喧嘩
「真空魔法。」
裕太の杖から、黒い靄のようなものが立ち込める。そして、その靄で、悠火を攻撃する。
「んなもん聞いたことねえよ!爆発魔法!」
「いや、ちょっともうストップかけていい?氷魔法!」
何者かによってここら辺一帯が凍る。視界が開けるとそこに立っていたのは、
「優花!」
「さっきの感じ悪い奴!」
「えーと……俺、やっぱ首ツッコんじゃダメな感じ?」
「あったりまえだろコラァ!俺らは真正面からぶつかって……」
「あそこに、偉い?そうな人がいるんだけど……」
「日本語大丈夫そう?優花さん。って、そういうことは早く言ってもらわないと困るんだけど!いつからいたの?」
「俺が来た時にいはもういたから、お前らが喧嘩する前なんじゃない?」
「会おう言うことは早く言えや!あの人は夢魔法の団長。本名不明だ。」
「めちゃくちゃ偉い人なのに、本名不明なの⁈」
「別にちょっと変わってるくらいじゃないか?何言ってるんだお前は。」
「しずまれぃ。わしの名は本名 不明。夢魔法の団長だ。」
名前が本名不明だったんですね!だからさっきまで話がかみ合わなかったのか。ややこしいわ。
「君たちの魔法を今ここで見させてもらったよ。そして、君たちに渡すものがある。」
そう言い、団長は懐からどら焼きを出した。
「そうそう。コレコレ。知ってるか?どら焼きってめちゃうまでばえばえなんじゃよ。」
見た目と言ってることが合わなさ過ぎてる!おじいちゃんがめちゃうまでばえばえっていってる!しかも普通のどら焼きの事を!
「違う違う。これじゃよこれ。魔法石じゃ。」
そう言って取り出したものは、正八面体を少し縦に伸ばしたような形の宝石がついたネックレス3つだった。
「そなたたちは、魔法石に選ばれた。入団おめでとう。ようこそ、魔法界最高護衛団体夢魔法団へ。」
3人の手元にそれぞれ、裕太は黒、悠火はオレンジ、優花は赤の魔法石が飛んでくる。
なんか、成り行きで入団してしまった……これからどうなるのかが不安でしかないんだが……
「そういうこと言うとフラグ立つんじゃないのか?」
「優花のせいで立ちそうだわ!」
「明日の朝5時にここに集合じゃ。入団歓迎パーティーをはじめる。」
「はい!」
いや、普通に返事したのはいいけど、早すぎないか?さすがに。ここから宿まで直線道だけど、意外に遠いんだよ?明日何時起きになるんだろう……
「とりあえず解散!わしはこの後、超映え映えの和風カフェに行って特性どら焼きを買うんじゃ。」
やっぱ、見た目とのギャップがすごすぎるぅぅぅぅぅぅぅぅ!
「悠火さんと優花さん。まさかのどっちも最年少で推薦合格していたとは。」
「キイロぉ。俺たちが推薦合格できた理由が、ほぼほぼ喧嘩のおかげなんだぜ!」
「うわさには聞いていましたが、本当だとは。いろんな意味ですごいですね。あと、私の名前はキララです。漢字で書いたら雲母ですよ。私から、いくつか連絡しないといけないことがあるのでいいますね。あなたたち、前世の記憶はどれくらい覚えていますか。」
前世の記憶……待って。何も覚えてない……
「これってもしかして、やばいのでは?」