王子殿下と比べて色々と足りないエルネスト殿下に公爵家を盛り立てるのは難しいだろうと、強力な後ろ盾を欲した陛下と王妃様のごり押しで成った婚約なのですが。


 でも、この機会を逃す私ではありません。殿下との婚約を嫌がっていたのは私も同じです。いえ、私の家族も、ですわね。両親もお兄様も、この婚約を何とか解消しようと手を尽くしてくださいました。それでも殿下を溺愛する王妃様が頑として首を縦に振らないまま、今日まできたのです。でも…


「畏まりました。婚約破棄、承ります(ぃやったああああぁーーー!!!)」


 これだけ多くの貴族の前で宣言したのです。私がここで了承してしまえば、今更なかったことには出来ないでしょう。私は心の中でガッツポーズをとりました。これ、殿下有責での婚約破棄ですよね?だって浮気していたのは殿下で、それは周知の事実ですから。私ははやる気持ちを必死に抑えながら、静かに、でもはっきりと周囲に聞こえるようにそう告げました。


 その途端、その場がざわつくのを感じましたが、それも当然でしょう。我が国の公爵は王家の分家に過ぎず、次代からは伯爵に降爵と定められているのです。万が一の時に王家の血を繋ぐための保険のようなもので、簒奪を警戒して必要以上の力を持てない様になっているのです。その中で貴族のトップに立つのは、国内一の力を持つ筆頭侯爵家の我がラフォン家なのです。


 その家に喧嘩を売ったも同然のエルネスト様と、それを受けた私。事と次第によっては内乱にも繋がると理解している貴族たちが蒼白になっています。

 一方でそんな事も知らない者たちは、面白い余興を見たと言わんばかり、ニヤニヤしながら私を見ています。きっと王子に捨てられた哀れな令嬢と思っているのでしょうね。まぁ、実際にそうとも言えますが、この場合、将来的に割を食うのは殿下なのですけどね。


「な…!ほ、本気か?婚約破棄だぞ?わかっているのか?」

「そのように大きな声を出されなくても、ちゃんと理解しておりますが?」

「だ、だが…婚約破棄されればお前は傷物だぞ?今後お前にはまともな縁談など来ないとわかっているのか?」

「はい、承知しておりますわ」


 どうしたというのでしょうか?そんな事、随分前からわかりきっていましたし、いずれ何らかの理由をつけて婚約を解消しようとしていたので、その対策も既にばっちりです。まさかとは思いますが、こうなる事を予想出来ないお馬鹿さんだと思われていたのでしょうか?殿下と違ってこちらは、優秀な侍女や家令、何なら侯爵家の影もおりますのよ?


「エルネスト様ぁ~きっとレティシア様はショックでぇ~言われた言葉が理解出来ていないですよ~」

「なるほど…さすがはアネット。君はあんな女の事まで思いやれるとは、なんて心優しい…」


 アネット様が的外れの事を言って、殿下が一人で感動しています。それにしてもアネット様、その語尾を伸ばす話し方、気持ち悪いのでやめて欲しいですわね。今時五歳児でもあんな喋り方はしませんのに。


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