幹部の下に
「やっっっっば!何も覚えてないんだけど?!」
優花も?!ちょっと覚えてること、言っていこう。
「異世界転生した」
「田舎に行ったことない」
「……」
これは、マジでやばいかもしれない!!
「いや、なんとかなるだろ。」
だから、なんで毎回お前はそんな余裕なんだよ!
「だって転生と言えば、生まれたてからのやり直しだろ?それと比べたらな!」
そうかもしれないけど……確かに。そうだね。
「私の想像の100倍早く受け入れましたね。」
「え?サンキュ。」
「それだけ鈍感って言ったんですよ。褒めてません。」
「諸君。夢魔法の入団おめでとう。ここにいるのは、選ばれし人達じゃ。今からどの隊につくのか……選別が始まるぞ。」
団長さんだ!
「なぁなぁ。選別ってなんだ?」
僕も気になってた!
「夢魔法は、団長を中心とし、7大幹部に別れます。その幹部の下につく、1級団員と、と誰にもつかない2級団員。2級団員の中でも、まだ幹部の下につく見込みがない新入団員を3級団員と言います。といっても、3級団員になるのにも、500倍の試験がありますからね。」
ありがとう。雲母さん。さすがだね!
「そんな!褒めても何も出てきませんよ!」
別に何も要らないよ?
「はい!私が隠し持ってる飴です!」
何も出てこないんじゃないんかい。ありがとう!
「ちなみにですが、7大幹部の下につくと、それぞれの幹部の個別指導を受けれるので、7人班になることが多いですね。今の7大幹部は、炎、水、闇、光、風、本、絵ですね。」
へ〜!最終的に選ばれたらいいなぁ。
「それと、異世界転生者に対する態度は人によります。中には異世界転生者は邪道と唄う人もいます。他には絶対漏らさないよう、注意してください。」
了解です!
「では、今から1級団員選別をする。成績優秀者から指名が入る。神楽優花。」
「おっ!俺だぁ!」
「なんで1位が貴様なんだよ!」
「君、誰?」
「おい!忘れんなよ!」
「あぁ。佐藤花子だっけ?」
「誰だよ9割女子!」
「俺のことか?」
「話の流れ的にお前しかいねぇよ!」
喧嘩しないでぇぇぇぇ!団長さん達の圧がえげつないぃぃぃぃぃぃぃ!
「ゴホン。神楽優花は、最年少夢魔法入団記録、最年少夢魔法1位入団などを獲得しているが……幹部達は選ぶのかのう?」
すると、僕達が立っているところと、10mくらい上の団長さんが座ってる椅子のちょうど間くらいに、7人の人が現れた。1人はどことなく悠火さん(?)を思い起こすような見た目だ。残りの人は暗闇で分かりにくいけど、とりあえず派手だ。
「トップ合格者ねぇ。」
《水の幹部!青髪を肩まで下ろしぃ、トレードマークの傘をさしている!タレ目が特徴的なアクア様!》
何この突然の実況!
「フン…結局は悠火と同じガキだということは変わらんだろうが。」
《炎の幹部!燃えたぎる炎を纏い、ローブは絶対に袖を通さないタイプ!漢の中の漢!朱羽様!》
また実況が!
「父上…」
「あっ。やっぱお前の親だったんだな。」
やっぱり!
「100年に一度の異世界転生者だけではなさそうだ……」
《闇の幹部!絶対に取らないフードの中の美形はいかに?!ミステリアスな雰囲気に包まれた蔭見様!》
実況さすがに爆音過ぎない?!蔭見さん?の言ってること全然わかんなかったんだけど?!
《ごめんなさい!これが一番小さい音量です!》
知らねぇよそんなん!つーか実況が返事すな!
「よく見たら顔は上の方だなぁ。まあ、俺様には叶わねぇけど?」
《光の幹部!ナルシストの性格にあった顔!声!オーラから全てが輝いている神日様!》
なんか実況どんどん雑になってない?!大丈夫?
《大丈夫大丈夫!幹部様に見とれてるだけだよ!》
ちゃんの教えてくれなきゃ、俺全くわかんないんだって!
「あの雲、動いてるなぁ。」
《風の幹部!薄緑の髪を遊ばせぇ、トレードマークのシャボン玉を吹いている!可愛いお顔の楓真様!》
あっ。実況の調子戻ってきた!
「フン……」
《本の幹部!七三分けスーツ!クールで真面目な性格!唯一眼鏡をかけた幹部!壮馬様!》
なんか、見た目も怖そう……
「可愛らしいですわね。お絵描きしたくなりますわ。」
《本の幹部!ベレー帽を被ったお嬢様!絵の出来前は誰よりも!美しさをつけた真璃奈様!》
確かに、美しい……お嬢様っぽい!
「では、幹部達に選んでもらおう。神楽優花の行方は」
《なんと幹部全員が一気に札をあげたぁ!こんなこと、めったにないですよ?!この素晴らしい能力は認められたァ!こういう時は、新入団員が選ぶことになっているぅ!優花は誰を選ぶのだ?!》
実況うるせーなぁ!でも、ありがたいね。
「幹部全員に。さぁ。誰を選ぶのかね?」
「俺、何も考えてないんだが?!ていうか、そんなのがあったのも今知ったんだが?!じゃあ……神日輝琉。お前について行く!」
「まぁ……あの口調……」
「幹部様に向かって……」
「どの立場で物言ってるのかしら……」
めちゃくちゃブーイング来てるぅ!ちょっと優花!何やってるの?!
「日南悠火。火の幹部の下に!」
「苑田理央。ここで札が無くなっておる。」
《幹部に認められなかったのは、3位からぁ!こうなると、3位以下に、その幹部が欲しい人が入れば、呼ぶというスタイルだ!》
やっぱ実況頭にガンガン響いてうるさいなぁ!ありがたいんだけどね?!
「俺、そこのやつ欲しい。」
どこのやつ?!空を向きながら言われましても分からないよ?!
「長沢祐太。闇の幹部の下に!」
いや、俺ぇー?!なんでぇ?!いや、嬉しいけれども!謎だ……
「……であ……か…………き…………いて……」
すみません……蔭見さん……何も聞こえないです。
「俺は喋るのが嫌いだから一言一句聞き逃すな……」
すみません……難易度ハードだけど頑張ります……
「俺は目がいいんだ……だから、お前を呼んだ。お前…異世界転生者だな…」
え?