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悪役令嬢だって真実の愛を手に入れたい~本来の私に戻って初恋の君を射止めます!  作者: 灰銀猫


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エストレ国での受難

「レティ、久しぶりね!なんて綺麗になって…!」


 美しい銀の髪を緩く結った女性が、両手を広げて笑顔で私に近づいてきましたが…


「も、もしかして…お兄、様?」


 私としてはそう確認せずにはいられませんでした。その女性は僅かに青みがかった銀の髪とお母様に似た青い瞳というお兄様と同じ外見的特徴を持ち、一般的な女性としても背は高めです。でも、シンプルな薄紫色のワンピースに編み上げブーツのその姿は…どこからどう見ても女性のそれにしか見えませんが…


「あ、ああ!そうね、レティがわからなくても仕方ないわね、このナリじゃ!」


 えへっと舌を出して悪戯っぽさを含んだその笑みは…昔からのお兄様のそれで…


「ほ、本当に、お兄様、なのですか?」


 屈託のない笑顔はお兄様のそれですが…まさか女装しているなんて誰が想像出来るでしょうか…!そりゃあ、確かにお兄様は中性的で男らしさがあまり感じられない方でしたが、それにしても…


「ふふっ、信じられないのも仕方ないよね。そうだね、どこから話そうか…」


 突然男言葉になったお兄様と思われるその女性は、私達に席を勧めると、にっこりと笑みを浮かべました。




「まぁ…」

「そんな事が…」


 お兄様の話を聞いた私とお母様は、そう答える事しか出来ませんでした。だってお兄様の話はあまりにも突拍子もないものに聞こえたからです。

 エストレ国に留学中、親しくなったとある侯爵家の夜会に出席したお兄様は、そこで媚薬の入ったシャンパンを飲まされたそうです。ラフォン家の次期当主として媚薬などの薬物の知識があったお兄様は、これが仕組まれた事だとすぐに気づきました。このまま控室に行けばその場には王女がいて、そのまま既成事実にされる…そう察したお兄様は従者であるマルクと共に親しい友人の馬車に同乗して会場を後にしたそうです。


 しかし、それで諦める王女ではありませんでした。今度は王家主催の夜会で同じような手を使ってきたそうです。お兄様は直ぐに危険を感じ、王女が自由に動けるようになる前に夜会を抜け出しましたが、王女も逃げられる事は想定内だったらしく、あっという間に追っ手に見つかってしまったそうです。そこで仕方なくお兄様はマルクと二人で川に飛び込んで追っ手を振り切る事に成功し、そのまま王都からの脱出を果たしたのですが、その時に手を貸して下さったのがリシャール様のお兄様だったそうです。テオドール様はその時リスナール国に向かうところだったので、そのままお兄様達を連れて出国し、それからもずっと今まで一緒だったそうです。


「リシャール様のお兄様が…」

「うん、彼はテオドールと言って、マルロー商会の次男なんだけど…」


 そう言ってお兄様はリシャール様に視線を向けると、リシャール様は困惑を含んだ表情を浮かべました。リシャール様としてもお兄様が私のお兄様とこんな形で関わっていたと知って驚いていらっしゃるのでしょうね。


「まさかテオの弟が、レティの婚約者になっていたなんて…思いもしなかったよ」


 お兄様はそう言って眉を下げましたが…私だってお兄様がリシャール様のお兄様と一緒に居ただなんて思ってもいませんでした。二人揃ってマルロー家の方々に助けられるなんて…これはやはり運命なのでしょうか。





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