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99話 依頼

フレッドはクリスティーナ王女の向かい側に立つと

「フレデリック・コーデン・ライシャワーです

どうぞお掛けになって下さい」

と挨拶をして、クリスティーナに座るよう促した


「ありがとうございます」

クリスティーナ王女は先程まで座っていた場所に再び座ると、フレッドも向かい側に座った


「突然の訪問で申し訳ございません

今しかないと考えて、参りました」

クリスティーナ王女が話し始めた


あえてこのタイミングという事はやはりホワイト帝国のレイモンド皇帝の結婚式に纏わる事だな、とフレッドは考えた


クリスティーナ王女はチラリと後ろを見ると騎士達に

「貴方達は退出して、部屋の前にいて」


クリスティーナ王女の命令に騎士達は困惑した

「しかし…」

「フレデリック大公も供は一人なのだから、こちらも同じにします」


王女は更に後ろにいる供の一人に

「貴方だけ残って

他の者は下がって」

と命令した


騎士と供の者は「はい」と一礼をすると、部屋から退出した


「失礼しました」

「いや」


危険な他国に来て、自分の護衛騎士を遠ざける事で敵意はない、とアピールしたのだろう


だがフレッドはまだこのクリスティーナ王女の真意がわからない

警戒は解かなかった


「少し前の事になるのですが、私が住まう宮殿で騒ぎがありました」

クリスティーナはゆっくりと話し始めた

「ほう」


フレッドは何の事かわからない、といった風にとぼけた


「妹が…第三王女のローレッタと申しますが、その妹が買い集めていた奴隷が一晩で消えてしまったのです

14人も、跡形もなく」

「そうですか」


フレッドはあくまで平静を保っている


その時、ドアがノックされた


ギルバートがドアへ行くと、侍女が飲み物を持って来ている


「私が運びます、ご苦労さま」

ギルバートはそう言うと、侍女が押してきたワゴンを押して部屋へと戻った


フレッドとクリスティーナの所までワゴンを押して行き、クリスティーナの前に冷たい飲み物を置いた


「どうぞ」

「ありがとう」

クリスティーナはギルバートにニコリと微笑みながらお礼を言った


次にフレッドの前に飲み物を置こうとした時、ギルバートは防音魔法を自分とフレッドを包み込むように掛けた


飲み物を置きながら、クリスティーナには、自分の口元が見えないよう下を向いたまま

「街の外れの林に騎士が15名、隠れています

あとは騎士でも従者でもない者が5名います」

と報告した


飲み物を置き終えると、ギルバートは防音魔法を解いた


クリスティーナは飲み物を一口飲むと、再び話し始めた


「フレデリック大公陛下、私、依頼をしに参りました」

「依頼?」


「ライシャワー公国では色々な依頼を受けて魔法使いを派遣すると聞いています」

「そうですね、そのような仕事を魔法使い達に紹介しています」


やはり魔法使い欲しさか?

フレッドは更に警戒した


「妹は幼い頃から、先見の明と言うのでしょうか?

そのような力がありました

特にホワイト帝国での事に関しては異常な位でした


妹は父であるボルジア王に、自分の先見の明を利用してホワイト帝国を乗っ取るという恐ろしい計画を持ちかけ、そして父もその力があれば可能と考えて妹の策に乗りました」


ここまではマシューから聞いた話と一致している


「先見の明があったとしてもボルジア国は小国

この力の無さを補う為に、妹はライシャワー公国から魔法使いを買ったり拉致したりしていたのです」


クリスティーナはここまで話すとフレッドを見た


「フレデリック大公陛下もご存知でしょう?」


ふむ…とフレッドは少し考えてから

「はい」

と返事をした


クリスティーナは寂しそうに微笑むと


「私はボルジアの民を守りたいのです


妹はホワイト帝国を手に入れる為に長い年月を掛けて奴隷…ライシャワー公国の魔法使いですが、魔法使いを集めていました

その準備が全て無くなってしまったのですよ?


妹は今、ホワイト帝国に向っています

最近、商人から召し上げた魔法使いを連れています

あれだけ入念に準備していたという事は、ホワイト帝国は簡単に手に入らないとわかっているからです

ですが準備した全てを失ってもまだ諦めずに、しかもどれくらい使えるかもわからない魔法使いを2人だけ連れてホワイト帝国に乗り込んだのです


私、妹の計画が上手く行くとは思えません

このままでは妹はホワイト帝国で罪を犯し、悪ければホワイト帝国とボルジア国との戦争に発展してしまいます


ボルジア国は小国です

正面切ってホワイト帝国と戦っても結果は見えていますわ」


クリスティーナは一気に話すと、一度飲み物を飲んだ


「私の依頼は妹の暗殺です」


フレッドとギルバートは驚いた

まさか妹の暗殺を頼みに来たとは思ってもみなかった


「本気ですか?」

「はい」


クリスティーナはじっとフレッドを見つめた


「阻止…という手段も考えました

ですが妹が再びホワイト帝国を狙わない、ライシャワー公国から魔法使いを拉致しないとは限りません」

「僕の情報ではその先見の明はホワイト帝国のレイモンド皇帝陛下の結婚までだと聞いています

今回、阻止すればもうそのような事はしないのでは?」


「それも確かではありません

もしそうだとしても、あれだけホワイト帝国に執着している妹です


いずれまた何か企てないとは言い切れません」


フレッドは考えた

暗殺は大きな依頼だ

しかもターゲットは王族だ


国家元首に手を出す事はタブーとされている


「ホワイト帝国は皇帝陛下と皇后陛下の第一皇子が皇太子となります」


フレッドが考えていると、クリスティーナは全く違う話題を出して来た


「ライシャワー公国でも大公陛下の第一子…フレデリック大公陛下はスザンナ大公妃のお子様であられるアンドレアス小公子を後継者となさるのでしょう


ボルジア国は国王陛下が指名した者が次期国王となります


このままではローレッタが次期国王となるでしょう」


なるほど、言いたい事はわかった

ローレッタが国王になれば、たとえ先見の明がなくても国王としてホワイト帝国を手に入れようと動き出すという事か


「フレデリック大公陛下は私をお疑いにもなるでしょう


せめてもの証として、妹が商人から召し上げた魔法使い達を連れて参りました

ライシャワー公国へお返しします」

「ほう」


さっきギルが言っていた林に潜んでいる5人とはローレッタに捕まっていた魔法使いか


「クリスティーナ王女

この依頼を受ける、受けないはすぐにお返事を差し上げる事は出来ません


もう少し詳しくお聞きしたい事もあります」


「わかります

王族の人間を葬ろうというのですから、慎重になられるのは当然です


ですがレイモンド皇帝陛下の結婚まで後10日です

時間もないのです」


「そうですね

ではさっそく本題へと移りましょうか」


ギルバートは2人のやり取りを聞いてゴクリと唾を飲んだ


王族の暗殺となるとリアかフレッド自身が動く事になるだろう


もちろん自分も加わる事になる


出来れば暗殺以外の方法を見出だせないだろうか


ギルバートは祈るようにフレッドとクリスティーナの話しを聞くのだった





ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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