95話 野営食
夕食はテント泊とは思えないくらい立派な食事だった
サラダにスープに肉料理にデザート
飲み物も各種揃っていた
ただ器は陶器やガラスでは割れてしまうので、木で作った器だ
木の器も物珍しいので、アンディやデイブ達はいつもより楽しい食事となった
食事を終えるとエマの案内でヴィッキーとソフィアがお風呂に入りに行ったので、アンディとデイブとダニエルはそのままダイニングのテントに残って、ぶどう酒を飲んでいた
「やっぱりダン達は慣れてるから手際がいいね
こんな器も面白いよ」
ぶどう酒が入っているグラスも木で出来ている
「僕達が考えた訳ではなく、先祖代々に伝わっていた事です」
長年、首都と領地を行来する間に色々と知恵を絞ってこの様な形になったのだろう
「僕達はこんな旅は初めてだから楽しいけど、ダン達は大変だろ?」
アンディが心配げに聞いた
「大変ではありますがもう慣れてしまいましたし、堅苦しい首都や領地での行事に比べたら楽しいですよ」
ダニエルがそう答えた時にエマが戻って来た
「お二人は?」
エマに気付いたダニエルが聞いた
「今、お二人でお風呂に入られています
女性の騎士が付いているので、上がったらテントまでお送りするよう言っておきました」
「女子はお風呂が長いからな
ぶどう酒のお代わりをもらえるかな?」
デイブは空になった木のグラスを持ち上げると、エマはテントの外に控えている使用人にお代わりを伝えた
♪♫♬ ♬♫♪
しばらくして女性陣の入浴が全て終わり、トンプソン辺境伯の後にアンディも入浴を済ませた
お湯に浸かっていると旅の疲れも癒やされる
アンディは身軽な軽装でお風呂のテントから自分の休むテントへと歩いていた
空を見上げるとものすごい数の星だ
少し標高が高いのかもしれない
ライシャワー公国寄りのトンプソン辺境伯の領地からホワイト帝国の首都に向かえば向かう程、過ごしやすい気温になって来ている
夜は更に過ごしやすい気温になるが、ここは少し肌寒いくらいだった
だがその分、空気が澄んでいるのか、星空が素晴しい
ヴィッキーはこの星空を見たのかな?などと考えていると、自分の寝泊まりするテントに着いてしまった
後ろから付いて来ていた2人の騎士は
「我々はテントの前後で警備しています
ゆっくりお休みになって下さい」
と声を掛けて来た
「よろしくお願いします」
アンディはそう言うとテントの中に入った
馬車での移動の疲れもあり、アンディはそのままベットへと倒れ込んで、ゴロリと仰向けになった
なかなか寝心地も良い
生まれて初めてのテント泊はとても良かった
明日もテント泊だと言っていたので、明日はヴィッキーを誘って星空を見よう
そう考えているうちに、アンディは眠ってしまった
♪♫♬ ♬♫♪
翌朝も良い天気だ
アンディは目が覚めるとダイニングのテントへと向かった
テントに入ると既にトンプソン辺境伯は朝食を済ませ、コーヒーを飲んでいた
「おはようございます」
アンディが挨拶をすると、トンプソン辺境伯はコーヒーを持ったまま
「おはようございます
早いですな」
と挨拶をした
「目が覚めてしまったんです」
「居心地が悪かったですか?」
トンプソン辺境伯が心配そうに聞いてきた
「いえ、居心地はとても良かったです
テント泊が楽しくて、興奮したのか目が覚めてしまったのです」
トンプソン辺境伯はニッコリ笑った
「それは良かった
眠くなったら馬車の中で寝るといい」
「はい、そうします」
2人でそんな会話をしているとダニエルとエマがテントに入って来た
「馬の準備は大丈夫です」
エマが言った
「お風呂のテントは撤収しました
厨房も半分は撤収しました
休んでいる騎士と使用人のテント以外も撤収完了しました」
ダニエルが報告すると、トンプソン辺境伯は「うむ」と頷いた
「アンディ、おはよう」
「おはようございます」
「おはよう、ダン、エマ
朝早くからご苦労さま」
テント泊はテントを片付けて出発し、早めに次の場所へと移動して再びテントを設営しなくてはならない
今までのように村から村というように、一日中移動に時間を費やす事が出来ないのだ
なので少しでも早く出発出来るように、朝早くから少しづつテントを片付けているのだ
使用人がパンと卵料理にウインナーやベーコン、木のカップに入ったスープとサラダを運んで来た
「わぁ、準備が早いね」
アンディは驚いた
「朝食は簡単な物ですぐに作れる物です」
エマが教えてくれた
それでも温かい料理とスープが食べれるのだ
本当にこのテント泊は驚かされる事ばかりだ
「「「頂きます」」」
3人で朝食を取り始めた
「うん、美味しい」
「良かったです」
ダニエルはニッコリ微笑むと自分も朝食を取り始めた
「料理もとても美味しいです
テント泊が癖になりそうです」
アンディはパンをちぎりながら話した
「それは良かった
ライシャワー公国に帰って視察の際はテント泊をするといい
フレッドのヤツは移動魔法ですぐに移動してしまうからな
テント泊の楽しさを知らんのだよ」
トンプソン辺境伯は師匠が魔法使いだと知っているのか
トンプソン辺境伯はどこまで知っているのだろう?
師匠とは子供の頃から友人で魔法使いだと知っているという事は、ティファニー大公妃も友人だろうし、もしかしたらティファニー大公妃も魔法使いだと知っているかもしれない
デイブやヴィッキーが魔法使いなのも?
僕がフレデリック大公の息子だとスザンナから聞いているかもしれない
「一度、養父上にテント泊をしてもらいます」
アンディは少し考えてから返事をした
するとトンプソン辺境伯はニヤリと笑った
アンディは何となく、トンプソン辺境伯は全てを知っているような気がした
「おはようございます」
そこへデイブとヴィッキーとソフィアも表れた
「おはよう」
「おはようございます」
「おはよう、よく眠れたかな?」
トンプソン辺境伯がそう聞くと
「はい、とてもよく眠れました」
デイブが答えた
「それは良かった
アンドレアス様は楽しくて早くに目が覚めたそうだよ」
「そうなの?アンディ」
ヴィッキーがアンディの隣に座りながら聞いた
「うん、すごく楽しくて」
アンディは少し照れている
「朝食もすごく美味しいよ」
「おっ、そうなのか?
楽しみだな」
朝食が終わる頃にはテントはあらかた片付けられているのだろう
今夜のテント泊を楽しみにしながら、朝食を終えているトンプソン辺境伯はコーヒーを飲み他の者達は朝食を取るのだった
ご精読、ありがとうございます
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